こんな便には気を付けて 大腸がんを疑うサイン
便が細くなる
(便柱狭小化、便の細小化)
Stool becomes thinner
(narrowing of the stool column, thinning of stool)
便の太さや形には個人差がありますが、「最近、急に便が細くなった」「指ぐらいの太さの便しか出ない」といった変化が続く場合、それは大腸がんによる腸管狭窄(ちょうかんきょうさく)のサインである可能性が指摘されます。
狭くなった部分を便が通過する際、便が細長い形状になって排出される状態を「鉛筆状便」や「便柱狭小化(べんちゅうきょうしょうか)」と呼びます。
腸管狭窄:腸の中の空間(内腔)が狭くなる状態のことを言います。
がんが進行すると、がんが腸の内側に向かって広がっていき、大きくなります。これにより、腸の中の空間をがんが占めてしまい、便が通過するスペースが物理的に狭められてしまいます。
〈便について特に注意すべき点〉
| 変化の持続性 | 一時的な便秘で便が細くなることもありますが、原因に心当たりがなく、細い便しか出ない状態が数週間以上続く場合は注意が必要です。 |
| 他の症状の併存 | 便が細くなる変化とあわせて、便秘・下痢・腹痛・お腹の張り・残便感・血便など、他の症状が見られる場合は、大腸がんの可能性がより高くなると言われています。 がんによる狭窄が進行すると、便秘が悪化し、最終的には腸閉塞(イレウス)という緊急性の高い状態に至ることもあります。 |
便秘と下痢、
または便秘と下痢の繰り返し
(交代制便通異常)
Alternating constipation and diarrhea,
or alternating constipation and diarrhea
(alternating bowel dysfunction)

がんによって腸管が狭くなると便が通りにくくなります。そうすると、便が出てこない、もしくは出づらくなってしまうため便秘になります。一方で腸は何とかその狭い部分を通過できるようにしようとします。結果、腸が過剰に動いたり、腸液を多く出したりするため下痢が起こる場合があります。
どちらか一方の症状であることもありますが、このような症状が繰り返されることがあります。このように便秘と下痢を交互に繰り返すことを交代制便通異常と言います。他の病気でも起こる症状ではありますが、大腸がんの症状の一つともされます。
これまで比較的快便だったのに、急に便秘がちになった。
排便の回数が減り、排便がない日が数日間続くようになった。
便が硬く、出すのに苦労するようになった。
~考えられるメカニズム~
大腸内に腫瘍ができると腸管が狭くなり、便がスムーズに通過しにくくなることがあります。特に下行結腸やS状結腸、直腸など、便が固形化してくる部位にがんができると、便秘の症状が出やすくなります。
思い当たる原因(食べ過ぎ、冷え、食あたりなど)がないのに、水のような下痢や軟便が続く。
お腹がゴロゴロ鳴り、何度もトイレに駆け込む。
冷たい飲み物やカフェイン飲料を控える、消化の良い食事を心がける、お腹を温めるなど、下痢症状の改善に取り組んでも、一時的にしか改善しない、または効果がない。
~考えられるメカニズム~
腫瘍による炎症、腸内環境の変化などが刺激となり、下痢を引き起こすことがあります。また、腸管が狭くなっている場合、その狭い部分を便が通過するために、腸が水分を多く分泌して便を軟らかくしようとする、通りにくい便を何とか通そうと腸が過剰に動く等によることで下痢になるケースもあります。
数日間ひどい便秘が続いたかと思うと、急に下痢になる。
便秘と下痢を交互に繰り返すようになり、排便のリズムが崩れる。
~考えられるメカニズム~
腫瘍によって腸管が狭くなると便秘になりますが、狭い部分に溜まった便を排出しようと過剰に動いたりすることで、今度は下痢となることがあります。このように、便秘と下痢が交互に起こる状態は、大腸の通過障害が起きている可能性を示唆するサインとして挙げられます。

【☝岡本先生のワンポイントアドバイス】
便通異常の原因として、大腸がんによる腸管狭窄が挙げられます。腸が狭くなり、便が通りにくくなると便が通過できなくなって便秘になる、というのはイメージがつきやすいかと思います。また、さらに腸が狭くなるといよいよ便が通らなくなってしまい腸が詰まってしまう(腸閉塞)ということも同じようにイメージがつきやすいと思います。ただ、その逆で反応性の下痢となる場合もあります。直前まで下痢が続いていたのに、突然便が出なくなり、腸が詰まってしまっていた、という場合もあります。実際に下痢を繰り返していた人が調べてみたら腸が詰まる直前であった、ということもありました。
腸が詰まってしまう、詰まる直前という状態であれば一時的であれ手術を行い人工肛門(腸をお腹の皮膚の部分に直接出すもの)を作ったり、内視鏡でステント(金属製の筒状のもの)を入れたりする必要が出てきます。どれもリスクを伴った処置であるのに、結局は広魏には応急処置でしかなく、がんの直接の治療にはなりません。何らかの異常があった場合は病院を受診し、こうなる前に治療・対応することが重要です。
残便感
feeling of incomplete defecation
排便後も便が残っているような不快感。
何度もトイレに行きたくなるが、行っても少ししか出ない、またはガスしか出ない。
お腹が張った感じや、重苦しい感じが取れない。
~考えられるメカニズム~
直腸(肛門に近い部分)にがんができると、腫瘍そのものが便のように感じられ、実際に便の排出を妨げることなどで、残便感が生じやすくなります。
腫瘍が直腸壁を刺激し、常に便意があるような状態になることもあります。また、がんによって便が細くなる場合も、一度にすっきり出し切った感覚が得られにくい特徴があります。
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便の国際的な指標「ブリストルスケール」

