家族で看取る「穏やかな最期」 Peaceful end-of-life care" with family members
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11/06 (金) 09:29更新

大腸がんステージⅣの診断後に知りたいこと

What you may want to know after a stage IV colorectal cancer diagnosis
医師 
喜田凛
卒後20年目の医師、初期・後期臨床研修後、各地で研鑽を積んだ後、現在は某地方病院消化器内科部長を務めている。消化器疾患・消化管内視鏡分野の診断・治療を担当し、日々患者さんの病に一緒に立ち向かっています。
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 患者会・サロン会

同じ病気や経験を持つ仲間と話せる場所です。専門家とは違う、「当事者だからこそ分かり合える」という安心感が得られたり、孤独感が和らいだりすることがあります。

  • 【こんな時に相談】
    • 「同じ立場の人は、この不安をどう乗り越えているのだろう?」
    • 「周りに病気のことを話せる人がおらず、孤独を感じる」
    • 「治療の工夫など、経験者ならではの知恵を借りたい」

 

ここでは、オストメイト(人工肛門・人工膀胱保有者)の方々の自立と社会参加を支援する【公益社団法人日本オストミー協会】をご紹介します。同じ悩みを持つ方と繋がる場や、情報を得るための一つの選択肢として、ご活用ください。

 

【公益社団法人 日本オストミー協会(JOA)】

  • オストメイト(人工肛門・人工膀胱保有者)が安心して暮らせる社会を目指し、オストメイトの社会復帰とQOL(生活の質)向上を図るために幅広い活動を行っています。
    オストメイトとなる背景には大腸がんに限らず、さまざまな病気や事故などがあります。
    公益社団法人日本オストミー協会は、大腸がんに限定した団体ではなく、原因疾患を問わず、すべてのオストメイトを対象としています。
    全国に支部があり、各地域で交流会を開催しているほか、オンラインサロンも開催しています。
    交流会やサロンへの参加を通じて、オストメイトへの理解を深めていただけます。

  • 【公式サイト】
    https://www.joa-net.org/

  • 【支部一覧】
    https://joa-net.org/branch/

  • 【オンラインサロン】
    https://joa-net.org/lighthouse/

 

大腸がんステージⅣの治療費の目安

ステージⅣの治療では「薬物療法(化学療法)」を、「通院」で行うのが一般的となっており、薬物治療(化学療法)にかかる費用が月々の大部分を占めます。

手術を組み合わせた場合の費用も併せて、「保険適用前の医療費総額(10割負担)」と「高額療養費制度を利用した場合の自己負担額(窓口で実際に支払う金額の目安)」に分けて、おおよその金額を説明します。ご自身が負担する治療費の目安としてご参考にしてください。

 

医療費総額(10割負担)
と実際に支払う自己負担額の目安

Total medical costs (100% of the cost) and an estimate of the actual out-of-pocket amount to be paid

【保険適用前の医療費総額(10割負担の金額)】

  1. 薬物療法(抗がん剤+分子標的薬)の場合
    ※ステージⅣでよく使われる代表的な治療の一つ、FOLFOX療法+ベバシズマブ(商品名:アバスチン(分子標的薬)を例にした医療費となります。
    1ヶ月あたりの医療費総額:約60万円~80万円
    ※使用する薬剤の種類、特に高価な分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を使用する場合は、月々100万円を超えることもあります。

  2. 手術を組み合わせる場合
    手術+入院(約2週間)の医療費総額:約150万円~250万円
    ※一度の手術にかかる費用であり、月々の薬物療法の費用とは別にかかります。

【実際に支払う自己負担額の目安】

※高額療養費制度を利用した場合の目安です。年収約370万~770万円(70歳未満)の区分を例にしたモデルケースで、2026年8月以降の上限額で計算しています。実際の上限額は加入している公的医療保険の区分に準じます。

  1. 薬物療法(抗がん剤+分子標的薬)の場合
    ※ステージⅣでよく使われる代表的な治療の一つ「FOLFOX療法+アバスチン(分子標的薬)を例にした医療費となります。
    1ヶ月あたりの医療費総額(80万円と仮定した場合):自己負担額は、約9万1千円
    ※高額療養費制度の対象となる月が直近12か月のうち3回あると、4回目以降は上限額が44,400円に下がります(多数回該当)。長期にわたる薬物療法では、この仕組みがとても大きな支えとなります。
    ※また、2026年8月から、1年間(8月~翌年7月)の自己負担額に上限を設ける「年間上限」が新設されました。年収約370万~770万円の区分では年間53万円で、年間の自己負担額の合計がこの金額を超えた場合、超えた分は後日、加入している保険者への申請などにより払い戻されます。

  2. 手術を組み合わせる場合
    手術+入院費を200万円と仮定した場合:自己負担額は、約10万3千円+自己負担分(食事代、差額ベッド代など)
    ※個室や2人部屋など、希望して大部屋以外の部屋に入院した場合の室料は保険適用外となり、全額自己負担となります。
    ※入院中の食事は1食あたり550円と決められており、食事代も自己負担となります。
      (例:1日3食×14日(2週間の入院)=食事代23,100円は自己負担となります。
    ※「高額療養費制度」、また仕事ができない場合の「傷病手当金」や「障害年金」などの公的支援制度の詳細については、「病気や介護の負担を軽くする公的制度と手続きガイド」の記事をご覧ください。

上記、標準的な治療費の例を見ても、保険適用前の医療費総額と、高額療養費を利用した際の自己負担額では約260万円もの金額の差があります。

治療費の不安については、病院の「がん相談支援センター」やソーシャルワーカーに相談すれば、さらに詳しい制度の活用法を教えてくれますので、ぜひご活用ください。

※「多数回該当」「年間上限」の具体的な金額も所得区分により異なるため、詳細は保険者や病院の相談窓口でご確認ください。

 

まとめ

この記事では、ステージⅣの大腸がんと診断された方が知りたい情報について、症状や最新の治療法、そして心のケアを具体的にお伝えしてきました。

ステージⅣは「末期がん」とは異なります。決して治療の道が閉ざされたわけではありません。医学の進歩は目覚ましく、薬物療法、手術、放射線治療などを組み合わせることで、がんと長く付き合いながら、穏やかな時間を過ごせる可能性が大きく広がっています。

そして、治療と同じく大切なのは、心と体のつらさを和らげる「緩和ケア」です。痛みや不安はご自身やご家族だけで抱え込まず、我慢せずに専門家の力を借りてください。緩和ケアは、あなたらしい生活の質(QOL)を守るための、もう一つの重要な治療です。主治医や看護師、がん相談支援センターの専門家たちは、いつでもあなたの話を聞き、支える準備ができています。また、高額な治療費の不安も、「高額療養費制度」をはじめとした公的なサポートが、経済的な負担を大きく和らげてくれます。

正しい情報を知り、使える制度や周りのサポートを力に変えることで、納得のできる治療を選び取っていくことができます。この記事が、あなたが希望を持ち、これからの一日一日をより豊かに、「自分らしく」過ごすための一助となれたなら幸いです。

喜田凛=監修