家族で看取る「穏やかな最期」 Peaceful end-of-life care" with family members
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08/06 (木) 07:21更新

大腸がん患者のための化学療法

Chemotherapy for Patients with Colorectal Cancer
医師 田中 良治
消化器内科医。消化器病専門医・消化器内視鏡専門医として12年目。大腸がんをはじめとする消化器疾患の診療・内視鏡治療に携わり、患者さんに寄り添った医療を実践している。
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日常生活で心がけたいこと

化学療法が始まると、副作用や体調の変化によりこれまでの日常生活に様々な影響が出てくる可能性がありますが、いくつかのポイントを押さえ工夫することで、治療と生活のバランスを取りながら、自分らしい毎日を送ることも可能になります。
ここでは、「食事」「仕事」「セルフケアと周囲のサポート」という3つの視点から、化学療法中の日常生活で心がけたいポイントやヒントをお伝えします。

 

食事

meal

化学療法中の食事は、体力を維持し、副作用から回復するために大切な基盤となります。しかし吐き気や味覚の変化、口内炎などで「思うように食べられない」と悩む方も少なくありません。まずは「食べられるものを、食べられるときに」を基本に、以下の点を工夫してみましょう。
 

1.主食、主菜、副菜の理想的な栄養バランスを揃えるのが難しい時は、「タンパク質」と「エネルギー源」となる主食・主菜を優先して摂るようにし、栄養補助食品などを活用しましょう。

 

2.副作用に合わせた食事の工夫

  • 「吐き気・食欲不振の時」
    匂いの少ない冷たいもの(冷奴、そうめん、ゼリーなど)
    口当たりの良いもの(茶碗蒸し、スープ)
    酸味のあるもの(梅干し、酢の物)
    ※食事は少量ずつ、何回かに分けて食べるのがおすすめです。

  • 「口内炎がある時」
    熱いもの、硬いもの、香辛料や酸味の強いものは避け、柔らかく調理した、人肌程度の温度のものが食べやすいです。
    また、ストローを使うと患部に触れずに水分補給ができます。

  • 「味覚が変わった時」
    だしを効かせたり、風味の良い香味野菜(しそ、みょうがなど)を使うとおいしく感じられることがあります。

 

仕事

work

現在の化学療法は通院が中心のため、多くの患者さんが治療と仕事を両立させています。無理のない範囲で仕事を続けることは、経済的な安定だけでなく、社会とのつながりや精神的な支えにもなります。

まずは主治医に仕事内容を伝え、両立が可能かどうか、またどのような配慮が必要かを相談し、その上で職場の上司や人事担当者に状況を伝え、今後の働き方について相談することが大切です。

具体的には時間単位で取得できる「有給休暇」の活用や、治療日に合わせて勤務時間を調整できる「時差出勤」、体調に合わせて在宅で勤務できる「テレワーク」などがあります。

また、会社の「傷病休暇制度」や、休職した場合の「傷病手当金」なども確認しておくと安心です。一人で抱え込まず、利用できる制度を積極的に活用し、職場と協力しながら最適な働き方を見つけていきましょう。

 

副作用に対するセルフケアと
周囲のサポート

Self-care and support 
from those around you for side effects

化学療法の副作用を上手に乗り切るには、医療機関での支持療法に加え、ご自身で行う「セルフケア」と、周囲のサポートが必要です。

ご家族は、患者さんにとって一番身近なサポーターです。ご本人の話に耳を傾け、不安な気持ちを受け止めながら、「何か手伝おうか?」と具体的に声をかけ、食事の準備や家事の分担、通院の付き添いなど、無理のない範囲で寄り添いながらサポートすることが、なにより大きな精神的な支えになります。
 

【大腸がんの化学療法で見られる副作用に対するセルフケア】

吐き気・嘔吐

・食事は少量ずつ、何回かに分けて食べる。

・匂いの強いものを避け、喉越しの良いものを食べる。

・衣服をゆるめ、リラックスできる環境を整える。

下痢

・こまめな水分補給を心がける。(スポーツドリンク など)

・食事は消化の良いものを選ぶ。(おかゆ、うどん、白身魚、バナナなど)

・刺激物、脂っこいもの、冷たいもの、乳製品は避ける。

口内炎

・こまめなうがいと、柔らかい歯ブラシでの丁寧な歯磨き(口腔ケア)が最も需要です。

・治療中、口の中に氷を含んで冷やすこと(クライオセラピー)で、口内炎の発生を予防できる場合があります。

・熱いもの、硬いもの、酸っぱいものなど口の中を刺激する食べ物を控える。

骨髄抑制

(白血球・好中球の減少)

・手洗い、うがいを徹底し、感染予防が第一です。

・人混みを避ける。

・発熱37.5℃以上)がある場合は感染症のサインかもしれないので、すぐに病院に連絡をしてください。

末梢神経障害

(手足のしびれ)

冷たい飲み物、食べ物、冷房、水仕事など冷たい刺激を避け、手袋や靴下で保温する。


【田中先生からのアドバイス】

化学療法のXELOXゼロックスFOLFOXフォルフォックスFOLFIRIフォルフィリに含まれるオキサリプラチンには、手足症候群という副作用があります。治療後数日で手足に痺れや感覚異常が現れることがあります。通常は数日で改善することが多いですが、寒い刺激や冷房により症状が悪化する場合があります。

症状がある間は手足を温かく保つなど工夫してください。普段の生活や副作用管理の工夫も他の薬剤と同様に重要ですので、他にも疑問点や分からないことなどあればその都度、病院スタッフにご相談ください。

 

まとめ

本記事では、大腸がんの化学療法について治療の目的や進め方、使われる主な薬剤の特徴と副作用、代表的な治療法(レジメン)、副作用への対処法、さらに治療中に心がけたい食事や仕事との両立の工夫まで幅広く解説してきました。大腸がん治療は「がんの性質」や「体の状態」に合わせて最適な薬を選び、支持療法やセルフケアを組み合わせることで、副作用を乗り越えながら日常生活を続けることが可能となりました。主治医や家族と相談しながら、納得できる治療方針を決める一助となれましたら幸いです。

 

【参考文献】

・大腸癌取扱い規約(第9版)金原出版

・大腸癌治療ガイドライン 医師用 2022年、2024年版 大腸癌研究会 金原出版

・患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2022年版 第4版 金原出版

 

医師 田中 良治=監修