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11/06 (金) 09:29更新

大腸がんステージⅣの診断後に知りたいこと

What you may want to know after a stage IV colorectal cancer diagnosis
医師 
喜田凛
卒後20年目の医師、初期・後期臨床研修後、各地で研鑽を積んだ後、現在は某地方病院消化器内科部長を務めている。消化器疾患・消化管内視鏡分野の診断・治療を担当し、日々患者さんの病に一緒に立ち向かっています。
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分子標的薬

分子標的薬とは、がん細胞が持つ特有の顔つきや弱点をピンポイントで認識し、「特定の目印(分子)」だけを狙い撃ちする薬です。

大腸がんでは、FOLFOX療法やFOLFIRI療法といった化学療法と組み合わせて投与される「抗VEGF抗体(血管新生阻害薬)」があり、がんの遺伝子タイプに関わらず併用されます。一方RAS遺伝子やBRAF遺伝子に変異がない患者さんのみに使用される「抗EGFR抗体」もあり、この2種類が主に用いられます。

また近年は、HER2陽性やNTRK融合遺伝子といった、特定の希少な遺伝子変異を持つ患者さんに対して有効な、新しいタイプの分子標的薬も登場しています。治療前にRAS・BRAF、MSI/MMR、HER2、NTRK等を腫瘍組織や血液検体で確認することが重要で、結果に基づいて、最適な治療方針が決定されます。

 

免疫チェックポイント阻害薬

免疫チェックポイント阻害薬とは、従来の抗がん剤や分子標的薬とは全く違う考え方で作られており、がん細胞によってかけられたブレーキを外し、あなた自身の免疫細胞が、本来の力でがんを攻撃できるように再起動させる薬です。

大腸がんの場合、免疫チェックポイント阻害薬を使用して劇的な効果を示すのは、「マイクロサテライト不安定性‐高(MSI-High)」または「ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)」と呼ばれる特殊な遺伝子タイプのがんに限られます。dMMRは遺伝子のコピーミスを直す機能が壊れた状態を指し、その結果としてMSI-Highが引き起こされるため、この2つはほぼ同じものとして扱われます。このタイプのがんは、大腸がんの患者さん全体の約5%程度と言われています。なお、使用できる治療ライン(初回からか、二次以降か等)は、保険適用と最新ガイドラインに準拠します。

 

手術(外科治療)

Surgery (surgical treatment)

ステージⅣの大腸がんでは、薬物治療が主な治療法となりますが、特定の条件を満たす場合に限り、「手術(外科治療)」が行われることもあります。最近では、薬物治療でがんが小さくなったら手術を検討するなど、複数の治療を組み合わせる「集学的治療」も行われるようになっており、手術の可能性は以前よりも広がっています。

 

手術(外科治療)が可能な条件

まず、次の条件がそろった時に「切除可能」と判断され、手術(外科治療)が選択されます。条件を満たす場合、大腸にある「原発巣」と、転移した「転移巣」の両方を切除することで根治が可能となる場合があります。無症状のステージⅣ(腸閉塞・出血・穿孔せんこう(穴が開くこと)などの症状がない)では、目に見えない微小ながん細胞が全身に広がっている可能性があるため、まず全身に効く薬物療法でそれらを叩くことが優先されます。そのため原則として原発巣の切除を先行・単独で行うことは推奨されず、化学療法を優先します。一方、腸閉塞・出血・穿孔などの症状がある場合は、ステント留置や手術など症状緩和を目的とした局所治療を検討します。

  1. 転移の場所と個数
    転移が肝臓や肺など特定の臓器に限られており、その数も少数であること。

  2. 技術的に切除可能
    がんが重要な血管などを巻き込んでおらず、安全にすべて取り切れると判断されること。

  3. 全身の状態
    患者さん自身に手術という大きな負担に耐えられるだけの体力があること。

また、根治が難しい場合でも、腸閉塞(イレウス)を防いだり、出血を止めたりするなど、生活の質(QOL)を維持することを目的に手術が行われることもあります。

 

原発巣の切除と転移巣の切除

ステージⅣの手術で根治を目指すには、大腸の「原発巣」と転移した「転移巣」の両方のがんをすべて取り除く必要があります。手術は患者さんの身体の負担やがんの状態を考慮し、1回の手術で大腸の原発巣と肝臓や肺の転移巣を同時に切除する「同時切除」か、体への負担を減らすために2回にわけて手術を行う「二期的切除」(まず原発巣を切除し、回復を待ってから後日転移巣を切除する)2つの方法で行われます。少数の転移では、化学療法で腫瘍を縮小させてから切除可能性を高める「コンバージョン治療」を行い、肝臓・肺の転移に対して外科切除や局所療法(焼灼、定位放射線治療など)を組み合わせることで根治が見込める場合があります。方針は多くの場合多職種のキャンサーボード(合同カンファレンス)で個別に検討されます。

 

人工肛門(ストーマ)の可能性

がんが肛門に非常に近い場所にあり、肛門ごと切除せざるを得ない場合や、腸閉塞(イレウス)などで緊急手術となり、腸のむくみがひどく、すぐにつなぎ合わせることが危険な場合など、がんを切除した結果、肛門を温存できなかった場合や、腸をつないだ部分を安静に保つ必要がある場合などに、お腹に新しい排泄口「人工肛門(ストーマ)」を造設することがあります。

ストーマには、「一時的なストーマ」と「永久的なストーマ」があり、腸のつなぎ目を保護するために一時的に造設されたストーマは、数ヶ月後に再び手術を行い、元の状態に戻せる可能性があります。

※人工肛門(ストーマ)の基本知識と生活やケア方法を詳しく知りたい方は、「大腸がん術後の生活を快適にするためのヒント集」記事をご覧ください。

 

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放射線治療

喜田凛=監修
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