大腸がんのステージ別症状とは?
ステージⅣ期(遠隔転移あり)
ステージⅣでは、がん細胞が血液やリンパの流れに乗って大腸から離れた臓器にたどり着き、そこで新たに増殖を始める「遠隔転移」がある状態です。そのため、大腸がんの症状に加え、転移した臓器に特有の症状が現れるようになります。
転移しやすい主な臓器は「肝臓」「肺」「腹膜」と言われています。
体に現れる症状
Symptoms manifesting in the body
ステージⅣ期の大腸がんで体に現れる症状は、「がんそのものによる全身症状(体重減少・倦怠感・食欲低下や栄養不良などの悪液質)」と「大腸がんによる症状」「転移した臓器による特有の症状」の3つに分けられます。
原因不明の体重減少
食事量は変わらない、あるいは少し減っただけなのに体重がどんどん減っていきます。
食欲不振
全身の消耗など様々な原因で食欲がなくなります。
貧血
大腸がんから持続的に出血することで血液が不足し、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れといった症状が現れます。
強い倦怠感
体を動かすのが億劫になるような、強いだるさや疲労感が続きます。
栄養不良
体内でがん細胞が多くのエネルギーや栄養を消費するうえに、炎症などの影響で代謝が亢進(※2)したり、食欲が落ちて食事がとりにくくなることで、栄養不足が生じることがあります。
※2:亢進
ある働きや機能が通常よりも過剰に高まることをいいます。
腸閉塞
下血や出血量が増え、腹痛の痛みが強くなり、がんが腸を完全に塞いでしまい腸閉塞になり、緊急手術が必要になることもあります。
腹痛
腸が狭くなった部分で内容物を無理に通そうとするために腹痛などの痛みが発生し、キリキリしたり、強い痛みが繰り返し起こるのが特徴です。
ここでは、ステージⅣの症状の大きな特徴である転移した臓器による症状を、転移しやすい臓器の順に具体的に説明します。
【転移した臓器による特有の症状】
肝転移(最も多い転移先)
肝臓は初期では症状が出にくい臓器ですが、がんが大きくなると皮膚や白目が黄色くなる黄疸、腹水、肝臓が腫れ、表面の膜が引っ張られることで右上腹部の痛み、全身の倦怠感などの症状が現れます。
肺転移
長引く咳、血痰(痰に血が混じる)、息切れ、胸の痛みなど、風邪や気管支炎と似た症状が出ることがあります。
腹膜播種
お腹の内側をおおう「腹膜」に、がん細胞が散らばった状態となり、大量の腹水がたまりお腹が膨れ、腸の動きが麻痺して腸閉塞(イレウス)を引き起こし、激しい腹痛や嘔吐を引き起こすことがあります。
骨転移
転移した部分の骨が痛み、特に夜間に痛みが強くなることがあります。
骨がもろくなり、軽い衝撃や日常的な動作で骨折してしまうことがあります。
脳転移(頻度は比較的低い)
がんによって脳の中の圧力(脳圧)が上がることで頭痛、吐き気、嘔吐などの症状が現
れます。また転移した場所によって体の特定の機能が障害され、手足の麻痺、しびれ、けいれんといった症状が現れる事もあります。
主な治療法
Main treatment methods
ステージⅣの治療目的は、がんの進行をできるだけ抑え、辛い症状を和らげQOL(生活の質)を保ちながらがんと共存することが中心となります。
がん細胞を抑えるため、「薬物療法」が主な治療法となり、がんの遺伝子タイプに応じて「化学療法(抗がん剤)」「分子標的薬(がん細胞の特定の分子を狙い撃ちする薬)」「免疫チェック阻害薬(自身の免疫力を高めてがんを攻撃する薬)」など、最適な薬が選択されます。
また、転移した臓器の数が少なく、切除が可能であれば手術で根治を目指せるケースもあります。また痛みや出血などの症状を和らげる目的で、放射線治療など複数の治療法を組み合わせる「集学的治療」により、一人ひとりの状態に合わせた最善の治療戦略を立てることがあります。

田中先生のアドバイス
ある患者さんは、自覚症状を感じながらも受診を見送っていた結果、発見した時にはステージⅣで根治治療が難しい状況となり、その段階で治療を望まれず病院への通院を続けられなくなった方もいらっしゃいました。ステージⅣと診断されても、治療薬の進歩で数年以上元気に過ごされる方も増えています。免疫チェックポイント阻害薬の登場などにより、治療選択肢は増えています。
ステージⅣでも数年以上元気に過ごされる方もいます。治療だけでなく、痛みや不安に対して緩和ケアを取り入れることで、生活の質を守ることができます。ステージⅣ期はがんが遠くまで広がった状態ですが、「ステージⅣ=終わり」ではありません。抗がん剤や分子標的薬、免疫療法を組み合わせ、生活の質を保ちながら治療を続けることができます。症状を和らげる緩和ケアと併用することで、穏やかに過ごせる時間を長く保つことができます。
まとめ
大腸がんは、「がんの深さ(T因子)」「リンパ節転移(N因子)」「他の臓器への遠隔転移(M因子)の有無」を総合して0期からⅣ期までの5段階の「ステージ」に分類されます。
ステージによって、がんがどこまで進行しているか、体にどのような症状が出やすいか、治療法やこれからの見通しが大きく異なってきます。
初期のステージ0期からⅠ期では自覚症状がほとんどなく、検診で発見されるケースが多いですが、進行すると血便や便通異常、さらには全身症状や多臓器に特有の症状が現れることもあります。
適切な検査による正確なステージ判断と、各段階に応じた治療の選択がとても重要になります。気になる症状がある方は自己判断せず、早めに医療機関で相談することがご自身の健康を守るための第一歩となります。ステージごとの特徴を知り、ご自身や大切な方の健康管理に役立てる一助となりましたら幸いです。

