ステージ別大腸がんの治療
再発した場合の大腸がん治療
再発が疑われた場合、まずCTやPET-CTなどの画像検査を行い、「どこに」「どのような形で」「いくつ」再発しているのか正確に把握し、治療方針を決めていきます。
再発のパターンには、以前手術した場所のすぐ近くに再発する「局所再発」、手術で取り切れなかった範囲のリンパ節に再発する「リンパ節再発」、肝臓、肺、腹膜などもともとがんがあった場所から離れた臓器に再発する「遠隔転移再発」の3つのパターンがあり、再発時の治療方針は、この再発パターンによって「根治」を目指せる治療を行うか、「がんと共存」する治療を行うか、治療の目標が大きく2つにわけられてきます。
根治を目指す治療
Treatment aimed at a cure
再発した場所が一か所、あるいは数か所に限定されている場合で、手術や放射線治療で完全にがんを取り切れると判断された場合は、再び「根治」を目指した治療に挑戦できる可能性があります。
【具体的な治療法】
再発した部分を安全に切り取れると判断されれば、最も根治の可能性が高い「手術(外科治療)」で、肝臓や肺の転移巣に対する肝切除や肺切除などの手術が積極的に行われます。
手術が難しい場所にある再発巣や、手術後の再々発を防ぐ目的で、放射線治療が選択されることがあり、ピンポイントで高い線量を照射する「定位放射線治療(SBRT)」などが用いられることがあります。
また主に肝臓への転移に対して行われる治療ですが、がんに直接針を刺し、ラジオ波の熱でがんを焼き固める「ラジオ波焼灼療法(RFA)」を行う場合もあります。
これらの治療(局所治療)の前後に、再々発を防ぐ目的で、薬物療法(化学療法)を組み合わせることもあります。
がんと共存するための治療
Treatment for Living with Cancer
がんが複数の臓器に広がり、手術で取り除くことが難しい場所やがんが多数再発している場合は、ステージⅣの治療と同様に、「がんの進行をできるだけコントロールし、つらい症状を和らげることで、がんと共存しながら、自分らしい生活を一日でも長く続けること」を治療の目的としていきます。
再発という診断は、精神的に非常につらいものですが、近年の薬物療法の進歩は目覚ましく、使える薬の選択肢も増えており、臨床試験(治験)に参加するという選択肢もあります。ご自身の身体の状態、がんの状況、そして何よりも「どうしたら自分らしい生活ができるか」という希望を主治医や、周囲の看護師、医療スタッフと共有し、粘り強く、最善の治療法を一緒に探していくことがとても大切です。
【具体的な治療法】
薬物療法(化学療法)が治療の中心となり、初回治療から時間が経っている場合や、初回に術後補助化学療法を行っていない場合は、一次治療で使われる標準的な治療計画(レジメン)から治療を始め、術後補助化学療法を終えてから比較的短い期間で再発した場合は、その時に使った薬とは系統の違う薬を使用し、薬の効果がうすくなったり、副作用で続けられなくなった場合は、二次、三次治療へと薬の種類を変えながら、できるだけ長く治療を継続して行えるようにしていきます。
再発したがんが原因で、痛み、出血、腸閉塞などのつらい症状が出ている場合は、その症状を和らげる目的で、放射線治療や手術を行う場合もあります。
※大腸がんの化学療法の代表的な治療計画(レジメン)については「大腸がん患者のための化学療法」記事で詳しく説明していますので、こちらもご覧ください。
まとめ
この記事では大腸がんのステージ別に、標準的な治療の流れと選択肢を解説してきました。ステージ0〜I期であれば、体に負担の少ない内視鏡治療を主体に、がんを乗り越えることが期待できます。ステージII〜III期では、手術と術後補助化学療法が、再発という不安からあなたを守るための力強い治療手段となります。そして、ステージIVや再発という厳しい状況に直面したとしても、目覚ましく進歩する薬物療法が、がんと長く付き合いながら「自分らしい生活」を続けるための新たな希望となっています。
「これからどう暮らしていきたいか、どう生きていきたいか」というご自身の価値観や希望をしっかりと主治医に伝えることから全てが始まります。私達はチーム一丸となって、患者さんががん治療と共に「自分らしい生活」を続けるための力となります。本記事がそのお役に立てたら幸いです。
【参考文献】
・「大腸癌治療ガイドライン医師用2022年版」(金原出版)発行元:大腸癌研究会

