こんな便には気を付けて 大腸がんを疑うサイン
早期発見のための「スクリーニング検査」
便潜血検査は、大腸がん検診の第一選択として、多くの自治体や職場の健康診断で採用されている、手軽な検査方法です。
1.どんな検査?
便の中の肉眼では確認できないほどの微量の血液(潜血)を調べます。がんやポリープがあると、便が通過する際に組織の表面がこすれて出血することがあります。その場合、便の水分が吸収され、固形になる過程で便の中に血液が混ざり混む事があります。この血液はかなり少量のため肉眼では確認できず、便潜血検査で判断します。
2.検査方法
専用の採便容器を使い、自宅で2日間(または医療機関の指示する日数)の便を少量採取し、医療機関や検診機関に提出します。食事制限などは特に必要ない場合が多いですが、医療機関や検診機関で受けた説明をよく確認しましょう。
3.メリット
身体的負担が少ない
痛みや苦痛はありません。手軽に受けられる
自宅で採便できる為、忙しい方でも比較的簡単に検査を受ける事ができます。費用負担が少ない
自治体のがん検診では無料、または一部自己負担で受けられる場合が多いです。
4.知っておきたい便潜血検査の限界点
この検査は、「たまたまポリープやがんから出血があり、たまたま便に混じり混んで、たまたま検査で引っかかった」という時に陽性となります。そのため、感度も高くなく、出血しやすい進行大腸がんですら偽陰性率は20%程度とも言われています。
便潜血検査で陽性だった場合
If the fecal occult blood test is positive
「陽性」とは、「便の中に血液が混じっている」ということを示しているだけで、大腸がんであることを意味しているわけではありません。
実際、陽性反応が出た方の中で、精密検査を受けた結果、大腸がんと診断される割合は数パーセント程度と言われています。痔や良性のポリープ、憩室出血や虚血性腸炎、炎症性腸疾患など、他の原因で出血している可能性も十分に考えられます。
必ず精密検査(主に大腸内視鏡検査)を受けましょう。
便潜血検査で陽性の場合、最も重要なことは「必ず精密検査を受けること」です。
一般的な検査として「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」が行われます。この検査では、肛門から太さ1cm強のカメラを挿入し、大腸の内部を直接観察します。
《大腸内視鏡検査(大腸カメラ)でできる事》
がんやポリープの有無を直接確認することができる。
粘膜を直接観察し、炎症や腸の形などを診ることで他の病気を発見することができる。
疑わしい部位が発見されれば、組織を採取し病理検査を行い、がんの確定診断ができる。
小さなポリープであれば、検査と同時に切除できる場合もある。
精密検査を受けることの重要性
もし大腸がんであった場合、早期に発見ができれば、内視鏡治療や負担の少ない手術で根治できる可能性が高まります。また、がんに進行する可能性のあるポリープ(腺腫など)が見つかれば、そのポリープを切除することで、大腸がんを予防することができます。陽性の結果が出ても精密検査を受けずにいると、もしがんがあった場合にがんを進行させてしまい、治療が難しくなるリスクが高まります。
便潜血検査が陰性だった場合
If the fecal occult blood test is negative
検査の結果が「陰性」であった場合でも、いくつか知っておくべき注意点があります。
便潜血検査はがんやポリープがあっても、検査時に出血していなければ「陰性」と判定されることがあります(偽陰性)。そのため、ポリープや早期のがんであった場合に、便潜血検査で見逃されてしまう可能性があります。
便潜血検査の結果が陰性であっても、「便秘や下痢が長期間続いている」「腹痛やお腹の張りがある」「便が細くなったと感じる」「原因不明の体重減少がある」「貧血を指摘された」など、気になる自覚症状がある場合は、結果に安心せず、医療機関や医師に相談することをお勧めします。
大腸がんは時間をかけて進行していくことが多い病気のため、今回の検査結果で陰性であっても、推奨される間隔(通常は1年に1回)で定期的に便潜血検査を受け続けることが、大腸がんの早期発見に繋がりやすくなります。
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まとめ
本記事では、大腸がんと便の密接な関係を説明してきました。血便、便が細くなる、便秘と下痢の繰り返し、残便感、黒色便などは進行した大腸がんのサインである可能性があります。しかし、初期の大腸がんは自覚症状がありません。そのため定期的に健康診断で便潜血検査などを受けておくことが重要なのです。また、この検査は手軽なスクリーニング(※2)ですが、陽性であれば必ず大腸内視鏡検査などの精密検査に進むことが重要となります。陰性であっても油断せず、気になる症状が続く場合は専門医に相談しましょう。
大腸がんは治療により治癒(※3)、予後の改善が期待できるため、「いつもと違う便」は体からの重要なメッセージと捉え、迅速な対応を心がけることが大切です。
※2:スクリーニング
まだ症状等がない人も含め多数の人の中から、特定の病気や問題を持っている『かもしれない』人を見つけ出すための、簡単なふるい分けを行う検査のこと。
※3:治癒
病気やケガが良くなり、体から完全になくなった状態のこと。

