乳がんは、患者さんの中に様々なタイプの方がおられるため、一括りにすることが難しい病気です。腫瘍の増殖するスピードが速いがん、遅いがんがありますので病気の進行するスピードは様々です。また転移しやすい臓器は多数あり、転移している臓器によって起こりうる症状が変わります。このため、患者さんそれぞれに起こりうる症状も異なります。
乳がんにはサブタイプがあります。ホルモン受容体陽性/陰性、HER2(ハーツー)陽性/陰性によって分類されます。ホルモン受容体陽性/HER2陰性であれば、病気がゆっくりと進行することが多いです。HER2陽性の場合には腫瘍の増殖速度は速いですが、HER2に特化した薬剤を用いることができるので治療効果を期待できます。
いずれも陰性のトリプルネガティブ乳がんの患者さんの中には、さまざまなタイプの方が含まれますが、一般的には薬剤への反応性が乏しく病気の進行が速いと言われています。ホルモン受容体、HER2以外にもご自身の腫瘍の性格を判断する材料はありますので、詳細については主治医に聞いてみましょう。
転移しやすい臓器は、骨・リンパ節・胸膜・胸壁・肺・肝臓・脳など全身にわたります。
転移がある場合でも、転移している臓器や腫瘍の大きさ、位置によって命に係わる状態であるかどうかが大きく異なります。ご自身の転移部位、サイズ、起こりうる症状については主治医に聞いておき知っておく必要があります。
乳がんは全身に転移がある場合、根治を見込むことは難しいです。ただ、ホルモン治療、抗がん剤治療、放射線治療などを行っていくことで病気や症状の進行を抑えて、長期間元気に過ごすことが可能な病気です。
ご自身の生活を営みながら治療と両立していくことが大切です。仕事や趣味、子育てなどご自身がやるべきこと、やりたいことを医療者と共有しながら治療を続けていきましょう。