まずは、悪性リンパ腫とはどのような病気なのか、ご説明します。悪性リンパ腫は、白血病などと同じく、血液の癌の一種です。血液の成分の一つであるリンパ球が癌化し、異常に増殖する病気です。リンパ球は、主にリンパ組織や、血液にのって全身の臓器に存在するため、悪性リンパ腫を発症すると、リンパ節や、臓器の中にリンパ球が集まった腫瘍を形成します。
そして、その癌化したリンパ球が増殖した結果、身体への影響としては主に、免疫機能の低下と、リンパ球によって形成された腫瘍による臓器障害が出現します。正常なリンパ球は免疫機能に関与しており、細菌やウイルスなどを排除する役割があります。リンパ球が増殖したら、免疫機能が上がりそうと思われるかもしれませんが、癌化したリンパ球は正常の働きはせずに、むしろ、正常のリンパ球が生きるスペースなどを奪い、結果的に免疫機能は低下してしまいます。また、悪性リンパ腫は、リンパ節を含む、全身どの臓器にも出現し、その臓器によって出現する症状が異なります。
悪性リンパ腫の主な治療方法は抗がん剤を用いた化学療法が基本となります。一言に悪性リンパ腫といっても、実は70種類以上あるといわれています。それぞれのリンパ腫によって進行するスピードは様々であり、進行が速いものを悪性度が高い、ゆっくり進行していくものを悪性度が低い、と表現します。これは、治療がうまくいかなかった場合の予後の長さにも関連してきます。
完治が見込めなくなった場合、血液中や臓器で癌化したリンパ球は、悪性度に従ったスピードで増殖し、徐々に正常な臓器の機能や、免疫機能が下がっていきます。そして、最終的には腫瘍による多臓器不全や、感染症により息を引き取られる方が多いとされています。