家族で看取る「穏やかな最期」 Peaceful end-of-life care" with family members
家族で看取る「穏やかな最期」
Peaceful end-of-life care" with family members
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10/27 (火) 08:28更新

【進行期肺がん】放射線治療と暮らし

[Advanced Lung Cancer] Radiation Therapy and Daily Life
理学療法士・呼吸療法認定士 
大石 真理子
理学療法士と作業療法士のダブルライセンスを取得。急性期病院にて呼吸療法認定士としてICUから在宅までの呼吸器疾患の治療に携わる。「その人らしい生活」を支える医療を大切にしている。
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【外出】付き添いやサポートを
前提とした外出

[Outings] Outings that require an escort or support

外出は気分転換になりますが、体力が落ちているときの外出は不安が伴います。また進行期では、疲労や呼吸困難から一人での外出は難しいケースが多く、介助者が必要なことが多くあります。家族や友人に付き添ってもらい、移動は公共交通機関だけでなく、介護タクシーなどの利用も検討できます。

外出や旅行の際は、キャリーバッグを持つ方もいらっしゃいます。鞄を持つ動作は呼吸補助筋を使うため、呼吸に使える力が減ってしまうこともあります。移動の負担を減らすために、鞄は肩掛けやリュックなど体に近いところで持つ、荷物の重量を減らすといった工夫も必要になります。

 

【運動】安静と運動のバランス

[Exercise] The Balance Between Rest and Exercise

軽いストレッチや、数分間の散歩など、体調に合わせて行いましょう。早期では体力維持や再発予防のためにある程度の運動が勧められるのに対し、進行期では「体力を消耗しないこと」が最優先で、安静と運動のバランスを細かく調整する必要があります。疲れたらすぐに休むことが大切で、「頑張る運動」よりも「無理せず続ける動作」を意識すると良いです。

 

 大石先生のひとこと

運動は短時間・小分けで行うことが勧められ、息切れや疲労感が強い場合は無理せず休息をとることが大切です。
日常生活で息切れを感じていた70代の男性患者さんは、自覚的呼吸困難感を10段階のBorgスケールで把握していました。0が息切れなし、10が最大の息切れとすると、この患者さんはスケール5(中等度の息切れ)を感じた時点で休憩を挟み、呼吸を整える呼吸法を実施していました。散歩中でも、Borgスケールを目安に「この距離だとスケール3だから大丈夫」「ここまでくるとスケール7ぐらいだから休憩を挟むか帰ろう」と自分で調整していたそうです。体力低下を防ぐための軽い運動も、このBorgスケールを使うことで負担がかかりすぎない範囲で行えていました。

 

Borgスケールとは

運動負荷試験で使用するスケールですが、視覚的に呼吸困難感が把握しやすいため、病院ではスケールをポケットサイズにしたものを患者さんにお渡しし、日常生活での呼吸困難感を把握するようにしています。Borgスケールは患者さんの自覚的な呼吸困難感をはかるもので、0が呼吸困難感なし、10が最大の呼吸困難という段階となります。Borgスケールには10までのものと、20までの数値があるものがあります。

 

【仕事】就労支援と補償制度

[Work] Employment Support and Compensation Programs

働きながら治療を受ける場合、体調によっては勤務時間の調整が必要です。休職や時短勤務、在宅ワークの制度などを会社に相談しましょう。医師の診断書をもとに労務管理を行うこともできます。また「いつまで働けるか」という現実的な視点や、収入の補償制度の利用がより重要になります。就労継続よりも「生活を守るための支援」の活用がポイントです。

 

通院とサポート体制の整え方

放射線治療は連日通うことが多いため、通院手段の確保が欠かせません。体力的に負担を感じる場合は、家族の送迎やタクシー利用、医療機関が紹介する送迎サービスの利用を検討してください。また、治療中に体調が変化することもあるため、緊急時に連絡できる医療機関や在宅医療サービスとのつながりを持っておくと安心です。早期では体力が保たれているため自力通院できる方も多いですが、進行期では通院そのものが負担になることが多く、在宅医療や訪問診療への切り替えを検討することもあります。

以下の緊急時連絡先リストは、PDF形式で印刷してご利用いただけるよう準備しています。必要な連絡先を事前に記入し、緊急時にすぐ確認できる場所に保管しておくと便利です。

▶PDF印刷はこちら緊急時連絡先リスト.pdf

連絡先区分

担当者・機関名

電話番号

受付時間

備考
(役割・連絡の目安など)

主治医
(病院)

 

 

 

診療時間内の相談・急変時にまず連絡

放射線治療科
(外来)

 

 

 

照射中の副作用や体調変化時

病院救急外来

 

 

24時間

夜間・休日の急変時

在宅医療
(訪問診療)

 

 

 

自宅での急変や体調悪化時

がん相談支援センター

 

 

 

生活・経済的な相談

家族・

緊急連絡者

 

 

 

連絡がつきやすい家族や親族

送迎サポート

通院時の送迎サポート

 

まとめ

進行期肺がんの放射線治療は、副作用や体力面での不安がつきものですが、

進行を抑える治療を続ける患者さんもいれば、がんと上手に付き合いながら生活する患者さんも多くいます。骨転移による痛みや神経圧迫などによるしびれなどの症状をやわらげるために、放射線治療が行われることもあります。

60代の患者さんは骨転移による痛みと太もも裏のしびれで、歩行や立ち上がり動作が困難になっていました。主治医の勧めで放射線治療を実施したところ、治療を開始して数日で痛みの強さが徐々に軽減され、日常生活も少しずつ楽になっていきました。以前は休憩を挟む必要があったシャワー浴や掃除も、痛みを気にせずに行えるようになり、できることが増えていきました。同時に、日常生活で感じる呼吸困難に対して負担を減らす工夫も行うことで、ペットのお世話という趣味も継続できました。

症状が改善されると、前向きな気持ちになり日常生活への意欲も増すと思います。放射線治療と生活の工夫により「その人らしい生活」を送ることができたと感じた例です。無理に頑張るのではなく、医療者や家族、地域の支援を上手に利用し、安心できる環境を整えながら、穏やかな時間を積み重ねていきましょう。

 

【参考文献】

がん情報サービス

厚生労働省

大石 真理子=監修

【参考資料】