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10/26 (月) 08:26更新

大腸がん薬物療法の最新治療薬ガイド

化学療法・分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬をわかりやすく解説
A Guide to the Latest Drug Therapies for Colorectal Cancer
医師 
喜田凛
卒後20年目の医師、初期・後期臨床研修後、各地で研鑽を積んだ後、現在は某地方病院消化器内科部長を務めている。消化器疾患・消化管内視鏡分野の診断・治療を担当し、日々患者さんの病に一緒に立ち向かっています。
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大腸がんにおける免疫チェックポイント阻害薬

免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が免疫細胞にかけているブレーキを外し、T細胞などの免疫細胞ががんを認識して攻撃する力を回復させる治療薬です。この治療薬は、特に特定の遺伝子異常を持つ大腸がんにおいて劇的な効果を示すことが報告されており、長期的な病勢コントロールを可能にする希望をもたらしています。ここでは、免疫チェックポイント阻害薬として用いられる薬剤について説明していきます。

 

免疫チェックポイント
阻害薬で使用される薬剤

Drugs used as immune checkpoint inhibitors

大腸がん治療での免疫チェックポイント阻害薬は、免疫のブレーキを外す薬であり、主にPD-1/PD-L1経路(※3)とCTLA-4経路(※4)を標的とする薬剤が用いられます。これらは、特定の遺伝子異常(がん細胞の遺伝子修復がうまくいかず、遺伝子が不安定になっている状態:MSI-Highと呼ばれます)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)を持つ進行・再発大腸がんの患者さんに、特に高い効果が期待されます。このタイプは、進行した大腸がん全体の約4〜5%と多くはありませんが、あてはまる方には大きな効果が期待できる治療です。一方で、従来の化学療法とは異なる薬の働き方を持つため、副作用も特徴的で、自己免疫疾患(※5)に似た症状が現れることがあるので、適切な管理と早期発見が重要です。

※3:PD-1/PD-L1経路
がん細胞が私たちの免疫にブレーキをかける通り道で、この部分をブロックする薬を使うと、免疫が再びがんと戦いやすくなります。

※4:CTLA-4経路
免疫のアクセルにかかったブレーキのような役割で、この部分を薬で外すと、免疫がよりしっかりがん細胞を見つけて攻撃できるようになります。

※5:自己免疫疾患
体本来の免疫機能が、誤って自身の正常な細胞や組織を攻撃してしまう病気の総称を言います。

 

【免疫チェックポイント阻害薬で使用される薬剤】

薬剤名特徴
抗PD-1抗体薬

・T細胞の表面にあるPD-1という分子に結合し、がん細胞が発現するPD-L1と結合することでT細胞の活動を抑制する「免疫のブレーキ役」を担い、このブレーキを解除することで、T細胞ががん細胞を認識し、攻撃する能力を回復させます。

・使用される薬剤

 ニボルマブ(商品名:オプジーボ)

 ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)

抗PD-L1抗体薬

・がん細胞の表面に発現するPD-L1という分子に結合し、その働きを阻害することで、がん細胞がT細胞の活動を抑制することを防ぎ、結果としてT細胞によるがんへの攻撃力を回復させます。

・使用される薬剤

※大腸がんにおいては、抗PD-1抗体薬が主に用いられていますが、一部の臨床試験で抗PD-L1抗体薬の有効性も検討されています。他のがん種では広く用いられている薬剤ですが、大腸がんでは抗PD-1抗体薬が標準的な選択肢となっています。

抗CTLA-4抗体薬

・T細胞の初期活性化を阻害する「もう一つの免疫のブレーキ」であるCTLA-4に結合し、その機能をブロックすることでT細胞による免疫反応を増強させる薬剤で、PD-1/PD-L1経路とは異なる段階で免疫を活性化させるため、抗PD-1抗体薬と併用することで、より強力な免疫反応を引き出すことが期待されます。

・特に、MSI-High/dMMRの進行・再発大腸がんの患者さんに対して、ニボルマブ(抗PD-1抗体)との併用療法でその有効性が確認されています。

・使用される薬剤

 イピリムマブ(ヤーボイ)

 

まとめ

大腸がんの薬物療法は、化学療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬という3つの柱によって、この10〜20年で大きく進歩しました。かつては「つらい治療」というイメージが強かったかもしれませんが、現在は副作用をコントロールし、「がんを治療しながら、あなたらしい日常を過ごす」ことが十分できるようになってきています。

治療の選択肢が増えたということは、それだけ「あなたに合った治療」が見つかる可能性が高まったということです。同時に、私たちは副作用の管理(支持療法)にも全力を注いでいます。治療の目的は、がんを小さくすることだけではなく、あなたの生活の質(QOL)を守ることにあるからです。わからないこと、不安なことは、どんな些細なことでも主治医はもちろん、看護師や薬剤師など、私たち医療チームにいつでも頼ってください。安心して治療を続けられるよう、チーム一丸となってサポートします。一緒に、一歩ずつ進んでいきましょう。

喜田凛=監修
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