死期が近づいてきた時の身体の兆候を知る
食欲
食欲はだんだんと減っていきます。食べる量が減り、食べたいと思うものが減る傾向があります。ご本人には「食べたくても、食べられないつらさ」があります。だんだんと飲み込む力が衰えて、食事を摂取できなくなります。
ケアのポイント;食べられるものを、食べられるだけ摂取することを目標にすることで、「食べるべき」といった焦りや辛さを感じずに過ごすことができます。
水分
水分摂取の量も減る傾向になります。消化や吸収の機能が低下してくるためです。また、食事や水分摂取で、むせることがあります。水分もだんだんと摂取できなくなります。口の渇きが強くなります。
ケアのポイント;むせに対してはとろみを使用します。氷などで少しづつ水分摂取をします。口腔ケアも大切なケアになります。
呼吸
元気な時には、意識せずに規則的にできていた呼吸が変化します。場合によっては、息の苦しさを感じることもあります。呼吸のリズムに変化が出てきます。呼吸のたびにのどの周囲で。ゴロゴロと音がすることがあります。だんだんと、肩やあごが大きく動くような呼吸になります。
ケアのポイント;呼吸のリズムなどの変化があったときには、不安に感じる場合があります。そういった場合、医師や看護師に連絡をしましょう。
腕や脚の兆候
徐々に身体を自分で動かせなくなります。しだいに脈が弱くなります。足の裏面や手の指先の血色が悪くなり、紫色の皮膚になり、冷たくなる場合があります。
ケアのポイント;身体の位置が苦しくないように、クッションなどを利用して、手や足を支えます。寒さを感じている場合には室内を暖かくします。
眠気
眠気がだんだんとつよくなります。眠る時間が長くなります。眠っている間は、つらさが強い状況ではありません。耳は聞こえています。
ケアのポイント;話しておきたいことは話をしたほうがよいでしょう。会わせておきたい人がいる場合には会えるように予定をたてましょう。耳が聞こえていますので、声をかけてそばにいましょう。
意識
水分や食事の量が減り、脱水の状態になったり、脳に酸素が足りなくなったりすることで、脳の働きも低下するため、意識が低下します。
ケアのポイント;意識の低下がある場合には、辛さが強くなるわけではありません。落ち着いてそばにいることを心がけましょう。
せん妄
意識の低下と並行するように、せん妄が現れることがあります。落ち着きのない様子になることがあります。つじつまの合わないことをいったり、大きな声をだしたりすることがあります。
ケアのポイント;否定せずに、見守ります。そばにいて、転倒などがないように、患者さんの身の安全を確保します。