希少肺がんとは?
希少肺がん3タイプの治療法の違い
肺カルチノイド、肺腺様嚢胞癌、肺粘表皮がんはいずれも早期であれば手術が治療の中心となります。しかし、がんの性質や悪性度の違いにより、治療選択や術後の対応、再発への備えは大きく異なります。
ここでは、3つの希少肺がんの治療方針の違いをわかりやすくまとめました。
疾患名
肺カルチノイド基本治療
手術進行・再発時の治療
一般的な抗がん剤は効きにくいですが、進行例には「ソマトスタチンアナログ」や「分子標的薬*7(エベロリムス)」、さらに新しい核医学治療*8「PRRT(ルタテラ)」などが用いられる特徴・ポイント
定型と非定型で悪性度が異なり、治療方針と予後が変わる
分子標的薬*7
がん細胞が増えたり生き続けたりするのに重要な“特定の分子”だけを狙って働く薬
核医学治療*8
放射線を出す薬を使って、病気の細胞をねらって治療する方法
疾患名
肺腺様嚢胞癌基本治療
手術進行・再発時の治療
・切除不能例で放射線治療が重要
・抗がん薬の効果は限定的特徴・ポイント
気道や神経に沿って広がりやすく、遅発再発が多いため長期フォローが必須
疾患名
肺粘表皮がん基本治療
手術進行・再発時の治療
高悪性度では抗がん薬や放射線治療を追加することがある特徴・ポイント
病理による悪性度評価が治療方針と予後を左右
希少肺がんの診断で知っておきたいこと
希少肺がんは、一般の医療現場で経験される機会が少ないため、診断までに時間がかかったり、診断が難しいことがあります。そのため、患者さんやご家族が「なかなかはっきりしない」「説明が難しくて不安」と感じることも少なくありません。
ここでは、診断を受けるうえで知っておきたい大切なポイントをまとめます。
正確な病理診断が治療のカギ
Accurate pathological diagnosis is the key to treatment.
希少肺がんでは、画像検査だけでがんの種類を確定することは難しく、病理診断が重要です。
採取した組織を詳しく調べ、免疫染色などの専門的な検査を行うことで、がんの種類を見極めます。
この診断結果によって、手術の適応、薬物療法や放射線治療の選択、予後の見通しが大きく変わるため、正確な診断が治療の出発点となります。
希少がんの経験がある
施設での診断が重要
Diagnosis at a facility with experience
in treating rare cancers is important.
症例数が少ない希少肺がんでは、病理医や呼吸器専門医の経験の差が診断精度に影響することもあります。
そのため、下記のような場合は、希少がんの診療実績がある専門施設 (国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、都立駒込病院、がん研有明病院、各都道府県のがんセンター・がん診療連携拠点病院等)での再評価を受けることが勧められます。
診断がはっきりしない
治療方針に迷いがある
希少肺がんと言われた
セカンドオピニオンも
大切な選択肢
A second opinion is also an important option.
希少肺がんと診断されたとき、セカンドオピニオンを受けることは決して特別なことではありません。
「診断は正しいか」「他に治療の選択肢はないか」「専門施設での治療が必要か」を確認することで、納得して治療に進むための大切な機会になります。

上原先生からのメッセージ
~セカンドオピニオンのすすめ~
『今の先生に悪いから』とセカンドオピニオンを躊躇する患者さんは多いですが、希少がんにおいて、セカンドオピニオンは『患者さんの権利』である以上に『確認作業』と言っても過言ではありません。 特に病理診断の確認や、特殊な放射線治療・核医学治療といった特殊な治療の適応判断は、限られた施設でしかできません。別の専門家の意見を聞くことは、現在の主治医の診断への信頼を深めることにも繋がりますし、新たな治療の扉を開くことにもなります。遠慮せず、最善の道を探ってください。
不安や疑問は
遠慮なく医療者に伝える
Do not hesitate to share any concerns
or questions with healthcare professionals.
希少肺がんは情報が少なく、インターネットで調べても答えが見つからず、不安が大きくなりがちです。
「進行度はどのくらいか」「どんな治療の選択肢があるのか」など、疑問は、遠慮せずに医師や医療スタッフに確認しましょう。メモを取ったり、家族と一緒に説明を聞くことも有効です。
まとめ
肺カルチノイド、肺腺様嚢胞癌、肺粘表皮がんは、いずれも発生頻度が低い「希少肺がん」に分類され、一般的な肺がんとは異なる特徴をもっています。そのため、希少がんの診療経験がある専門施設での治療や、必要に応じたセカンドオピニオンの活用が、納得のいく医療につながります。
情報が少なく不安になりやすい病気だからこそ、一人で抱え込まず、医療者とよく相談しながら、自分に合った治療と向き合っていくことが大切です。

