話すことから始まる支え ~家族会・ピアサポートのすすめ~
大切なご家族が病気と向き合う中で、「今ある時間を少しでも幸せに過ごしてほしい」「自分にできる支え方は何だろう」と、悩み葛藤を抱える方は少なくありません。そんな中、誰にも言えない気持ちをひとり抱え込まず、誰かと「話す」ことで心が軽くなることがあります。
本記事では、同じ経験を持つ人々との「つながり」がどのように心を救い、前向きにしてくれるのかを解説します。「家族会」・「ピアサポート」・「SNSグループ」など、共感と支え合いの場への参加方法などをわかりやすくご紹介します。
-もくじ-
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①自分に合う「つながり」の見つけ方
②家族会・ピアサポート・SNSグループとは
③家族会
-家族会を調べる方法
④ピアサポート
-ピアサポートを調べる方法
⑤SNSグループ
-SNSグループを調べる方法
⑥よくある質問・疑問について
-参加費用と個人情報保護
-参加してみて合わないと感じたときの対応
-看取りが終わった後の参加
⑦参加支援と地域別の取り組み
-デジタルデバイド対策と電話参加支援
-都市部や地方でも参加しやすい事例紹介
⑧まとめ
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‖ 自分に合う「つながり」の見つけ方
人は困難な時、ひとりで抱え込まずに誰かとつながることで心の支えを得ることができます。しかし、どんな「つながり」が自分に合うかは人それぞれです。家族会やピアサポート、そしてSNSグループなど、多様な形で支え合う場があり、それぞれの特徴や調べ方を知ることで、自分に合った安心できる場所や仲間を見つけ、孤立しない生活を送ることができます。
ここでは、家族会、ピアサポート、SNSグループのそれぞれの「つながり」の探し方を分かりやすくお伝えします。
‖ 家族会・ピアサポート・SNSグループとは
家族会とは
・病気や障がいを抱える本人の「家族(親、配偶者、きょうだいなど)」が対象となります。
・家族同士が集まり、体験や悩み、不安を語り合い、情報共有、助言を通じて孤立を防ぐ精神的支援が活動の主な目的。
・主に体験交流や情報交換、学習会、行政への要望など社会的支援も含む場合が多い。
・先輩家族から具体的な体験やアドバイスを得ることができる。
・医療機関や地域、地域の患者会などの支援を受け、全国各地に数多く存在し、継続的なグループ活動を行う。
ピアサポートとは
・「病気や障がい、困難を持つ当事者同士」が対象となります。
・同じ経験を持つ当事者同士が互いに共感・支え合い、自己肯定感や生活の質向上を図るための活動が主な目的。
・自分自身の体験を語ったり、他者の話を傾聴することで相互理解や共感が得られる。
・医療や福祉の専門家による支援では補いきれない心の部分を、当事者同士だからこそ分かり合える知恵や助け合いでサポートする点が特徴。
・グループ活動以外にも、病院や施設でピアサポーターが個別に相談を受けるなど多様な形式がある。
SNSグループとは
・家族会やピアサポート参加者・経験者によるSNS(LINEグループ・Facebook等)での集まりも増えている。
・インターネットを介して自宅にいながら気軽に情報交換や悩み相談ができる。
・匿名でも参加できる場合が多く、対面参加が難しい人にも心の支えや情報源となる。
‖ 家族会
家族会は、病気や障がいを持つ家族同士が経験や悩みを共有し合える場です。参加前に活動内容や参加条件を確認し、自分の状況に合うかどうかを見極めることが大切です。
気軽に問い合わせや見学ができるところも多いため、気になる家族会があればまずは問い合わせてみましょう。

・担当部署:高齢福祉課、地域包括支援センター、保健センターなどが窓口になっていることが多いです。・相談内容:「家族の看取りに関する家族会やサポートグループを探しています」と具体的に伝えると、地域の団体リストを持っている場合があります。
厚生労働省:「介護事業所・生活関連情報検索」から地域包括支援センターなどを検索することができます。https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/
病院・医療機関
・相談窓口:入院中の病院や、かかりつけ医、地域医療連携室、※がん相談支援センター(特にがん患者のご家族の場合)などに相談してみましょう。同じ病気の患者家族会や、看取りに関する家族会を紹介してくれることがあります。
■がん相談支援センター
全国の「がん診療連携拠点病院」や「小児がん拠点病院」「地域がん診療病院」に設置されているがんに関する相談窓口です。
■がん情報サービスサポートセンター
国立がん研究センターがん対策研究所が運営する相談窓口で、がんに関する心配事や知りたい情報をご相談できます。がん患者さんやご家族に必要な情報は「がん情報サービス」や「ガイドライン」を中心にお伝えしており、全国のがん相談支援センターをご案内することもできます。
地域の社会福祉協議会
地域住民の福祉活動を支援している団体で、ボランティアグループや家族会の情報を持っていることがあります。
地域福祉・ボランティア情報ネットワーク:「全国の社会福祉協議会一覧」を検索することができます。https://www.zcwvc.net/about/list.html
インターネット検索(地域名+家族会)
「〇〇市 家族会 介護」「〇〇県 がん家族会」「〇〇地域 認知症家族の会」のように、地域名とキーワードを組み合わせて検索すると見つかりやすいです。
‖ ピアサポート
ピアサポートは、同じ経験を持つ仲間が互いに支え合う活動です。地域のNPOや支援団体のホームページ、生涯福祉センターの情報も役立ちますが、現在ではオンラインでのピアサポートも普及しており、SNSや専用サイトから参加できるケースもあります。まずは情報収集を行い、自分のペースとニーズに合ったピアサポートの活動を探し、無理なく参加しやすい環境を選ぶことが重要です。

患者会・支援団体
特定の病気(がん、認知症、心臓病など)に関する全国規模の患者会や支援団体は、ピアサポートの仕組みを持っていることが多いです。それぞれの団体のウェブサイトで情報を確認し、問い合わせてみましょう。
東京都保険医療局:東京都がんポータルサイトで患者サロンが検索することができます。
https://www.gan-portal.metro.tokyo.lg.jp/consultation/peersupportnituite/
地域包括支援センター
高齢者の総合相談窓口であり、ピアサポート活動の情報を持っている場合があります。
厚生労働省:「介護事業所・生活関連情報検索」より地域包括センターを検索することができます。https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/
専門医や看護師、ケアマネージャー
医療・介護の現場で活躍する専門家は、適切なピアサポートグループを知っている可能性が高いので、診察やケアマネジメントの際に尋ねてみましょう。
インターネット検索(病名+ピアサポート)
「がん ピアサポート」「認知症 ピアサポート」「看取り ピアサポート」のように、具体的な病名やキーワードで検索してみましょう。
‖SNSグループ
SNSグループは気軽に参加でき、同じ悩みや趣味を持つ人々がオンラインでつながる場所です。参加前にグループの運営方針や投稿内容を確認し、安心して参加できるか確認しましょう。
また、匿名参加が可能なものや限定公開グループもあるため、プライバシーが守られやすい環境も選ぶことができます。
トラブル防止のためにルールを守りつつ、自分に合った居場所を見つけて心の支えにしていくことが大切です。

SNSグループは、各プラットフォーム内で検索するのが基本となります。
Facebookグループ
Facebook検索欄で、「看取り 介護」「家族の会」「シニアライフ」などのキーワードで検索し、「グループ」タブを選択すると、関連する非公開・公開グループが見つかります。参加申請が必要な場合が多いですが、メンバー構成や活動内容を見てから参加を決めることができます。
LINEオープンチャット
LINEアプリ内で「オープンチャット」を開き、検索窓でキーワードを入力し、「看取り」「介護」「終活」「50代女性」などで検索すると、匿名で参加できるグループが見つかることがあります。リアルタイムでのやりとりがしやすく、気軽に参加しやすいのが特徴です。
X(旧Twitter)
「#看取り準備」「#介護の悩み」「#ピアサポート」などのハッシュタグで検索すると、関連する投稿やアカウントが見つかり、そこから情報発信している人や団体、あるいは別のSNSグループへのリンクが見つかることもあります。
Google検索(SNS名+キーワード)
「Facebookグループ 介護」「LINE オープンチャット 看取り」のように、SNSの名前とキーワードを組み合わせて検索するのも有効です。
オンラインフォーラム・掲示板
SNSではありませんが、病気や介護に特化したオンラインフォーラムや掲示板も、情報交換や共感を得る場として活用できます。「介護情報掲示板」「がんフォーラム」などで検索してみましょう。
‖ よくある質問・疑問について
家族会やピアサポートの参加を考えたとき、様々な疑問や不安を抱くことも多いのではないでしょうか。事前に知っておくことで安心して参加しやすくなり、より良い参加体験を得られるためのポイントをお伝えしていきます。

家族会やピアサポートの多くは参加費が無料、もしくは低額の会費で運営されており、資金は自治体の助成金やボランティアの協力で賄われるケースが多く、参加者の負担をできるだけ軽減する努力がなされています。プライバシーに関しても厳重に守られており、個人情報は参加者の同意なしに外部に公開されることはありません。匿名参加が可能な場合も多く、安心して本音を語れる環境作りが重視されています。参加時にはプライバシーポリシーやルールを確認し、不明点があれば事前に問い合わせてみましょう。
合わないと感じたときの対応

生活状況の変化や関心の方向によって移動する人も多く、手続きは連絡先に申し出るだけで済む場合がほとんどです。途中で感じた違和感や困りごとはスタッフに相談しながら、自分が安心して話せる環境を探していきましょう。

看取り後も無理なく参加し、自分の気持ちに寄り添いながら必要なサポートを続けることが大切です。また、大切な人、ご家族の看取り後のつながりとして「遺族会」があり、遺族会は定期的に開催され、参加者は1回のみの参加も継続的な参加も自由で、気持ちの変化にあわせて利用することができます。電話や送迎の支援も行われ、高齢者や遠方の方なども参加しやすい取り組みがされています。
また、地域の訪問看護ステーションや団体が主催し、遺族の孤立防止や※グリーフケア(悲嘆ケア)として社会的な支えとなっています。遺族会の活動は、悲しみの共有だけでなく、故人を偲ぶ機会や交流の場としても機能し、ご遺族が次の一歩を踏み出す助けとなっています。
※グリーフケア(悲嘆ケア)とは
グリーフケア(悲嘆ケア)とは、身近な人との死別やさまざまな喪失によって生じる深い悲しみや心の痛みに寄り添い、その人が悲しみを受け止め、心身の安定を取り戻し、新たな生活に向けて立ち直れるよう支援するケアのことを言います。
悲嘆は怒り、孤独感、罪悪感、不安、抑うつなどの精神的反応だけでなく、睡眠障害や食欲不振などの身体的反応も伴うことがあります。グリーフケアでは、悲しみのプロセスを理解し、その人のペースに合わせて傾聴や相談、専門家の支援を通じて支えることが重要とされています。
また、悲嘆ケアは単に死別に対するケアだけでなく、離婚や流産、ペットの死、住み慣れた場所の喪失など、さまざまな「喪失体験」に伴う悲しみにも適用される広い支援体型です。ケアの目的は悲しみの感情を否定せず受け入れ、その人が孤立せずに悲嘆のプロセスを経て、徐々に心の安定と自立を取り戻すことにあります。
‖ 参加支援と地域別の取り組み
家族会やピアサポートは、病気の当事者やそのご家族が孤立せずに支え合える貴重な居場所ですが、住む地域や情報環境の違いにより参加のハードルが異なります。特に高齢者やデジタル機器に慣れていない方にとっては、オンライン参加が難しい場合もあります。
こうした課題に対応し、誰もが無理なく気軽に参加できるよう、ネット利用支援や電話参加の導入、さらに都市部と地方双方での取り組み事例が多様に展開されています。

家族会やピアサポートの多くがオンライン開催を取り入れていますが、パソコンやスマートフォンの操作に不慣れな高齢者や、ネット環境が整っていない人にとっては参加しにくい現状があります。こうした「デジタルデバイド(情報格差)」を解消するため、支援団体では次のような工夫が行われています。
・電話での参加受付や傾聴サポート
例)東京都の「がん患者サロン」では、オンライン参加が苦手な方に電話での傾聴や座談会の参加サービスを実施。
・スタッフによるリモート操作や接続支援
例)岡山市のピアサポート団体は、事前に電話で接続方法を案内したり、スタッフが自宅に訪問してWeb会議の初期設定をサポートする活動も行っています。
・初心者向けスマートフォン・パソコン使い方講座
例)横浜の地域包括支援センターでは、スマートフォン相談会を開き、参加希望者に操作サポートを行っています。
・インターネット環境が不安定な地域向けに、郵送資料の配布
例)全国の認知症家族会では、会報や支援冊子の郵送と電話相談窓口を組み合わせ、ネットが使えなくても情報が届くように配慮しています。
・電話相談を併用し、オンラインが難しい人も利用できるよう工夫
電話参加は、IT機器を使わずに会話を通じて交流ができるため、参加のハードルを下げる有効な方法です。これらの取り組みは、誰もが安心して居場所につながれるようにする大切な支援であり、参加者一人一人の状況に合わせた柔軟な対応として広がりを見せています。
都市部や地方でも
参加しやすい事例紹介

【都市部の取り組み】
・交通手段や会場が多く、対面の交流会や開催がされやすい
・忙しさや人間関係のストレスから参加しずらい人がいるため、「立ち寄りやすさ」を重視
・一例として、会合の前後にカフェコーナーを設けたり、公共交通利用のサポート情報を提供
例)東京都内の家族会では、交流会の前後にカフェコーナーを設置し、公共交通の案内チラシも配布しています。
例)大阪市の某がん診療連携拠点病院では、病院内や近隣会場で患者・家族向けのサロンや研修会を開催し、仕事帰りや空き時間でも参加できるよう調整しています。
【地方の取り組み】
・会場が少なく移動が困難な地域では、少人数の地域グループや公民館活動が中心
・公民館や地域センターを拠点に、オンライン参加・電話参加を組み合わせて実施
・地域ボランティアや訪問看護ステーションと連携し、遠方の方も参加できる工夫を実施
例)山形県の認知症家族会や、岩手県のがん患者会では、公民館や地域包括支援センターを拠点に、地元住民が集まりやすい日時で集会や座談会を開いています。
例)佐賀県のピアサポート団体では、遠方や移動困難な方でもZoom配信と電話参加を併用しています。
このように、地域の特性に応じた柔軟な方法が工夫されており、どこに住んでいても「話せる・つながれる」環境づくりが進められています。
‖ まとめ
この記事で紹介した家族会やピアサポートは、同じ経験を持つ仲間とつながり、心の支えや具体的な情報を得られる大切な場所です。孤独や不安を抱える中で、誰かに話すことで気持ちが軽くなり、新しい一歩を踏み出す勇気に繋がります。初めての参加に戸惑いがあっても無理をせず、自分のペースで安心して利用できる環境が広がっています。
もし今、誰かに話してみたい気持ちが少しでもあるなら、身近な家族会やピアサポートに一歩だけ近づいてみてください。あなたの歩みを受け止め、そっと寄り添ってくれる人たちが、きっとどこかで待っています。

