【進行期肺がん】手術後の暮らし
進行期(ステージ3・4)の肺がんでも、腫瘍の位置や広がりによっては手術が行われることがあります。しかし、早期と比べると術後の回復にはより多くの課題があり、生活の工夫が欠かせません。ここでは、進行期の手術後に特徴的な心身の変化や、日常生活を送るうえでの留意点を解説していきます。
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進行期肺がん手術後にみられる特徴
進行期では、手術の範囲が広くなることや合併症*1のリスクが高いため、術後の体力低下が長引く傾向があります。早期肺がんでは「回復に向けて少しずつ社会復帰する」という流れが多いのに対し、進行期では「体力の維持」や「再発・転移への不安」と向き合うことが大きなテーマとなります。また、術後に追加で化学療法や放射線治療を受けるケースもあり、治療の副作用が生活に影響することもあります。
合併症*1
ある病気にかかったり治療を受けたりしているときに、その影響によって新しく起こる別の病気や症状のこと
【食事】無理なく続ける工夫
進行期の手術後は、食欲不振や嚥下障害(飲み込みにくさ)が出やすいのが特徴です。早期の回復食が「たんぱく質やビタミンを意識した食事」だったのに対し、進行期では「いかに食べられるものを工夫して摂取するか」が重要になります。
進行期の手術後の食事ポイントは以下の3点です。
硬い食品は避け、やわらかい煮物やポタージュ、プリンなどを取り入れる。
少量でもエネルギーを補える高カロリー補助食品や栄養ドリンクを活用する。
また牛乳や豆乳は進行期の患者さんでも摂取しやすく、エネルギー補給が可能。嚥下障害がある場合はトロミをつける、誤嚥しにくい姿勢(首を前に曲げた姿勢、首とあごの間に3~4本の指が入る程度)で食べる。
また「一度に多く食べる」のではなく「少量を数回に分けて」取り入れると負担が軽減します。大切なのは「完璧な栄養」ではなく「食べられるものを無理なく続ける」ことです。

大石先生のひとこと
肺がん患者さんから「食事のときに飲み込みづらく、むせることが増えた」という訴えをよく聞きます。多くの方が首や上半身の姿勢に注意を向けがちですが、下半身の安定性も非常に重要です。
実際に70代男性の患者さんは、手術後は飲み込みがうまくいかず、1食に1時間以上かかることもありました。そこで、股関節をしっかり曲げて、足底が床にしっかりついている状態を作り、体幹が安定するよう環境を整えました。その結果、首や肩の余計な緊張が自然と抜け、食べ物の取り込み・嚥下動作がスムーズになりました。
テーブルの高さや椅子の座面、必要に応じたクッションを使って姿勢を整えるだけで、食事にかかる時間は1時間から20分まで短縮しました。「食事で体力を使い果たすことがなくなった」と本人も安心され、姿勢と環境の大切さを実感したケースです。
【睡眠】眠る工夫
進行期では呼吸困難や胸の痛みが夜間に強くなることがあり、睡眠が妨げられることも少なくありません。早期の術後不眠は「体力回復のための環境づくり」で解決できることが多いのに対し、進行期では「症状を緩和しながら眠る工夫」が求められます。
眠る工夫
上体を少し高くして眠ると呼吸が楽になる(セミファーラー肢位)
就寝前に鎮痛薬や不安を和らげる薬を調整してもらう
穏やかな音楽やアロマで気持ちを落ち着ける
夜中に起きてしまう場合は焦らず、短時間でも休養をとることを優先しましょう。眠りの質を改善することは体力の回復だけでなく、気持ちの安定にもつながります。

大石先生のひとこと
セミファーラー肢位とは、仰向けに寝ている状態から15~30度リクライニングにより上半身を起こした姿勢のことを言います。
セミファーラー肢位は、上半身がずり落ちてこないように、両ひざ下にクッションを入れてポジショニングを行います。
リクライニングベッドがあれば、リクライニング機能を使用しますが、リクライニングベッドがない場合は、上体側に布団を何枚か重ねて畳んで置き、ひざ下に枕を入れて対応することがおすすめです
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【入浴】安全に続ける工夫

