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08/05 (月) 11:09更新

家族自身が告知を受けるか悩んだ時

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医師 N.Makishi (MD)
神経内科専門医。認知症や神経難病にも明るく、多くの診療を行ってきた。本人の意思の尊重の啓発や指導にも精力的に尽力。


ご家族の病名を知ったとき、悲しみや怒り、苦しみが、ご家族やご本人を覆い尽くしてしまうことがあると思います。そして、その病気の向こうに見え隠れする「衰えや死」が存在することも現実問題としてあるかと思います。

それらの重く暗い話を「聞くべきか、聞かないべきか」そのことにとても悩まれる方も多いのではないでしょうか。

今まさに迷われている、その悩みや迷いが少しでも晴れることを願い、参考にして頂けるような話ができたらとの思いで筆を執っています。

この迷いや悩みを解決する糸口は、どうして今迷われているのかを紐解いていくことが、ひとつのポイントになるのではないでしょうか。

この迷いや悩みの根底にあるものは「これからどうなるのだろう」という根源的な「恐れ」が大きく影響をしているのだと思います。 

病名を告げられたということは、どこかの医療機関を受診されている状況にあるかと思います。

医師である私として言えるのは、医療機関にかかっている状況を最大限にいかしていただき「その迷いを含めて医療者である私たちにもっと話してほしい」ということを、ぜひご提案したいと思います。

主治医に話しづらければ、看護師でも、薬剤師でもかまいません。医療チームの誰かに声をかけてみてください。

ご家族の病状を最もよく知っているのは主治医をはじめとした医療チームです。

その医療チームに、ご家族の「思い」や「悩み」「迷い」や「不安」などをもっと教えて頂きたいなと思います。

治療や処置をすすめていく中で「これからどうなる」という話が出てくることはどうしても避けられない仕組みになっています。なぜならそれは、今の医療が「患者さん本人の意思に基づいた同意」を基に展開されているからにほかなりません。

その一方で、医療チームは患者さんであるご本人のことを「医療という側面から見ている」こともまたよく理解をしています。つまり、ご本人やご家族を含めた「人としての生き方」についての理解は、ご本人やご家族にははるか及ばないのです。

ご本人に予測される「これから」については、医療の専門家である医療チームと、ご本人の「これまで」を誰よりも深く知っているご家族そしてご本人自身が力を合わせれば、ご本人にとっての最適な答えが見つけられると思います。

どうか、治療の中心にいるご本人の「これまで」や「生き方」「望み」について、医療チームにもっと話をして教えてください。

そうすることで、一緒に考えることができ「一番いい伝え方についての答え」がきっと見つかるはずです。

医療者に話しかけることは、とても勇気がいるものだと思います。そんな時はどうかこの言葉を思い返していただきと思います。

「ご本人やご家族に寄り添いたいと思っている医療者がいます」

上手に話す必要はありません。その場でうまく話す自信がなければ、メモでもいいので書き留めて、それを基に話しかけてみるのも、良い方法です。

ぜひ、もっともっと、私たちに話をして頂きたいなと思います。

    • 医師以外の人が「診断」をすることは法に触れる行為です。もし医師以外の人に「診断」をされた状態にある場合には速やかに医療機関を受診してください。

医師 N.Makishi (MD) = 文