現在の口腔がんの治療は手術、抗がん剤(+放射線治療)を行い、その後に分子標的薬(※1)を使います。これら全ての武器を使ったけれども、口腔がんが原発部(※2)であったり、首(頸部)の重要な血管の周囲にへばりついてしまっている場合、もしくは転移したがんが増えたり大きくなったりするような兆候を示す場合などは、完治が見込めないと判断します。
がんがどこに残っているかでその後の経過が異なります。まず、口腔がんは首(頸部)のリンパ節に転移します。頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)(※3)という手術では首のリンパ節の掃除をしますが、掃除できる範囲は、リンパの流れや体の構造などの関係で限界があります。また、一般的にがんが転移しやすい場所は血管の細いところにがん細胞がひっかかり、その場所で増殖するというパターンが多く見られます。肺、骨、脳などに多く見られます。それぞれの場合については以下で解説します。
(※1) 病気の原因となっている特定の分子にだけ作用するような治療薬
(※2) がんが発生した所
(※3) 口腔がんの首の(頸部)リンパ節を掃除する手術