いろいろな症状への対処法
(サブタイトル:残された時間をできるかぎり穏やかにできるかぎり悔いのないように過ごすために)
痛み
痛みがある場合には我慢せずに、痛み止めの使用を検討します。ホットパックなどで温めることでも、痛みが減る場合があります。
寝ている時間が長くなることからも、痛みが強くなることがあります。患者さんの許可があれば、身体をさすることでも痛みの軽減がされます。
お薬が効いてくるまえなどの時間に痛みが強い場合には、不安がつよくなります。さすることやお薬が効いてくることを穏やかにお伝えします。
発熱
発熱の際に、寒気があれば掛け物などで保温して、室内も暖かくします。体温が上がっていて暑ければ、室内を涼しくします。
汗をかいた場合には、可能な場合はシャワーをあびたり、身体をふいたりします。衣類やシーツが湿って不快なので交換できるとよいでしょう。
発熱で脱水が起きないように、水分も摂取できるとよいです。発熱でつらさがある場合には、医師に相談し解熱剤を使用します。
咳こみ
咳があり、辛い場合には咳止めの内服を検討します。医師に相談することで処方していただけます。まっすぐ寝ているより、座っているほうが咳が少ない場合があります。
食事や水分摂取のあとに咳がある場合には、誤嚥が心配です。看護師や医師に相談することでとろみ剤の使用などのアドバイスをもらえます。
口の中が乾燥していることも咳の原因になります。口腔ケアをすることで、適度に口の中が保湿されます。
吐き気嘔吐
吐き気や、嘔吐の原因がわかると、対処の方法も考えることができます。便秘が原因であれば、便秘を改善できないか内服や処置が検討できます。
においが原因であれば、そのにおいの食品をさけることができます。食事は回数にこだわらず、少量ずつ食べることも大切です。この方が消化しやすくなるため、嘔吐が予防できます。さらに、のど越しがよく、食べやすい食品を選ぶとよいでしょう。
呼吸苦
呼吸苦は不安や痛みなどでもおこるので、不安や痛みがないか、よくお話を聞きます。呼吸が苦しくないように、お薬の内服も検討することができます。
呼吸のしやすい身体の位置を工夫します。座ってると呼吸が楽になることがあります。
不眠
眠れない不安があると、その不安のためにリラックスできず、さらに不眠になってしまいます。日中などでも、休める時に眠れば良いというくらいのゆったりとした態度で接しましょう。
体調が良ければ、太陽の光を浴びるように散歩などの活動をします。就寝前には、アロマテラピーや音楽など、リラックスできるような方法を探します。
寒気
寒気がある場合には、まず室内の暖房を調整します。ホットパックなどで身体を温めることもよいでしょう。
寒気のあとに発熱する場合がありますので、様子をみて検温をしましょう。
倦怠感
倦怠感は、だるさや体の重さとして訴えられることがあります。倦怠感があることによって、患者さんは不安になったり、食欲がでなかったりという影響を受けることがあります。
このような場合、倦怠感がどこからきているのか原因を中心に対応を考えます。一日のなかで、いつどのくらい倦怠感を感じるか記録にとることもよいでしょう。
リラクゼーションも倦怠感の軽減になります。日中に30分未満の昼寝をすることもよいです。医師に相談することで、ステロイド薬の内服を選択することもあります。
痙攣
がんの末期やアルツハイマー病の終末期では、痙攣発作がおこることがあります。痙攣予防の内服薬をするかしないかは、その方の状態により主治医が判断をします。
痙攣発作がおきても、その直後などに呼吸が止まることは少ないといえます。落ち着いて、患者さんの身の回りの環境をととのえましょう。
痙攣が起きた時の対応について、主治医や看護師と十分に相談をしておくことも大切です。
出血
出血は、さまざまな原因でおこります。出血の場所や量によっては、急に状態が悪化してしまうことがあります。
まずは、無理のない範囲で、出血の場所をタオルで清拭します。患者さんには、そばにいることをお声かけすることが大切です。
なるべく早く、主治医や看護師へ連絡をして相談する必要があります。必要な処置や対応を電話で相談することができます。
うつ
がんと診断されることは大きなストレスとなります。そのため、死期が近い多くの人に、うつの症状が現れます。
体の変化が多く現れることもあり、こころの不調が見落とされがちになるといえます。具体的な心配を、ソーシャルワーカーや医師に相談することで、経済的な問題など軽減できるものもあります。
もし、大切なお身内などが死期が近い場合には、このことを知っておくことで、患者さんのこころがどのような状態なのか見守ることが大切です。
悲嘆
悲嘆は死別にともなって、おきる正常な心理状態です。しかし、悲嘆によるストレスが大きい場合には、食欲不振といった症状が現れる場合もあります。
このような場合には、抱え込まずに、医師や看護師に相談をすることがとても大切です。気持ちについて話すことで、対処方法を一緒に考えることができます。
また、患者家族会などの紹介をしてもらうことも可能です。場合により、悲嘆カウンセリングなどの専門的な関わりも選択することができます。
意識障害
意識障害とは、眠っている時間が長くなり、ほとんど入眠していたり、落ち着きがなくなったりといった様子があることです。
痛みが強かったり、のどが渇いていたりという不快な症状は患者さんが落ち着かなくなる原因のひとつです。
意識障害があることに気が付いたら、医師や看護師へ早めに相談すると対処や気をつける点についてアドバイスをもらうことができます。