子宮体がんの初期治療は診断時のステージによって決まります。子宮や卵巣など骨盤内にのみ腫瘍がある場合には、局所治療が適応となります。第一選択は手術療法(子宮全摘出術、卵巣・卵管摘出術、骨盤内リンパ節郭清/生検など)です。高齢などの理由で手術を行うことが難しい場合には子宮の腫瘍に対して放射線療法を行います。腫瘍が子宮よりも遠く離れた臓器に転移している場合には、抗がん剤治療を行うことが多いです。このため診断時のステージによって子宮が残っているか否か、子宮の腫瘍に対する局所治療が行われているか否かが異なり、これらの状況によって終末期に起こる症状は異なります。
子宮体がんは子宮や卵巣以外の臓器へ転移があり骨盤を超えて腫瘍が広がっている場合には、完治を見込むことが難しい状態となります。子宮体がんには様々なタイプの腫瘍があります。悪性度が高く病気が進行するスピードが速い腫瘍もあれば、腫瘍の増殖がゆっくりで病気が進行していくのが遅い腫瘍もあります。全身へ転移している子宮体がんの患者さんにおいては1年~3年くらいで亡くなってしまう方が多くおられます。
がんが全身に広がっている場合には抗がん剤治療を選ぶことが多いです。年齢が若い方や、高齢ではあるものの体力がある方、重大な内科の合併症がない方は抗がん剤治療を受けることができます。抗がん剤治療が難しいが、治療可能な場合にはホルモン治療を行うこともあります。しかし現状では、これらの薬剤が子宮体がんに対して劇的な効果をもつことは極めて稀であり、完全に治すことは難しいです。治療を行う目的は病気の進行を抑え、少しでも長く生きることです。
子宮が残っている方において腫瘍からの出血で困っている場合や子宮摘出手術後の腟断端(腟の切り口を縫合している部位)周囲にがんが再発し出血している場合には、止血目的に放射線治療を検討します。
放射線治療や抗がん剤治療によって、倦怠感や吐き気などの副作用がみられることが高頻度にあります。これらの治療による副作用が強く、身体に相当な負担がかかる場合には無理をして続ける必要はありません。本人の体力やご希望、副作用に合わせて、主治医とよく相談したうえで、無理のない治療法を選びましょう。
子宮体がんではお腹の中に病気が広がってしまうことが多いです。食事がうまくとれない、体の中で痛い部位がある、お腹が張って苦しい、出血が止まらず困るなどの症状が起こります。このような症状に対しては、対処方法があります。このように、病気を治すことを目的とせず、出現する様々な苦痛の軽減を目的として行う治療を緩和ケアといいます。放射線や抗がん剤治療と同時に早期から緩和ケアを並行して行うことが非常に大切です。それぞれの症状については気兼ねなく主治医に相談するようにしましょう。