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08/06 (木) 07:21更新

大腸がん患者のための化学療法

Chemotherapy for Patients with Colorectal Cancer
医師 田中 良治
消化器内科医。消化器病専門医・消化器内視鏡専門医として12年目。大腸がんをはじめとする消化器疾患の診療・内視鏡治療に携わり、患者さんに寄り添った医療を実践している。
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大腸がんと診断され、これから化学療法(抗がん剤治療)を行うにあたり、「どんな薬を使うのだろう?」「副作用はどのくらい辛いものなのか、仕事や普段の生活はどうなるのだろうか?」「治療にはどれくらいの期間がかかるのだろうか?」など、沢山の疑問が出てくるのではないでしょうか?

がんと向き合い、治療に臨もうとされている方であれば、先の見えないことへの不安な気持ちは誰もが抱く自然な感情です。

この記事では、大腸がんの化学療法に焦点をあて、ステージ別の治療の目的と進め方、最新の薬剤の種類と効果、副作用の具体的な症状と、ご自身でもできる対処法、治療と日常生活を両立させるために心がけたいことまで、詳しく解説をしていきます。

医師と相談しながら納得して治療法を選択するための一助となれましたら幸いです。

 

 

化学療法とは?

化学療法とは、「抗がん剤」という薬剤を用いてがん細胞の増殖を抑え、死滅させる治療法を言います。

がんの進行度(ステージ)や患者さんの体の状態によって、化学療法の目的や役割は大きく異なります。

この章では化学療法がどのような目的で行われ、どのような治療スタイルで行われるか、わかりやすく説明していきます。

 

化学療法の目的と投与方法

Purpose and Administration Methods of Chemotherapy

大腸がんの化学療法では、患者さんのがんの状態に応じて、「延命、進行抑制、再発防止」「症状緩和、QOLの向上」の2つの目的に整理して、単独で行われたり、複数が同時並行で行われます。

化学療法には延命効果が期待できる場合もありますが、根治できるかについては議論が分かれるのが実情で、延命や根治の可能性をできる限り高めることを目的として行われる治療です。

「延命、進行抑制、再発予防」

  • 手術では取り切れなかった可能性のある、画像検査などでは見つけられない微小ながん細胞を根絶し、将来の再発を防ぐことを目的とします。手術での切除が難しい進行がんや、再発・転移したがんに対し、がんの進行を可能な限り遅らせがんを小さくすることを目指し、できるだけ長く、そして自分らしい生活(QOL:生活の質)を送ることを目的とします。

 

「症状緩和、QOLの向上」

  • がんが大きくなることによる痛み、食欲不振、倦怠感といったつらい症状を和らげることを最優先し、患者さんの生活(QOL:生活の質)を改善することを目的とします。また、抗がん剤の投与方法には様々な方法があり、どの投与方法が選択されるかは薬剤の種類、がんの種類、患者さんの状態や生活環境などを考慮して投与方法が決定されます。


【投与方法の種類】

全身投与

  • 内服(経口投与)
    自宅で服用ができるため通院の負担は少なくなりますが、飲み忘れや飲み間違いなど、正確な服薬と自己管理がとても大切になります。

  • 静脈内投与・点滴
    末梢静脈や中心静脈(皮下埋め込みリバーザー(CVポート)など)から抗がん剤を投与する方法です。

 

局所投与

  • 動脈内投与(局所動注療法)
    がんの病変を栄養する動脈に直接カテーテルを挿入し、抗がん剤を注入します。肝臓がんや頭頸部がんや脳腫瘍などで主に用います。
     

  • 腹腔内投与
    腹膜播種がある場合に、局所麻酔などの簡単な手術でお腹の中の空間(腹腔)に「腹腔ポート」という専用の器具を埋め込み、腹腔内に直接抗がん剤を注入します。がん性腹膜炎(胃がんや大腸がんなどの消化器がんや卵巣がんや子宮がんなどの婦人科系のがんで生じることが多い)で用いることがあります。

  • 胸腔内投与
    胸腔内にがん細胞が散らばっている場合や、がん性胸膜炎による胸水貯溜がある場合に、肺と胸壁の間の空間(胸腔)に「胸腔ポート」という専用の器具を埋め込み、胸腔内に直接抗がん剤を注入し、同時に胸水を抜く処置も行います。がん性胸膜炎は肺がんや乳がんや悪性リンパ腫、悪性胸膜中皮腫などで生じることがあります。


次に、手術でがんを取り除いた後に再発を防ぐために行われる「術後補助化学療法」と、手術が難しい進行がんや再発したがんに対して「がんの進行を抑える」ために行われる化学療法について説明していきます。
 

術後補助化学療法

術後補助化学療法は、手術で目に見えるがんを全て取り除いた後、手術では取り切れなかった可能性のある、または検査では見つけられないほど小さな「微小ながん細胞」を根絶し、再発を予防することが一番の目的となり、リンパ節への転移が認められた「ステージⅢ」の結腸がんの患者さん、また再発のリスクが高いと判断された一部の「ステージⅡ」の患者さんに対して行われ、代表的な治療法(レジメン)には、「FOLFOXフォルフォックス療法」や「XELOXゼロックス療法」があり、通院での点滴や飲み薬を組み合わせ、3~6ケ月間継続して治療を行います。また、XELOXでは再発低リスクであれば3カ月間の治療も可能となる場合があります。

参考文献:「2024年版大腸癌治療ガイドライン」より

 

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進行・再発大腸がんへの化学療法

医師 田中 良治=監修