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10/14 (水) 08:53更新

大腸がんが肝臓に転移したときに知っておきたい症状と治療法

Symptoms and Treatments to Know When Colorectal Cancer Metastasizes to the Liver
医師 
喜田凛
卒後20年目の医師、初期・後期臨床研修後、各地で研鑽を積んだ後、現在は某地方病院消化器内科部長を務めている。消化器疾患・消化管内視鏡分野の診断・治療を担当し、日々患者さんの病に一緒に立ち向かっています。
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肝切除術の種類と適用

肝臓は再生能力が高いため、がんを含んだ部分を切除しても、残った肝臓が機能することが期待できます。肝切除が適応となるにはいくつかの条件があり、がんの大きさや位置、数に対して様々な術式があります。ここでは適応となる条件と術式の種類について説明をします。

 

 【適応となる条件と種類】

  • 適応となる条件

    • 原発巣(大腸がん)がすでに切除されているか、肝切除と同時に切除可能であること。

    • 肝臓内の転移巣が完全に切除可能であること。

    • 転移巣を切除した後も、十分な量の正常な肝臓が残り、その機能が保たれること。

    • 肝臓以外の臓器に明らかな転移がないこと。

 

  • 肝切除術の種類

    • 部分切除(部分肝切除):小さながんや肝臓の端にあるがんを、解剖学的区域(肝臓の決まった区分)にとらわれずに、がんだけを必要な最小範囲で切除します。

    • 区域切除(系統的区域切除):肝区域(Couinaud)(※6)単位で切除します。

    • 葉切除(左葉切除・右葉切除):肝臓は大きく左葉・右葉に分かれます。その葉という大きな部分をまとめて切除します。

    • 拡大肝切除術(拡大右葉切除・拡大左葉切除など):主要葉に隣接する区域を加えて、より広い範囲の肝臓を切除します。

※6:肝区域
肝臓を血管の流れや構造に基づいていくつかの部分(区域)に分けた呼び方をいいます。

 

低侵襲手術ていしんしゅうしゅじゅつ

低侵襲手術とは患者さんの体への負担を軽減する手術のことをいい、その代表に「腹腔鏡下手術」と「ロボット支援外科手術」があります。

 

【腹腔鏡下手術とロボット支援外科手術】

  • 腹腔鏡下手術

    • お腹に数か所小さな穴を開け、そこから細いカメラ(腹腔鏡)や手術器具を挿入し、モニター画面を見ながら行う手術方法です。開腹手術に比べて傷が小さく、術後の痛みが軽減され回復が早く、出血量も少なく抑えられる傾向にあります。肝臓の深い部分や複雑な位置にある転移巣を切除する際に検討され、技術的な難易度は上がりますが、経験豊富な外科医によって適用されるケースが増えています。

 

  • ロボット支援外科手術(ダヴィンチなどの手術支援ロボットを使用)

    • 腹腔鏡下手術の利点をさらに高めたもので、外科医は手術室内のコンソールに座りロボットアームに接続された器具を操作します。人間の手首よりもはるかに自由な動きができ、手術を行う部分とその周辺を3D高画質で拡大して見ることができるため、より精密で繊細な操作が可能となり、非常に複雑な血管や胆管を温存しながら、より正確ながんの切除が期待できる方法ですが、手術支援ロボットが導入されている施設でのみ可能な方法です。

 

薬物療法

Pharmacotherapy

大腸がんが肝臓に転移した場合、がんの数があまりに多く広範囲に広がっている場合や、重要な血管にがんが絡みついている場合、あるいは患者さんの全身状態が手術に耐えられないといった理由で、手術が困難と判断される場合があります。この様な場合は、がんの進行を抑えたり、症状を和らげたり、生活の質(QOL)を維持・向上させるための治療法を選択していくこととなります。

薬物療法は、手術が難しい場合に単独で使用されることもありますが、手術と組み合わせて行われることもあります。主に化学療法(抗がん剤治療)、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬の3種類があります。
 

  • 化学療法(抗がん剤)

    • がん細胞の増殖を抑える薬剤を使用し、全身のがん細胞に作用します。

  • 分子標的薬

    • がん細胞の特有の分子(増殖に関わるタンパク質など)を狙い撃ちして作用します。

  • 免疫チェックポイント阻害薬

    • 患者さん自身の免疫力を高めてがん細胞を攻撃させる新しいタイプの薬です。ただし、大腸がんの場合、免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待できるのは、特にMSI-H(高頻度マイクロサテライト不安定性)またはdMMR(DNAミスマッチ修復欠損)と判定された場合(全体の数%程度)に有効性が報告されています。

 

局所療法

Local therapy

局所療法は、肝臓内の転移巣をピンポイントで治療することで、がんを破壊または縮小させることを目的とした治療法で、ラジオ波焼灼療法はしょうしゃくりょうほう、放射線治療があります。

 

  • ラジオ波焼灼療法(RFA)

    • 小さながん(3㎝以下など)に効果が高く、身体への負担が少ないため、手術が難しい場合や手術後の再発時に選択され、超音波やCTで転移巣を確認しながら、電極針を刺して高周波電流を流し、発生する熱でがん細胞を焼灼する方法です。

 

  • 放射線治療

    • 高エネルギーのX線などをがんに照射してがん細胞のDNAを損傷させ、増殖を抑え死滅させる方法で、周囲の正常組織へのダメージを抑えながら、がんに集中的に高線量を照射できる治療法です。大腸がん肝転移では限られた症例で行われ、特に定位放射線照射(SBRT)など精密照射技術を用いる場合があります。

 

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集学的治療と個別化医療の重要性

喜田凛= 文
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