大腸がんのリンパ節転移とは
術後は基本的に「抗がん剤」のみが使用され、現在の標準治療では、術後の再発予防目的で「分子標的薬」や「免疫チェックポイント阻害薬」が使われることは一般的にありません。この治療は主にリンパ節転移があるステージⅢの大腸がんの方に推奨されますが、がんの深さやその他のリスクが高い一部のステージⅡの方にも、個別に検討されることがあります。手術で目に見えるがんを全て切除した後、体内に残っているかもしれない目に見えない微細ながん細胞(微小転移)を根絶し、再発を予防することを目的としています。術後に補助化学療法を行うことで再発率が低下し、生存率が向上することが多くの臨床試験で示されています。
手術での切除が難しい場合や、離れた臓器への転移が見つかった場合に行われます。ここでは、がんの進行を抑えて共存することを目指します。この段階は、従来の抗がん剤に加えて、「分子標的薬」を組み合わせたり、患者さんのがんの遺伝子タイプによっては「免疫チェックポイント阻害薬」を使用したりするなど、使える薬の選択肢が広がり、多面的に治療に臨みます。
放射線治療
Radiation therapy
放射線治療は、高エネルギーのX線などを体に照射することで、がん細胞のDNAに損傷を与え、がん細胞を死滅させる局所的な治療法です。主に骨盤の深い位置にある『直腸がん』の術前・術後の治療として行われることが一般的です。
放射線治療は局所的な治療であるため、全身に広がった細胞すべてに効果があるわけではありません。直腸がんでは、骨盤内リンパ節転移のリスクが高く、手術だけでは取り残しや再発のリスクが比較的高いため、術前または術後に化学療法と併用して行われることがあります。これによりがんを小さくして手術をしやすくし、術後の再発を予防する効果が期待されます。
また、転移リンパ節が大きくなり周囲の神経を圧迫して強い痛みが生じている場合など、症状を和らげる目的で放射線治療が行われることもあります。
まとめ
この記事では、大腸がんのリンパ節転移にともなう症状、診断、治療の流れについてお伝えしました。リンパ節転移は、がんの進行度や今後の治療方針を決めるうえでとても大切な所見ですが、多くの場合それ自体による自覚症状はほとんどなく、病理検査による正確な評価が欠かせません。
治療の柱は、がんのある大腸と周囲のリンパ節を切除する手術であり、必要に応じて再発予防のための術前・術後の抗がん剤治療や、主に直腸がんに対する放射線治療が加わります。リンパ節転移と聞くと大きな不安を感じられるかもしれませんが、適切な治療と情報に基づく選択によって、根治を目指す場合もあれば、がんと付き合いながら生活の質を保つことを目標とする場合もあります。
ご自身や大切な方の病状について心配なことがあれば、一人で抱え込まず、主治医や医療スタッフに遠慮なく相談してください。この文章が、治療について考える際の小さな手がかりになれば幸いです。
【参考文献】
・「大腸癌治療ガイドライン 医師用 2024年版」(大腸癌研究会(編)、金原出版)

