希少肺がんとは?
肺がんの中には、患者数が少なく「希少肺がん」と呼ばれるタイプがあることをご存じでしょうか。肺カルチノイド、肺腺様嚢胞癌、肺粘表皮がんは、いずれも一般的な肺がん(非小細胞肺がん、小細胞肺がん)とは性質や進行の仕方、治療方針が異なる希少ながんです。症例数が少ないため診断が難しく、治療に専門的な判断が求められる一方で、進行がゆっくりなものも多く、早期発見と適切な治療により長期生存が期待できるケースもあります。
本記事では、これら3つの希少肺がんについて、わかりやすく解説し、患者さんとご家族が納得して治療に向き合うためのポイントをお伝えします。
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希少肺がんとは
希少肺がんとは、肺がん全体の中でも発生頻度が低いタイプのがんを指します。
明確な定義はありませんが、一般に肺がん患者さんの数%程度とされ、非小細胞肺がんや小細胞肺がんに比べて患者数が少ないのが特徴です。
代表的なものに肺カルチノイド、肺腺様嚢胞癌、肺粘表皮がんがあります。
希少肺がんの特徴
Characteristics of rare lung cancers
希少肺がんは症例数が少ないため、一般の医療現場で経験する機会が限られ、診断までに時間がかかることがあります。また、標準治療のエビデンス(科学的根拠)が十分でないケースもあり、専門的な判断が求められます。
早期発見と、希少がんの診療経験がある医療機関での専門的治療が、予後や生活の質を大きく左右する重要なポイントとなります。
肺カルチノイドとは
肺カルチノイドの特徴と発生頻度
Characteristics and incidence of pulmonary carcinoid tumors
肺カルチノイドは、神経内分泌細胞から発生する腫瘍で、希少肺がんの中では比較的多いタイプです。肺がん全体の1〜2%程度とされています。
肺カルチノイドは顕微鏡による病理評価によって、がん細胞の増え方や壊死*1の有無などを評価し、定型カルチノイドと非定型カルチノイドに分類されます。
壊死*1
体の細胞や組織がダメージを受けて死んでしまった状態のこと
「定型カルチノイド」と「非定型カルチノイド」の分類は、治療方針や予後を考えるうえでとても重要です。以下の表で、両者の違いを解説します。
| 定型カルチノイド | 非定型カルチノイド | |
| 特徴 | がん細胞の増え方がおだやかで、壊死がみられない | がん細胞が活発に増えていて、その勢いに組織がついていけず、壊死を伴うことがある |
| 進行の速さ | 進行が遅く、転移しにくい | 増殖が速く、リンパ節や他臓器への転移リスクが高い |
| 頻度 | 全肺カルチノイドの約 80〜90% | 全肺カルチノイドの約 10〜20% |
肺カルチノイドの主な症状
Main symptoms of pulmonary carcinoid tumors
肺カルチノイドは、気管支の内側にできやすいという特徴があり、空気の通り道が狭くなることで症状が現れます。
代表的なものは次のとおりです。
咳:長く続く咳や、風邪が治っても改善しない咳
血痰(けったん):痰に血が混じる
息切れ・呼吸困難:少し動いただけで息が苦しくなる
胸の違和感や痛み:腫瘍が気管支を刺激することで起こることがある
繰り返す肺炎や発熱:気管支が詰まり、感染を起こしやすくなるため
一方で、肺カルチノイドは進行が比較的ゆっくりなため、症状がほとんどないまま経過することも少なくありません。
その場合、健康診断の胸部X線やCT検査で偶然発見されるケースも多くみられます。
また、まれに腫瘍から分泌されるホルモンの影響で、顔のほてり、動悸、下痢などが起こる「カルチノイド症候群*2」を伴うこともありますが、肺カルチノイドでは頻度は高くありません。(全体の1-5%程度)
カルチノイド症候群*2
カルチノイド腫瘍から分泌されるホルモン様物質(体内でホルモンと似た働きをする化学物質)の影響で、顔のほてりや下痢、動悸などの全身症状が現れる状態

上原先生のご経験談
~喘息と診断されていたカルチノイド~
以前、私が担当した患者さんの中に、1年近く『難治性の喘息』として治療を受けていた方がいらっしゃいました。吸入薬を使っても咳やゼーゼーする音が治まらず、ようやく気管支鏡検査を行ったところ、気管支を塞ぐように発生した真っ赤なポリープ—肺カルチノイドが見つかったのです。
患者さんが感じていた『喘息発作』は、実は腫瘍の隙間を空気が通る時の音でした。手術で腫瘍を切除した後に、症状は消失しました。
『長引く咳や喘鳴は、ただの風邪や喘息ではないかもしれない。』この視点を持つことが、希少がんの早期発見には大切です。
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肺腺様嚢胞癌とは

