【進行期肺がん】手術後の暮らし
【入浴】安全に続ける工夫
入浴は気分転換になる一方で、進行期では息切れや体力低下のためにリスクも伴います。早期では「傷口が治れば入浴を再開できる」のに対し、進行期では「安全に続ける工夫」が重要になります。
安全に続ける工夫
入浴は短時間にし、転倒のリスクを減らすため、座面が高いシャワーチェアや手すりを利用する
家族や介助者にそばで見守ってもらうと安心です
全身浴が難しい場合は、部分浴や温かいタオルで身体を拭く(清拭)ことで清潔を保つ
無理に入浴を続けるのではなく、その日の体調に合わせて方法を柔軟に変えることが大切です。
大石先生のひとこと
入浴は日常生活動作の中で最も負担の大きい活動の一つです。
60代の男性患者さんは入浴が趣味でしたが、息苦しさのため浴槽に浸かることができずにいました。そこで、介護保険を活用してシャワーチェアを設置し、立ち上がり動作が楽になるよう工夫しました。
洗体時にはループ付きのタオルを使用し、立ち上がり動作時には細く長く息を吐く呼吸法を取り入れ、入浴後はすぐに椅子を用意して休憩できるスペースを確保しました。
さらに浴室内が冷えすぎないよう温度管理にも注意しました。こうした工夫により、患者さんは体力の消耗も減り、以前のように入浴を楽しむことができるようになりました。呼吸法や環境調整を組み合わせることで、その人らしい生活を支えることが可能となった例です。
【外出】安心して楽しむための工夫
進行期でも外出は大切な気分転換になります。ただし、酸素吸入が必要になることや、長時間の移動が難しくなることもあります。
以下の点を心がけながらの外出がおすすめです。
携帯用酸素を利用しながら外出する
バリアフリー対応の施設や休憩しやすい場所を選ぶ
出先で体調が変化したときに備えて、家族や支援サービスに付き添ってもらう
外出は「社会とつながる」大切な時間です。遠出をしなくても近所の公園での散歩や友人との短時間の面会など、小さな外出を積み重ねるだけでも生活の質は向上します。「外に出られる」こと自体が心の支えになり、病気と向き合う中でも自分らしい生活を守る助けとなることもあります。

大石先生のひとこと
60代の女性患者さんで散歩が趣味の方がいらっしゃいました。呼吸困難感が続く場合は酸素療法の適応となりますので、退院後も在宅酸素治療を導入しました。外出時には小型の携帯用酸素をリュックに入れて散歩に出かけました。杖をお守り代わりに持ちながら、自分のペースでゆっくり動作を行うことを意識されていました。
さらに、呼吸困難感を自覚してからどの程度の時間で回復できるかということを把握し、その結果をもとに、呼吸困難感がすぐに回復できる範囲かつ短時間の散歩から始め、安全に外の空気や四季の変化を感じながら散歩を楽しむことができました。がんばりすぎず、自分の体調や呼吸の回復度合いに合わせることが、外出する上で重要だと感じます。
【運動】無理のない範囲で体を動かす工夫
進行期の手術後は体力が大きく落ちやすく、早期のように「体力を戻す」よりも「できる範囲で維持する」ことが目標になります。
呼吸は肺だけがつかさどるものではありません。筋肉・心臓・血管など全身の器官が関係します。全身を動かすことで呼吸機能を高められます。
以下を意識しながら、無理のない範囲で体を動かす工夫が大切です。
リハビリスタッフと相談して呼吸リハビリを行う
在宅では椅子に座ったままできるストレッチや深呼吸運動を取り入れる
疲れやすい場合は「動く→休む」のリズムを意識する

大石先生おすすめのストレッチ
1)肩甲骨周りのストレッチ
①片側の腕を90度前方に挙上し、別の腕で挙上した肘を外側から押さえる
②口からゆっくり息を吐きながら、押さえた肘を手前に引いて、肩甲骨を回すように首と上半身を一方にひねる
※2、3秒程度ストレッチをして息を吐ききる
③息をゆっくり吸いながら両腕をおろす
④手を逆にして反対側も繰り返し、左右3回ずつ行う
2)腹式呼吸
①仰向けで膝を軽く曲げる
②手はお臍に置き、息を吐くときにお腹をへこませる
③息を吐ききったら鼻から息を吸い、おなかが膨らむのを確認する
※5~10秒かけて繰り返す
3)いす歩行
①椅子に座ったまま腕を曲げ前後に振り、歩く動作をする
②歩く速さは無理のない範囲でリズミカルに行う
③足を上げる高さは楽に上げられる程度にする
4)ひざを伸ばす運動
①椅子に座り、片足を上げて膝を伸ばしてから再びを足をもとの位置に戻す
②反対側も同様に行い、繰り返す
※太ももの筋肉を働かせるため、足先は上に向けるようにする
日常の中で「今日は廊下を歩いてみる」「明日は庭に出てみる」といった小さな目標を積み重ねることが、生活の自信につながります。
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【仕事】進行期ならではの選択肢

