ステージ別大腸がんの治療
ステージIV(遠隔転移があるがん)の治療
ステージⅣの大腸がんでは、がんが最初にできた大腸(原発巣)から、肝臓や肺といった遠くの臓器に転移(遠隔転移)している状態のため、手術だけでがんを完全に取り除く「根治」を目指すことが難しい場合が多く、「がんの進行をできるだけコントロールし、がんによるつらい症状を和らげることで、がんと共存しながらご本人の望む生活(QOL:生活の質)を一日でも長く続けること」が目的となってきます。
ステージⅣの治療では、「薬物療法」「手術」「放射線治療」を、状況に応じて組み合わせて行う「集学的治療」が基本となります。
薬物治療
Pharmacotherapy
全身に広がったがん細胞に対し、全身に効果を及ぼす薬物療法が治療の中心となり、「細胞障害性抗がん剤」「分子標的薬」「免疫チェックポイント阻害薬」の3種類の薬物療法があります。
抗がん剤は、がん組織の増殖を直接的に抑える薬で、がんだけでなく正常な細胞にも影響がでやすい薬です。
分子標的薬は、がん細胞が持つ特定のタンパク質や遺伝子異常(分子)を狙い撃ちする薬です。
大腸がんでは「抗VEGF抗体(血管新生阻害薬)」と「抗EGFR抗体」の2つのタイプの分子標的薬が使用されます。
免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞によってかけられたブレーキを外し、あなた自身の免疫細胞が、本来の力でがんを攻撃できるように再起動させる薬です。
大腸がんの場合、免疫チェックポイント阻害薬が劇的な効果を示すのは、「MSI-High(マイクロサテライト不安定性が高い)」と呼ばれる特殊なタイプのがんに限られます。これは、遺伝子の傷を修復する機能がうまく働かないタイプのがんのことで、大腸がん患者さん全体の約5%に見られます。
※術後補助化学療法(抗がん剤治療)、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬については、「大腸がん患者のための化学療法」で詳しく説明していますので、こちらもご覧ください。
外科治療(手術)
Surgical treatment (surgery)
ステージⅣでは、手術で全てのがんを取り除くことは難しくなりますが、手術で切除できないと考えられていた肝臓や肺への転移巣が、薬物療法の効果で劇的に小さくなり、手術で取り切れるサイズになった場合に「Conversion(コンバージョン)手術(※2)」が行われる場合があります。
また、大腸の原発巣が大きくなり腸閉塞や出血の原因となっている場合に、その症状を取り除くために、原発巣だけを切除したり、人工肛門(ストーマ)を造設する手術を行う場合があります。
※2:Conversion(コンバージョン)手術
抗がん剤の力で手術を行えないと言われていたがんを小さくすることで手術ができる状態にしてから行う手術のことをいいます。
放射線治療
Radiation therapy
骨に転移して痛みが出ている場合や、脳に転移した場合など、その場所に放射線を当てることで、痛みなどの辛い症状を和らげたり、出血を止めるなどの症状緩和のために行われることがあります。
緩和ケア
Palliative care
ステージⅣの治療では、緩和ケアも非常に重要な治療の一部となり、痛み、吐き気、だるさ、気分の落ち込みといった、がんそのものや治療による様々なつらさを和らげ、ご本人の望む生活(QOL:生活の質)を送れるようにするための大切なサポートとなります。
【次ページ】
再発した場合の大腸がん治療

