直腸がんを中心とした大腸がんにおける放射線治療の役割
直腸がんと診断され、放射線治療を勧められたとき、「放射線は体に悪いのではないか?」「放射線治療で本当にがんを治せるの?」など、様々な不安や疑問を抱える方も多いのではないでしょうか?
現代の医療現場では、放射線治療は患者さんの体への負担を最小限に抑えながら、がんに対して、他の治療方法では達成できない治療効果をもたらしてくれます。特に直腸がんにおいては、即時の手術が難しいケースや、肛門の機能を温存したい場合に広く用いられており、患者さんのQOL(生活の質)を大きく左右する重要な役割を担っています。
この記事では、大腸がん(主に直腸)の放射線治療がどのようなときに選択されるのか、期待できる効果と治療の進め方、合併症とその対処法までわかりやすく解説していきます。放射線治療に前向きな気持ちで臨むためのきっかけとなれましたら幸いです。
-もくじ-
放射線治療の役割
大腸がんの放射線治療は、がん細胞を狙って、増殖能力を失わせることでがんを縮小させることで効果を発揮します。
この章では、大腸がん治療における放射線治療の主な目的、どのような状況で放射線治療が適用されるのか、そして一般に副作用とも呼ばれる放射線照射に伴う「合併症」について解説します。そして、精密な放射線治療を安全かつ効果的に行うため、治療の現場では、医師だけでなく、放射線部門の診療放射線技師、看護師といった多職種の専門家が連携する『チーム医療』が実践されています。それぞれの専門家が密に情報を共有し、あなたの治療が計画通りに、高い精度で進められるよう日々確認を行っています。
放射線治療の主な目的
Primary objectives of radiation therapy
直腸がんにおける放射線治療は、比較的進行した状態の直腸がん、特に、周囲組織への浸潤が疑われる場合に行われることがあります。他にも直腸では手術時に見えないがん細胞が、再びその場所で増殖「局所再発」するのを予防する目的での術後照射としても用いられることがあります。また、大腸全般では進行したがんが周囲の神経を圧迫することで強い痛みが生じたり、出血や腸閉塞(イレウス)の原因になっている場合に症状を緩和させる目的で用いられることがあり、がんを縮小させ痛みや出血を抑えることで、患者さんの生活の質(QOL)を改善することを目的としています。
放射線治療が適用されるケース
Cases where radiation therapy is indicated
大腸がんにおいて次の場合に放射線治療が適用されます。
骨盤内の狭い空間に位置している進行した直腸がんの場合
症状(出血や腹痛・腸閉塞)があるときに、高齢であったり、体力的な問題があったり、持病によって全身麻酔を伴う手術のリスクが高く手術が困難な場合
がんが再発した場合、その再発部位が痛みや出血などの症状を起こしている場合
メリット・デメリット
Pros and Cons
放射線治療はメリットを持つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。治療を受ける際は医師とよく相談することが大切です。ここでは、放射線治療のメリットとデメリットについて説明していきます
【メリット】
肛門機能の温存ができることがある
直腸がんでは、発生部位によって手術では永久的な人工肛門が必要になります。放射線治療に化学療法を組み合わせた、放射線化学療法では、治療反応が極めて良好な一部の場合に限って、専門施設の厳格な経過観察下で手術の回避が検討され、その場合には肛門機能が温存されます。この場合は生活の質(QOL)が大きく向上することが期待されます。身体への負担が小さい
高齢の方や合併症がある方など、全身麻酔や大規模な手術が困難な場合、出血などの生命にかかわる症状がある場合でも、放射線治療であれば治療を受けられることがあり、身体への負担は比較的小さくすむことが期待されます。局所再発のリスク低減
狙ったがん組織に集中してダメージを与え、周囲の正常組織への影響を最小限に抑え、がんを効果的に縮小させることが可能になるため、直腸がんの術後の一部で、局所再発のリスクを抑えることが期待できます。
【デメリット】
生活の質(QOL)の低下
放射線照射は手術に比べて身体へのダメージは少ない傾向がありますが、一方で放射線を照射する部位や、照射量によって、治療中に起こる「急性期合併症」と、治療後数ヶ月から数年経ってから現れる「晩期合併症」により患者さんの生活の質(QOL)を低下させる可能性があります。しかしながらその頻度は決して高いものではありません。
急性期合併症
・消化器症状
・泌尿器症状
・皮膚症状
・全身倦怠感
晩期合併症
・放射線性直腸炎、膀胱炎
・腸閉塞(イレウス)
・骨盤骨折
・神経障害効果に限界がある場合がある
広範囲に広がっているがんや、放射線が効きにくいタイプのがんに対しては、放射線治療単独での治療がその有効性が低い場合があります。
通院負担や精神的ストレス
治療期間が長く・連日であり、それが数週間にわたることがあり、通院負担や精神的なストレスを考慮する必要があります。
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放射線治療の種類

