肝臓には身体に溜まった毒素を解毒したり、身体に必要なエネルギーを作ったり、消化液を作ったりと様々な役割があります。どれもなくては生きていけない重要な役割ですが、万一肝臓の機能が悪くなっても、腎臓など他の臓器と違い長期間医療機器で肝臓の代わりをすることはできません。
肝臓機能障害の原因としては肝炎ウイルス、アルコールや肝臓がんなど様々な要因があります。ウイルスやアルコールなどが原因の場合では、長い年月をかけて炎症を繰り返すことで肝臓がゴツゴツした状態(肝硬変)となっていき、徐々に肝臓の機能が低下してきます。このように慢性に病気が進行する場合は、はじめのうちは自覚症状があまり出ず、かなり進行してから気づくということも多くあります。肝臓は一部の働きが悪くなっても、残りの正常組織である程度悪くなった部分をカバーしてしまうため、肝臓の働きがある一定レベルまで悪くならないと症状が出にくいのです(「沈黙の臓器」とも言われます)。早くに肝機能障害に気づき、原因に対しての治療を行えれば良いのですが、気づかないうちに病気が進行し肝硬変となってしまうこともあります。肝硬変となった場合は元の健康な肝臓に戻ることは困難となってしまいます。
さらに病気が進行し、肝臓の機能が大幅に低下し十分にその役割を果たせなくなると、肝不全となります。その場合は肝移植や食事療法、禁酒等で対応しながら、それぞれ出てくる症状に対する治療を行っていくことになります。しかしながら、肝移植は現時点ではあまり提供者も少なく、条件もあるため食事療法や薬、禁酒等で対応していく場合がほとんどとなります。