大腸がんによる腹膜播種(ふくまくはしゅ)の治療法と選択肢
「腹膜播種という状態です」と告げられたとき、多くの方が戸惑いと先の見えない不安を抱えることと思います。この記事では、まず腹膜播種とはどのような病気の状態で、どのような検査をして治療法を選択していくのか解説していきます。また、医学的な情報に加え、ご本人や支える周囲の方ができる具体的なサポートについても、「これから過ごしていく時間」を大切にし、ご本人と支える周囲の方の心と生活も守りながら、治療と共に歩む一助となれましたら幸いです。
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腹膜播種とは?
腹膜播種とは、がん細胞が腹腔内に散らばり、お腹の内臓を覆う「腹膜」に付着・増殖していく状態を指します。まるで植物の種が地面にばら撒かれるように広がることから「播種」と呼ばれます。ここでは大腸がんにおける腹膜播種の発生頻度と特徴について説明をしていきます。
腹膜播種の発症頻度と特徴
Incidence and characteristics of peritoneal dissemination
進行がん、特に「ステージⅣ」と診断されるケースで腹膜播種が認められることが多く、進行した大腸がん全体で見ると約5~10%の患者さんに腹膜播種が見られると言われています。
がんが漿膜(大腸の最も外側の膜)を突き破り腹腔内に露出した場合や、手術中にがん細胞が腹腔内にこぼれ落ちるような状況や、腫瘍が穿破と言って、破裂する状況は、腹膜播種のリスクを高める要因とされています。
腹膜播種の症状
Symptoms of peritoneal dissemination
腹膜播種の初期症状は非常に気づきにくく、漠然とした腹部の違和感や不快感、食欲不振や倦怠感などを感じても、これらは他の多くの疾患でも認められる一般的な症状であるため、特有の兆候に乏しいのが実情です。進行に伴ってがん細胞が増殖し腹膜全体に広がると、周囲の臓器を圧迫し機能を妨げるようになり、「腹水貯留(※1)による腹部膨満感」や「腸閉塞(※2)による嘔吐・腹痛」などの症状が現れます。ここではそれぞれの症状について、具体的に説明します。
腹水貯留による腹部膨満感

・ お腹が強く張り、見た目にも変化が見てとれる
・ 呼吸が苦しく、深呼吸しにくくなる
・ 食事が摂りにくくなる
腸閉塞
・ 吐き気を感じたり、嘔吐してしまう
・ 激しい腹部の痛みを感じる
・ 排便、排ガスがとまってしまう
※1:腹水貯留
腹腔というお腹の空間に、通常以上の水分(腹水)がたまっている状態のことをいいます。
※2:腸閉塞
腸の中を通る食べ物やガス、消化液などが何らかの原因で通れなくなり、腸の運動が妨げられる状態のことをいいます。
腹膜播種の診断方法
腹膜播種はがんが腹膜にばら撒かれるように広がる状態であり、小さな病巣部が散らばって存在することから診断が難しいケースもあります。適切な診断があって初めて最適な治療へと進むことができるため、播種の診断は重要になります。ここではどのような検査を行い腹膜播種の診断がされるのかをお伝えしていきます。
画像検査
Image Inspection
大腸がんにおける腹膜播種の診断で画像検査「CTスキャン(コンピュータ断層撮影)」、「PET-CT(陽電子放出断層撮影)」は、体を傷つけずにがんの広がりや他の臓器への転移の有無を把握することができますが、腹膜播種においては課題となる点がいくつか存在します。
比較的大きながんの塊(結節)や、腹水(お腹に水が溜まる状態)の有無などを検出するのに役立ちます。また造影剤を使用することで、がん組織と正常組織の区別がつきやすくなり、より診断精度が高まります。
がん細胞が正常細胞よりブドウ糖を多く取り込む性質を利用し、ブドウ糖に似た薬剤を体内に注射し、がんの活動部位を特定します。CTとPET-CTの画像を重ね合わせることで、がんの正確な位置と状態を同時に評価でき、小さな病変やリンパ節転移、遠隔転移の発見にも繋がります。
微細な病変の検出困難
腹膜に散らばるがん病変が小さかったり、薄く広がったり、砂粒のように散らばっている場合には、CTスキャンやPET-CTでも捉えきれず、直径数ミリ以下の病変は画像で写ってこないとされます。腹膜の構造上の問題
腹膜は臓器を包み込むように存在しているため、複雑な形状をしています。その奥に隠れたがん病変は画像で現れにくいことがあります。炎症との区別
腹膜炎(※3)など、がん以外の炎症が腹膜に生じている場合、画像上ではがんとの区別が難しくなります。
※3:腹膜炎
お腹の中の臓器の表面や腹壁の内側を覆う薄い膜である「腹膜」に様々な原因により炎症が起きる病気のことをいいます。
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審査腹腔鏡検査

