大腸がん術後の食事の進め方と心と体に優しいレシピ
消化の良い豆腐と卵をたっぷり使った、とろとろのあんかけ丼です。ご飯と一緒にサラッと食べられ、タンパク質も豊富に摂取できます。
材料(1人分)

温かいご飯:軽く1膳分(約150g)
絹ごし豆腐:1/4丁(約75g、1㎝角に切る)
卵:1個
だし汁:150ml
醤油:小さじ1
みりん:小さじ1/2
水溶き片栗粉:小さじ1の片栗粉を水大さじ1で溶く
小ねぎ(小口切り):少量(飾り用、気になる場合は 避ける)
作り方
鍋にだし汁、醤油、みりん、1㎝に切った豆腐を入れて火にかける。
ひと煮立ちしたら、水溶き片栗粉を加えてとろみをつける。
溶き卵を回し入れ、ふわっと固まったら火を止める。
温かいご飯の上にかけ、お好みで小ねぎを散らす。
※豆腐は絹ごしを使うと口当たりが滑らかで消化に良いです。卵は半熟にせず、しっかり火を通しましょう。
水分補給の重要性
The Importance of Hydration
大腸がんの回復期、特に退院後~術後1ヶ月の間は、手術の影響や食事制限、また術後の便通の変化(下痢や便秘)によって、体内の水分が失われやすくなるため、意識的な水分補給が非常に大切になります。
1日に必要な水分量は体格や活動量によって異なりますが、目安として1.5~2リットルを目標に、ご自身の体調に合わせて意識して水分を摂るようにしましょう。尿の色が薄い黄色であれば、十分に水分が摂れているサインなので、意識してみてください。
【効果的な水分補給の方法】
こまめに少量ずつ
一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯程度の常温の水を、喉が渇く前にこまめに摂るのが理想的です。特に食前や食中、食後に意識して水分を摂りましょう。
常温または温かい飲み物
冷たすぎる飲み物は、腸に刺激を与えてしまう可能性があります。常温の水やお茶、ぬるま湯などが胃腸に優しくおすすめです。
カフェイン・アルコールは控える
カフェインには利尿作用があり、アルコールは腸を刺激するため、この時期は避けましょう。麦茶、ほうじ茶、番茶、白湯などを飲むよう心がけましょう。
経口補水液の活用
下痢などで脱水症状が心配な場合は、市販の経口補水液を活用するのも効果的です。ただし、甘味料などが含まれているものもあるため、医師や薬剤師に相談のうえで選びましょう。
大腸がん術後の外食とメニュー選びのポイント
大腸がんの手術を終え、回復が進んでくると、気分転換や社会生活の一環として「外食に行きたい」と考える方も多いでしょう。外食を始める時期は、個人の回復状況や手術の種類、合併症の有無により大きく異なり明確な基準があるわけではありませんが、ここでは一般的な外食を始める時期の目安と、最初の外食のポイント、外食時のメニュー選びのポイントについてお伝えします。ご自身の体調と相談し、ご家族やご友人との楽しい外食のひとときを過ごしてください。
【外食を始める時期の目安】
~術後1ヶ月~3ヶ月以降が目安~
医師からの許可が出ていること。
体調が安定していること。
下痢や便秘、腹痛などの消化器症状が落ち着いている。
食欲が安定し、自宅での食事が問題なく摂れている。
体重が安定傾向にある、または回復傾向にある。
倦怠感が少なく、外出できる体力がある。
【最初の外食のポイント】
短時間で済ませる。
自宅から近い場所を選ぶ。
落ち着いた雰囲気の場所を選ぶ。
【外食時のメニュー選びのポイント】
消化に良い調理法のものを選ぶ。
「煮る」「蒸す」「茹でる」「焼く(油をあまり使わない)」料理
低脂肪、低残渣を意識する。
鶏ささみ、鶏むね肉、赤身の魚(白身魚)、豆腐料理、白米、うどん、食パンなど。
刺激物(辛い料理、酸味の強い料理、カフェイン、アルコール、炭酸飲料)を避ける。
温かいものを選ぶ。
量を調節できるか確認する。
アレルギーや食事制限の相談
可能であれば、事前にレストランに相談し、アレルギーや食事制限(低脂肪、低残渣)などを伝えておくと、適切なメニューを提案してもらえることがあります。

水澤先生のワンポイントアドバイス
入院中の栄養指導の中で患者様とよく話題になるのが、”退院したら何が食べたいか”というお話。皆さん、「焼肉」や「お寿司」と答えてくださることが圧倒的に多いです。焼肉は脂質が多いし、退院後すぐは無理そう…と予測がつくのですが、お寿司はどうでしょう?脂も少なそうだし良いのでは。と思いませんか?
実際、私が担当させていただいた患者様で、「退院祝いに家族でお寿司を食べに行って、お腹をひどく下しました」という方が数名いらっしゃいました。
入院中の食事は火が通っているお料理ばかりで、食材にも気を使われており、術後の消化負担が少なくなるように工夫されています。お寿司は確かに脂質は少ないですが、塩分が多く、また生魚をたくさん食べることは意外に消化負担がかかります。
近年では全身の衰弱を予防するため、術後早くから食事や運動が開始になることが多く、その分退院までの日数も短くなっています。そのため、退院するときにはまだまだ術後の傷は癒えていないまま。退院したから何でも食べてOK!ではなく、むしろ食事療法は退院してからが本番です。ゆっくりと身体と向き合って、少しずつ好きな食べものを楽しんでいってください。
まとめ
大腸がんの手術を受けた後は、身体と相談しながらゆっくり食事を進めていくことがとても大切です。手術後の消化器はまだ十分な機能が回復しておらず、大量の食べ物を一度に消化吸収する能力が低下しているため、無理なく進めていくことが大切です。
退院後1ヶ月は、脂肪や食物繊維の少ない「やさしい食事」を中心に、術後1ヶ月から3ヶ月経つ頃には、「水溶性食物繊維」を少量から摂取し、徐々に「不溶性食物繊維」を加えながら、通常の食事に慣らしていくために食事の幅を少しずつ広げていきましょう。また主治医からの許可が出たら、気分転換にご自身の体調と相談しながらご家族や友人と外食を楽しむこともできるようになります。段階的な食事の摂り方と、ご紹介したレシピを参考に、心と体の両面から回復を支えていく一助となれましたら幸いです。

