家族で看取る「穏やかな最期」 Peaceful end-of-life care" with family members
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Peaceful end-of-life care" with family members
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09/17 (木) 07:00更新

肺がんと診断されたら始めたい”早期緩和ケア”とは

What Is "Early Palliative Care" to Start After a Lung Cancer Diagnosis?
医師 小林 惇平
初期研修ののち、総合病院で総合内科・呼吸器内科として修練を積んだ。専門医取得後は、リハビリや高齢者救急、緩和医療、在宅医療に従事し、幅広く対応できる医師を目指して修練を続けている。
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家族のサポートや
介護の負担を軽減

Alleviate the burden of family support and caregiving.

緩和ケアは、患者さんだけでなく、そのご家族への支援も大切にしています。介護の悩みや、意思決定の負担、将来への不安についても相談できるため、結果として「家族全体が支えられた」と感じるケースも少なくありません。

 

 小林先生のひとこと

がん治療は患者さんの人生に関わる問題であり、必然的に患者さんの周りの方々にも影響がでてきます。周りの方が身体的にも精神的にも安定していることは、治療を受ける方にとっても良い影響を与えますので、非常に重要なことです

なかには治療中の本人には聞かれたくない繊細な悩みなどもあるかもしれません。そんなときは、こっそりと声をかけていただければ、スタッフが上手に付き添いの方だけで話ができるような環境を作ってくれます。

 

肺がん患者さんへの早期緩和ケア

肺がんは、進行や治療の過程で特有のつらい症状が現れることが少なくありません。

特に呼吸器に関わる疾患であるため、「息苦しさ」や「咳」「胸の痛み」などが患者さんの生活の質(QOL)を大きく左右します。

ここでは、肺がんの主な症状と、それに対する早期緩和ケアの具体的なアプローチについてご紹介します。

 

息苦しさ(呼吸困難)

Shortness of breath (dyspnea)

肺がん患者さんに最も多くみられるつらい症状のひとつが、呼吸困難です。

がんが気道を圧迫したり、胸水きょうすい*1がたまることで呼吸が苦しくなることがあります。

早期の緩和ケアでは、以下のような対策が講じられます。

  • 酸素療法や気道拡張薬の使用

  • 鎮静効果のあるモルヒネ系薬剤の投与(呼吸困難に有効)

  • 姿勢指導や呼吸リハビリテーション

  • 胸水がある場合、体外に排出する医療処置

胸水*1
2つの胸膜きょうまく壁側胸膜へきそくきょうまく臓側胸膜ぞうそくきょうまく)の間に貯留*2した液体のこと。正常でも少量の胸水がありますが、異常に液体が増えると胸水と診断される

貯留*2
体の中に本来あるべきでない量の液体などがたまってしまう状態

 

咳やたん

Cough and sputum

咳が続くことや、痰が絡むことで睡眠障害や日常生活の支障につながることもあります。

早期緩和ケアでは、次のような支援が行われます。

  • 鎮咳薬(咳を抑える薬)の処方

  • 加湿器の使用や痰の切れをよくする吸入薬の使用

  • 咳のタイミングや誘因を記録し、症状のパターンに応じた対策を立てる

  • 胸部の理学療法(痰の排出を助けるマッサージなど)

 

体の痛み(胸の痛みや肩こりなど)

Physical pain (such as chest pain or stiff shoulders)

がんが周囲の神経や骨に影響することで、胸や肩・背中が痛むこともあります。

早期の緩和ケアでは、以下のように対応します。

  • がん性疼痛に対する鎮痛薬の使用

  • 神経ブロックなどの専門的な痛みの緩和処置

  • 温熱療法やストレッチなど、非薬物療法の併用

  • 生活動作に応じた身体の使い方や休息の取り方の指導

 

食欲低下や体力低下

Loss of appetite or decline in physical strength

肺がん患者さんの多くが体重減少や倦怠感に悩まされます。これはがん自体の影響や治療の副作用、精神的な不安などが重なるためです。

早期緩和ケアでは以下のようなアプローチがとられます。

  • 栄養士による食事指導や高栄養食品の活用

  • 食欲増進を目的とした薬物療法の導入

  • 漢方薬や補完代替療法の提案

  • 体力維持のための軽度な運動プログラムや理学療法士によるサポート

 

まとめ

「早期緩和ケア」は、症状の軽減だけでなく、不安や孤独感へのサポート、家族への支援も含まれており、「自分らしく過ごす時間」を支えるための総合的なケアといえます。

肺がんの治療や生活に不安を感じたときは、我慢せず、早めに主治医や医療スタッフにご相談ください。

また、緩和ケア病棟や「がん情報サービス」なども活用しながら、安心して過ごせる環境づくりを進めていきましょう。

 

【参考文献】

日本緩和医療学会

厚生労働省

がん情報サービス

医師 小林 惇平=監修