卵巣がんの初回治療では診断と治療を目的として手術を行います。卵巣がんには非常に多くの種類があります。組織型(そしきがた)という顕微鏡で見たときの細胞の形態で分類されています。この組織型によって病気がもつ性格は全く違いますので、ご自身がどの組織型であるかは主治医に聞いて把握しておきましょう。
卵巣がんは症状が出にくいので早期発見が難しい病気です。このため診断時にはお腹の中に病気が広がっていることがよくあります。組織型によって違いはありますが、卵巣がんでは抗がん剤が高い効果を持つことが多いです。初回治療は手術と抗がん剤を組み合わせて行われます。
初回治療終了後は経過観察を行います。残念ながら再発してしまった場合には、抗がん剤治療を主体にして治療を行います。今までの治療経過をもとに効果が見込める薬剤を順番に使っていきます。抗がん剤によって一旦病気がよくなることがありますが、いずれは効果が乏しくなります。使用できる薬剤には限りがあり、いずれは抗がん剤での治療を終了することになります。再発した腫瘍による、痛みや出血で困っている場合には放射線治療を行うこともあります。
抗がん剤治療や放射線治療により、吐き気や倦怠感などの副作用が高頻度にみられます。これらの治療による副作用が強く、身体に相当な負担がかかる場合には無理をして続ける必要はありません。ご本人の体力や副作用、ご希望に合わせて主治医とよく相談したうえで、無理のない治療法を選びましょう。
卵巣がんではお腹の中に病気が広がってしまうことが多いです。食事がうまくとれない、体の中で痛い部位がある、お腹が張って苦しいなどの症状が起こります。このような症状に対しては、それぞれに対処方法があります。このように病気を治すことを目的とせず、出現する様々な苦痛の軽減を目的として行う治療を緩和ケアといいます。手術や抗がん剤治療と同時に早期から緩和ケアを並行して行うことが非常に大切です。それぞれの症状については気兼ねなく主治医に相談するようにしましょう。