終末期には、苦しみの伴う延命治療は行わず、患者さんの苦痛を取り除き、残された時間を充実したものにできるように支援することが必要です。これを終末期(ターミナル)ケアといい、大きく身体的ケア、精神的ケア、社会的ケアの3種類に分けられます。
身体的ケア
身体的ケアは医療者が行う投薬による対症療法が中心です。しかし身体的ケアは医療行為だけではなく、着替えや食事、排泄、清拭(※3)、移動など、日常生活を快適に過ごす上で必要な行為の介助も含まれます。特に大腸がんの場合、人工肛門のケアが必要な場合があるため、医療者とよく相談してご家族も処置に慣れていくことが大切です。
精神的ケア
精神的ケアは、患者さんの周囲の環境を整え、少しでも心穏やかに過ごせるようにすることが大切です。がんの進行により患者さんは大きなストレスを抱えており、死に対する不安に直面しています。医療者だけでなく、患者さんをよく理解したご家族に主体的に関わっていただくことで、患者さんもより安心できるでしょう。患者さんの生き方を尊重し、好きなことをして最後まで自分らしく過ごすことができるように支援してあげることが求められます。
社会的ケア
社会的ケアはケアマネージャーやソーシャルワーカーといったスタッフとの連携が必要です。患者さんは様々な社会的背景を持ち、家族構成や経済状況などは個人によって異なります。公的な介護・福祉制度、ホスピス・施設への転院や治療費の支援など、必要なサービスを過不足なく受けられるように、よく相談していくことが必要です。
家族のケア
以上に加えて、患者さんだけでなくご家族のケアも不可欠です。ご家族も患者さんと同じく、身体的、精神的に大きなストレスを抱えているにも関わらず、どうしても患者さんのことが優先となり、ご家族の生活が蔑ろとなり疲弊してしまうことがあります。何か困ったことがあれば、小さなことでも医療者や周囲の信頼できる人に相談するようにしてください。
(※3)病気やケガなどから入浴ができない場合に蒸しタオルなどで身体を拭いて清潔にすること