大腸がんと食物繊維の関係
大腸がんと診断された後や予防を意識し始めたとき、「食物繊維を摂った方が良い」と耳にすることは多いものの、実際にはどのくらい、どんな種類を摂れば良いのか迷ってしまう方は少なくありません。手術後の腸の状態や便通の変化、再発予防のための食事改善など、状況によって適切な食物繊維の摂り方は異なります。
「野菜や果物は体に良い」とわかっていても、術後すぐに食べられるのか、硬い繊維質は腸に負担をかけないか、腸閉塞の心配はないか、こうした不安は多くの患者さんやそのご家族の共通の悩みです。この記事では、大腸がんと食物繊維の関係をわかりやすく解説し、術後の段階ごとに安心して摂取できる食材・調理法のポイントをご紹介していきます。ご自身の体の状況に合った食物繊維や食事の摂り方のヒントに繋がりましたら幸いです。
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食物繊維とは?
「食物繊維」という言葉はよく耳にしますが、具体的にどんなものか、なぜ体に良いのかを詳しく知っている方は意外と少ないかもしれません。食物繊維は健康効果の高さから「第6の栄養素」と呼ばれるほど注目されており、野菜や穀物、豆類、海藻などに豊富に含まれています。消化酵素(※1)では分解されないため、小腸で吸収されずに大腸まで届きます。水分を吸収して便の量を増やすことで腸を刺激し、排便を促します。また、腸内の善玉菌のエサとなって腸内環境を改善したり、血糖値の上昇を緩やかにする・コレステロールの値を下げるなどの働きもあります。こうした様々な作用により、生活習慣病や大腸がんの予防にも繋がる重要な栄養素とされています。
※1:消化酵素
食べたものを体が吸収しやすい小さな成分に分解する働きを持つタンパク質の一種で、唾液や胃液、膵液などから分泌され、炭水化物やタンパク質、脂肪をそれぞれ分解して栄養素が小腸で吸収されるのを助けます。そのため、消化酵素がなければ食べ物はそのままの大きな形で腸に届き、栄養が吸収されにくくなってしまいます。
食物繊維の目標摂取量
Target intake of dietary fiber
厚生労働省の発表している「日本人の食事摂取基準2025年版」において、食物繊維の摂取目標量は「成人男性(30〜64歳)22g/日以上、成人女性で18g/日以上」に引き上げられました。これらの摂取量は大腸がんの予防に効果的であることが多数の研究で示されています。しかし、摂取量が10g以上であれば大腸がんリスクを低減する効果が見られ、それ以上増やしてもリスクの減少が著しく進むわけではないとする報告もあります。
また、食物繊維はがん以外の病気の予防や腸内環境の改善においても重要な役割を果たします。過剰摂取については、明確なリスクは少ないものの、消化不良や下痢などの症状が起きる可能性があるため、注意も必要です。
【主な食品の食物繊維の含有量(100gあたり)】
穀類
・玄米(白米の4.2倍)
・胚芽米(白米の2.4倍)
・麦飯(白米の4.4倍)
・食パン(6枚切りで約2.8g)
・ライ麦パン(食パンの2.4倍)
葉物野菜、他
・モロヘイヤ(5.9g)
・芽キャベツ(5.5g)
・ブロッコリー(5.1g)
・おくら(5.0g)
・ほうれんそう(2.8g)
イモ類
・じゃがいも(9.8g)
・板こんにゃく(生いも)(3.0g)
・さつまいも(2.8g)
・さといも(2.3g)
・ながいも(生)(1.0g)
根菜類
・ごぼう(5.7g)
・西洋かぼちゃ(3.5g)
・人参(2.7g)
・たけのこ(ゆで)(2.3g)
・れんこん(2.0g)
海藻類
・ひじき(乾)(51.8g)
・焼きのり(36.0g)
・わかめ(乾)(32.7g)
・あおさ(乾)(29.1g)
・昆布(乾)(27.1g)
きのこ類
・えのき(3.9g)
・エリンギ(3.4g)
・しいたけ(4.6〜5.5g)
・しめじ(3.5g)
・なめこ(2.7g)
豆類豆類
・煮豆
小豆(12.1g)
大豆(6.6g)
・おから(生)(11.5g)
・納豆(6.7g)
果物
・アボカド(5.6g)
・キウイフルーツ(緑)(2.6g)
・りんご(1.9g)
・いちご(1.4g)
・バナナ(1.1g)
※海藻類は乾燥状態で100gを使用した場合の食物繊維量です。例えば、ひじきの煮物2人前を作る場合に使用する乾燥ひじきの量は、約大さじ2(6〜7g)です。
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水溶性食物繊維と不溶性食物繊維

