【進行期肺がん】放射線治療と暮らし
早期肺がんでは根治をめざす目的で、より集中的に照射されることが多い放射線治療ですが、進行期肺がんでは、病気の進行を抑えたり、症状を和らげたりすることを目的に行われます。根治をめざす場合もありますが、多くは「がんによるつらい症状を軽くする」「生活の質を保つ」ことが大きな役割となります。
本記事では、副作用に配慮しながらも、残された時間をより自分らしく過ごすための生活の工夫やサポートについてご紹介します。
-もくじ-
放射線治療の副作用と備え
放射線治療では、倦怠感や食欲不振、皮膚の赤み、咳や喉の違和感などが生じることがあります。進行期では治療範囲が広くなったり、すでに体力が落ちているため、副作用が強く出やすい傾向があります。そのため、症状が出たときにすぐ相談できる体制を整えておくことが重要です。
早期の場合は比較的体力が保たれており、副作用も軽度で済むことが多いのに対し、進行期では放射線治療が日常生活に影響しやすいことも多くでてきます。
放射線治療中の日常生活
【食事】吐き気・食欲低下
への対応策
[Meals] Ways to Deal with Nausea and Loss of Appetite
放射線治療中は味覚が変わったり、吐き気が出たりすることがあります。香りの強い料理は避け、冷たくさっぱりしたものや、消化のよいおかゆ、そうめんなどを取り入れると食べやすい場合があります。無理に量をとらず、少量を数回に分けることも有効です。
進行期ではがんそのものによる食欲低下や、抗がん剤との併用による強い吐き気が加わることも多いため、早期よりも工夫が必要になります。栄養補助食品や医師の指示による点滴栄養なども選択肢に入ります。

大石先生のひとこと
放射線治療や抗がん剤による吐き気は、その起こり方によって対処方法が変わります。食事の前に、レモン水やお茶でうがいをすると口腔内がさっぱりすることもあります。
調理しているときに吐き気が起こりやすい場合は、油を使う調理方法を避けることを勧めています。さらに冷凍保存や調理済のお惣菜を利用して調理時間そのものを短縮する方法をとっている患者さんもいます。
食事をしているときに吐き気を感じた患者さんは、湯気のにおいが苦手と話されていました。その場合は、温かい食事より冷たい料理や常温の料理を勧めています。
【睡眠】痛みや不安で
眠れないときの対処法
[Sleep] Tips for When Pain or Anxiety Keeps You Awake
痛みや不安で眠れない夜が続くと、心身に負担がかかります。
寝る前に温かい飲み物で体を落ち着けたり、リラックスできる音楽を聴いたりするのも助けになります。早期では副作用による睡眠障害が中心ですが、進行期ではがんそのものの痛みや「今後への不安」が強く影響するため、緩和ケアチームとの連携がより重要になります。痛み止めや睡眠導入剤を医師に相談することで、眠りやすくなる場合もあります。

大石先生のひとこと
不眠で悩まれていた70代の患者さんの中には、「布団に入ったら寝なくてはいけない」というプレッシャーから、かえって眠れなくなってしまった方がいらっしゃいました。日中軽い運動を行い、寝る前にはテレビやスマートフォンを見ないという工夫をされていましたが、一番効果的だったのが「眠くなってから布団に入る」という方法でした。
効果があった理由としては、布団に入った瞬間に「寝なくてはならない」という緊張感が軽減され、リラックスできたからではないかと考えています。さらに、体内リズムに合わせて、眠くなったタイミングで布団に入ることで自然と入眠しやすくなり、「布団=眠る場所」という条件付けができたのではないかと考えています。
【入浴】体調や皮膚の状態
に合わせた入浴
[Bathing] Bathing Tailored to Your Physical Condition and Skin Type
入浴は血行を促し、気分転換にもつながります。ただし、治療部位の皮膚に赤みやかゆみがある場合は、長湯や熱いお湯は避け、ぬるめのお湯で短時間にとどめましょう。シャワーだけで済ませる日があっても構いません。
進行期では体力低下や呼吸困難で「入浴そのものが負担」になる場合があるため、介助や入浴用の福祉サービスの利用、また体調がすぐれないときは無理をせず、からだを拭くことで清潔を保つなどの工夫が必要です。

大石先生のひとこと
入浴時に呼吸困難感を訴える患者さんは少なくありません。洗体動作や洗髪動作で疲労を感じ、全過程に1時間かかる方もいらっしゃいます。
病院での指導例は以下の通りです。
座面の高いシャワーチェアーを使用する
洗い場用の低い椅子(約20㎝)では体幹を前に倒してしまい、横隔膜の動きが妨げられます。座面が高い椅子を使うことで、呼吸がしやすくなります。低い椅子を使う場合の工夫
足を組むようにして座ると、腹部の圧迫を避けながら洗体が可能です。洗体タオルを長めにする
短いタオルだと背中を洗うときに首の呼吸補助筋が過度に働き、呼吸困難になりやすいです。長いタオル(又はループタオル等)を使うと、肘の運動を中心とした効率的な動作ができ、負担が軽減します。
洗髪は首を少し傾け、片手ずつ行う
両腕を上げたまま洗うと息を止めやすく、呼吸困難になりやすいです。首を左右に少し傾け、片手ずつ洗うと楽に行えます。
【次ページ】
【外出】付き添いやサポートを 前提とした外出

