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病気別のケア / 病気別のケアカテゴリ一覧
11/06 (金) 09:30更新

大腸がんのリンパ節転移とは

What is lymph node metastasis in colorectal cancer?
医師 
喜田凛
卒後20年目の医師、初期・後期臨床研修後、各地で研鑽を積んだ後、現在は某地方病院消化器内科部長を務めている。消化器疾患・消化管内視鏡分野の診断・治療を担当し、日々患者さんの病に一緒に立ち向かっています。
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病理検査

Pathological examination

病理検査は、リンパ節転移の有無を最終的に確定するための検査で、手術や内視鏡検査などで採取された体の中の組織や細胞を、顕微鏡で詳しく調べて、リンパ節転移の有無を確定する最も信頼性の高い検査です。手術で切除した病変部を顕微鏡で直接観察するため、転移があったかどうかを最終的に確定できる最も確実な検査といえます。手術でがんのある部位の腸管と一緒に周囲のリンパ節を切除したときに病理検査で、そのリンパ節内にがん細胞があれば、リンパ節転移は「陽性」と確定されます。

がん細胞にも様々な種類があり、それぞれ性質が違います。この病理検査によってリンパ節転移の個数、そして、そのがんがどのような特徴を持っており、その増殖の速さがどれくらいか、などのがん細胞のタイプを詳しく評価でき、治療法の最終決定に不可欠な検査となります。

 

リンパ節転移の治療法

大腸がんのリンパ節転移が確認された場合、がんは周囲に広がっていく可能性を持ち始めているため、単に原発巣を切除するだけでなく、全身的なアプローチを含め根治と再発を防ぐことを目的とした集学的治療(※2)が検討されます。患者さんのがんの状態や体の状態に合わせ最適な組み合わせで治療を行うことで、がん細胞を可能な限り排除し、患者さんの予後改善を目指します。ここではリンパ節転移に対する具体的な治療法について、それぞれの役割と目的を分かりやすく解説していきます。

※2:集学的治療
がん治療において手術(外科治療)、薬物療法(抗がん剤など)、放射線治療など複数の治療法を組み合わせて、病状や体の状態に合わせて最適な治療を行う方法のことをいいます。

 

リンパ節郭清を伴う手術療法

Surgical treatment involving lymph node dissection

大腸がんにおけるリンパ節転移の治療の中心は、がんのある大腸とリンパ節に転移したがん細胞を直接取り除くことで、がんの根治を目指す「リンパ節郭清せつかくせい(※3)を伴う手術療法」となります。

がんはリンパの流れに沿って転移しやすく、リンパ節は決まったグループにわかれており、手術では転移しやすいこれらのリンパ節を、がんのある腸だけでなく、その血管の根元にあるリンパ節までを含めて、扇おうぎの形のように広く切除します。これを系統的切除(リンパ節郭清)と言い、がんをできるだけ取り残さず根治を目指す大切な手術です。大腸を切除した後、残った大腸同士を繋ぎ合わせる(吻合ふんごう)ことで消化管を再建し、術後も排泄機能が保たれるようにします。

切除されたリンパ節は、病理検査で転移の有無、個数、がん細胞の性質などを詳細に調べ、術後の追加治療(補助化学療法など)の必要性が判断されます。

※3:リンパ節郭清
がんの手術時にがん細胞が転移している可能性のあるリンパ節を、周囲の脂肪組織ごとまとめて切除する処置のことをいいます。

 

薬物療法

Drug therapy

薬物療法は、抗がん剤や分子標的薬(※4)、免疫チェックポイント阻害薬(※5)などを用いて、がん細胞の増殖を抑え、がん細胞を死滅させる全身療法です。大腸がんのリンパ節転移に対する薬物療法は手術と組み合わせて行われることが多く、主に以下の3つに分けられます。

  • 術前化学療法:手術をしやすくし、がんを小さくすることが目的

  • 術後補助化学療法:手術で取りきれなかったかもしれない、目に見えないがん細胞を減らすことが目的

  • 進行・再発大腸がんに対する化学療法:がんの進行をできるだけ抑え、生活の質を保つことが目的

薬物療法は、全身に散らばっている可能性のある微細ながん細胞に作用することで、目に見えない転移の治療や再発予防に有効です。特に直腸がんなどでは、術前化学療法が行われることがあります。薬の種類や組み合わせ、投与期間はがんの部位、ステージ、患者さんの全身状態、がんの遺伝子学的特徴などに基づいて決定されます。また、薬物療法では副作用を伴うこともありますが、近年では支持療法(副作用を軽減するための治療)も進歩しており、患者さんの負担軽減が図られています。

※4:分子標的薬
がん細胞が持つ特有の目印(タンパク質や遺伝子)を狙い撃ちし、がんの増殖を抑える薬のことをいいます。

※5:免疫チェックポイント阻害薬
がん細胞の攻撃を逃れるためにかけているブレーキをはずす薬のことをいいます。

 

術前化学療法(ネオアジュバント化学療法)

主に進行した大腸がん(特に局所進行直腸がん(※6))や、肝転移など切除可能な遠隔転移を伴った大腸がんなどで検討されます。手術の前に抗がん剤を投与する治療方法で、がんの原発巣や転移しているリンパ節を小さくすることを目的とし、がんが小さくなることで手術がしやすくなり、がんをしっかり取り除くと同時に、できるだけ肛門や体の大切な部分を残す工夫をした手術が可能になる場合があります。

※6:局所進行直腸がん
腫瘍が直腸の壁を超えて、周囲の臓器やリンパ節に広がっている状態のがんのことをいいます。

 

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術後補助化学療法(アジュバント化学療法)

喜田凛=監修
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