家族で看取る「穏やかな最期」 Peaceful end-of-life care" with family members
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10/14 (水) 09:11更新

直腸がんを中心とした大腸がんにおける放射線治療の役割

The Role of Radiation Therapy in Colorectal Cancer, with a Focus on Rectal Cancer
医師 
喜田凛
卒後20年目の医師、初期・後期臨床研修後、各地で研鑽を積んだ後、現在は某地方病院消化器内科部長を務めている。消化器疾患・消化管内視鏡分野の診断・治療を担当し、日々患者さんの病に一緒に立ち向かっています。
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治療費の目安

大腸がんの放射線治療にかかる費用は、治療の種類、期間、使用する機器、併用療法(化学療法)、入院の有無、そして患者さんが加入している医療保険の種類により大きく異なります。ここでは大腸がんの放射線治療として主に行われる「外部照射」について標準的な治療を受けた場合の「保険適用前の医療費総額(10割負担)」と「高額療養費制度を利用した場合の自己負担額(窓口で実際に支払う金額の目安)」に分けて、おおよその金額を説明します。

 

 

医療費(10割負担)と
実際に支払う自己負担額の目安

Estimated medical costs (full cost) and 
the actual out-of-pocket amount to be paid

 

【保険適用前の医療費総額(10割負担の金額)】

  • 放射線照射の主な治療費の内訳

    ・放射線治療計画料:治療開始前のCTやMRI画像に基づいた線量を決定するための費用。
    ・放射線治療実施料:1回あたりの料金が、総照射回数分かかります。
    ・画像誘導放射線治療(IGRT)加算:治療の精度を高めるために、毎回画像で位置を確認する治療を行う場合にかかる費用。
    ・診察料・検査料:定期的な医師の診察や血液検査、CT、MRI画像検査の費用。
    ・入院費(入院して治療を受ける場合):病室代、食事代など
    ・薬剤費:併用する化学療法や合併症を抑えるための薬剤費

    ➀週5回程度の照射を数週間(例:5~6週間)継続するのが一般的で、総額数十万円~100万円以上となることが多いです。

    ➁強度変調放射線治療(IMRT)や回転型強度変調放射線治療(VMAT)などの高精度放射線治療は、従来の治療より費用が高額になる傾向がありますが、多くの場合健康保険が適用されます。

    ➂粒子線治療(陽子線治療や重粒子線治療)は大腸がん全てで標準治療とは扱われず、限られた施設でのみ実施されています。外科手術後の再発で、切除が難しいケースで重粒子線治療は保険適応となりますが、それ以外では先進医療・自由診療の扱いとなり、保険適用外のため、その費用は300万円前後と高額になります。

 

【実際に支払う自己負担の目安】

  • 日本の「高額療養費制度」では、患者さんの自己負担額には「収入(正確には標準報酬月額や所得区分)」に応じた上限が設けられています。

    ※高額療養費制度を利用した場合の目安

    • 放射線治療計画料、実施料、IGRT加算、診察、検査料、入院費、薬剤費を合わせた総医療費(10割負担の金額)を100万円とし、一般的な所得区分(年収約370万円~約770万円)の場合で見ていきます。

    ➀各項目にかかる自己負担額の合計(3割負担の場合)

    ・放射線治療計画料:例として総医療費の10%⇒10万円(3割負担3万円)
    ・放射線治療実施料:例として総医療費の50%⇒50万円(3割負担15万円)
    ・画像誘導放射線治療(IGRT)加算料:例として総医療費の5%⇒5万円(3割負担1.5万円)
    ・診察料・検査料:例として総医療費の15%⇒15万円(3割負担4.5万円)
    ・入院費:例として総医療費の10%⇒10万円(3割負担3万円)
    ・薬剤費:例として総医療費の10%⇒10万円(3割負担3万円)
    ・合計(3割負担)=30万円

    ➁高額療養費制度適用した場合

    ・➀で計算された30万円が、1ヶ月の医療費として窓口で支払う金額になりますが、高額療養費制度の自己負担限度額が87,430円なので、30万円から87,430円を差し引いた212,570円が後日払い戻される金額となり、患者さんの最終的な自己負担額は87,430円となります。

    「限度額適用認定証」の手続きを、市区町村窓口や所属する協会けんぽ・組合健保・共済組合で行い、すでに手元に持っている場合、認定証を提示すれば最初から所得に応じた自己負担限度までの支払いとなり、一時的な家計の負担を大幅に軽減することができます。

    限度額適用認定証の発行手続きは、ご自身が加入している健康保険組合、または全国健康保険協会(協会けんぽ)の各支部で申請をして発行してもらいます。
     

    または多くの場合、会社の総務部や人事部で手続きの案内を受けられますので、確認をしてみてください。 

 

まとめ

大腸がんの放射線治療は、がん細胞を効果的に攻撃し、腫瘍の縮小や局所再発の予防、さらには肛門機能の温存や症状緩和に重要な治療選択肢となります。術前・術後、そして化学療法との併用、IMRTのような最新技術により、患者さん一人ひとりの状態に合わせた精密な治療が可能になりました。治療に伴う急性期・晩期の合併症は避けられない面もありますが、医療機関での専門的なケアとご自身でできる日々の食事や生活習慣の工夫により、負担を軽減することができます。放射線治療の道のりは、決して一人で歩むものではありません。あなたの主治医、放射線治療医、看護師、診療放射線技師など、多くの専門家から成る医療チームが常に寄り添い、支えています。何か不安なことや分からないことがあれば、いつでもチームの誰かに声をかけてください。そして、この記事が放射線治療を検討されている方、放射線治療中の患者さんのみならず、患者さんを支える方の一助となりましたら幸いです。

 

【参考文献】

・大腸癌取扱い規約 第9版(金原出版株式会社, 2018)

・大腸癌治療ガイドライン 医師用 2024年版 (金原出版株式会社, 2024)

 

喜田凛=監修