大腸がんステージⅣの診断後に知りたいこと
転移した臓器による特有の症状
Symptoms specific to the organ to which the cancer has spread
ステージⅣでは、がん細胞が血液やリンパの流れに乗って、大腸から離れた臓器で増殖し、その転移先の臓器によって次のような特有の症状が現れます。
肝臓への転移
最も多い転移先で、体がだるい、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)、お腹に水がたまって張る(腹水)、右上腹部の痛みなどが現れることがあります。肺への転移
空咳が続く、痰に血が混じる、少し動いただけでも息切れがする、胸が痛むといった症状が現れることがあります。骨への転移
転移した部分の持続的な痛みや、軽い衝撃で骨折してしまう「病的骨折」が起こることがあり、腰や背中に転移すると、強い痛みを感じやすくなります。脳への転移
頭痛や吐き気、めまい、手足のしびれや麻痺、けいれん発作などが起こる可能性があります。
腸閉塞(イレウス)・腹膜播種
Intestinal obstruction (ileus) / Peritoneal dissemination
大腸がんが進行すると、「腸閉塞(イレウス)」と「腹膜播種」といった特に注意すべき重篤な状態に陥ることがあります。
【腸閉塞(イレウス)の症状】
大腸がんが大きく成長し、腸管を完全に塞いでしまうことで、食べ物や便、ガスが先に進めなくなることで次のような症状が現れます。
・ 排便・排ガスの停止
・ お腹の張り(腹部膨満感)
・ 激しい腹痛
・ 吐き気、嘔吐【腹膜播種の症状】
がん細胞がお腹の中に種をまくように散らばって広がる状態を言います。進行するとお腹に水がたまる「腹水」が大量に発生し、強いお腹の張りや食欲不振、息苦しさを引き起こします。また、腸の動きが悪くなることで腸閉塞(イレウス)の原因にも繋がります。
※ステージⅣの大腸がんの進行速度や特徴については、「大腸がんの進行速度について知っておきたいこと」記事内にある「ステージ別でみる大腸がんの進行速度と特徴・自覚症状」の章をご覧ください。
治療法
ここでは、大腸がんステージⅣで行われる治療法について詳しく説明をしていきます。
薬物療法(化学療法)
Drug therapy (chemotherapy)
ステージⅣの大腸がんでは、「薬物治療」が中心となりますが、全身に広がったがん細胞に働きかける「薬物療法(化学療法)」は、がんを小さくして手術を目指すことだけではなく、がんの進行を抑え、症状を和らげながら、自分らしい生活を長く続けることも目的としています。
現在では、治療計画に沿って点滴や飲み薬で治療が行われ、多くは通院での治療が可能となり、仕事と両立しながら治療を行う方もいます。
また、治療の選択肢を選ぶ際には病変の遺伝子検査(RAS/BRAF、MSI/MMR、HER2、NTRK等)を確認することが重要で、それにより適切な治療方針が決定されます。
ここでは、大腸がんにおける代表的な治療計画(レジメン)と、分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬について、説明をしていきます。
レジメン(薬物療法の治療計画)とは、がんの性質、転移の状況、全身状態や体力を総合的に判断し、「薬剤の種類、投与量、スケジュールを定めた治療計画」のことを言い、大腸がんの薬物療法では主に「FOLFOX(フォルフォックス)療法」と「FOLFIRI(フォルフィリ)療法」の2つの代表的なレジメン(薬物療法の治療計画)があります。
どちらも治療の効果においてはほぼ同等とされており、どんな副作用が出やすいか、患者さんのライフスタイルや希望、医師の考え方や経験などを総合的に判断して決定されます。
【FOLFOX(フォルフォックス)療法】の標準的な治療スケジュール
使用する薬剤:
フルオロウラシル(5-FU)
レボホリナート(l-LV)
オキサリプラチン
① 2週間を1コースとして繰り返します。
② 1日目:病院の外来(化学療法室)で、3種類の薬を約2時間かけて点滴します。
③ 1日目~3日目:点滴終了後、「持続注入ポンプ」という携帯用の小さなポンプを体に接続したまま帰宅し、46時間かけて残りの5-FUをゆっくり注入し続けます。
④ 3日目:ポンプの注入が終わったら、一般的に医療者が針を抜きます(在宅で行う場合も、医療者の指導に沿って実施します)。
⑤ 4日目~14日目:休薬期間(体を休ませる期間)
⑥ 15日目(次のコースの1日目):体調が良ければ、次のコースを開始します。特徴的な副作用:
点滴中や直後に、冷たいものに触れたり飲んだりすると、手足や喉の奥がピリピリ、ジリジリとするしびれや痛みが出ますが、数日で治まります。
治療を繰り返すうちに、しびれが持続するようになり、ボタンがかけにくい、字が書きにくい、手足の感覚が鈍くなるといった症状が現れ、治療終了後も長く症状が残ることがあります。症状が強くなった場合は、薬の量を減らしたり、治療を休むことも検討します。
【FOLFIRI(フォルフィリ)療法】の標準的な治療スケジュール】
使用する薬剤:
フルオロウラシル(5-FU)
レボホリナート(l-LV)
イリノテカンスケジュールはFOLFOX療法と同じです。
特徴的な副作用:
点滴中や直後に起こる下痢。
点滴後数日経ってから起こる下痢。(重症化すると脱水症状を起こし危険な状態になることがあり、特に注意が必要とされており、処方される下痢止めを適切に内服し、水分補給を心がけることが大切です。)
また、FOLFIRIでは脱毛がみられることがありますが、程度には個人差があります。
白血球や血小板が減少します。感染しやすくなることで発熱したり、鼻血や歯茎からの出血が止まりにくくなることがあります。
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分子標的薬

