腎盂がん・尿管がんで、最も多い症状は血尿です。血尿の程度は様々であり、見た目では分からず、尿検査で初めて指摘される様な軽度の血尿から、目で見てわかる様な真っ赤な血尿まであります。血尿で貧血になることは稀ですが、激しい血尿が続くと、めまいやふらつき、疲労・脱力感など、貧血による症状が生じることがあります。がん病変により、膀胱が刺激されると、排尿時の痛みや頻尿が生じることもあります。
がん病変により腎盂や尿管が塞がれると、尿の流れが滞り、腎臓の中に尿がたまった状態(水腎症)になります。水腎症になると、腰や背中、脇腹の痛みが生じることがあります。また、水腎症に細菌感染が生じると、炎症を起こして、発熱することもあります。
がんが進行すると、がんの広がりにより様々な症状が出現します。そして、腎盂がん・尿管がんはリンパ管や血管を介して転移しやすく、転移先のリンパ節や臓器によって、多彩な症状が生じます。
がん病変により、腸が圧迫されると、吐き気や便秘が生じたりすることもあり、腸閉塞や腸管損傷が生じることもあります。
転移に伴う症状として、肺への転移では、胸の痛み、咳、血痰、呼吸苦が生じることがあります。骨への転移では、骨の痛み、骨折などが生じます。脊椎への転移では、がんが脊髄へ広がり、脊髄損傷をきたすこともあります。肝臓への転移では、足のむくみや腹水が生じることがあります。リンパ節への転移では、リンパ管や周囲の血管の流れが滞ることにより、下半身のむくみや血栓が生じることがあります。がんが全身へ広がると、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状があらわれます。
また、薬物療法中にも、様々な副作用が生じることが多いです。抗がん剤治療中の副作用は、吐き気や嘔吐、食欲不振、脱毛があります。採血検査でわかる異常として、白血球や血小板の減少、腎臓の機能低下が生じることもあります。白血球が減少すると、免疫が弱くなり、細菌やウイルス、カビなどの感染症にかかりやすくなり、高熱が生じることがあります。血小板が減少すると、止血作用が弱くなるため、出血しやすくなったり、手足を軽くぶつけただけで、皮膚にあざができやすくなったりします。
免疫チェックポイント阻害剤の副作用として、疲労感、吐き気や下痢などの消化器症状、食欲減退、発疹や皮膚の痒みなどがあります。稀ですが、免疫の活性化に伴う副作用として、甲状腺機能低下症や間質性肺炎のほか、糖尿病や重症筋無力症、大腸炎などが生じることも報告されています。
・ | 甲状腺機能低下症 |
| 甲状腺の働きの低下により甲状腺ホルモンが不足し心や体の全身に様々な症状が出現します |
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・ | 間質性肺炎 |
| 原因はさまざまですが肺の壁が炎症や損傷などから壁が厚くなったり硬くなったりすることにより肺の機能が阻害される病気です |