大腸がん患者のための化学療法
手術での切除が難しい進行がんや、一度手術した後に再発・転移したがんに対して行われ、化学療法によってがんの進行を可能な限りコントロールし、がんによる痛みなどの症状を和らげ、自分らしい生活(QOL:生活の質)を保ちながら、一日でも長く過ごすこと(延命)が最大の目標となります。
進行・再発大腸がんの治療では、同じ薬を使い続けることでがん細胞がその薬に慣れてしまい、効果が薄れてしまう「耐性」に対応するためと、副作用が体に蓄積するのを防ぐために、体力を温存しながら段階的に治療法(レジメン)を変えて治療を進めていきます。
化学療法の治療スタイル
approach to chemotherapy treatment
化学療法は基本的に、初回投与やレジメン変更後の初回投与は副作用の関係から、入院での治療を行う施設が一般的です。入院期間は1週間~10日程度で、問題なければ退院後は外来で化学療法を継続することが多いです。
現在では吐き気などの副作用を効果的に抑える「支持療法」が進歩したことや、比較的短時間で点滴を行える薬剤が開発されたことにより、普段の生活のリズムを大きく変えることなく、仕事や家庭生活と治療を両立しながら「通院」で行うことも可能となっています。
治療内容や体調によっては短期間の入院が必要となる場合もありますが、多くの病院では「外来化学療法室(センター)」といった専門の部署が設けられており、リクライニングチェアなどでリラックスしながら安全に点滴治療を受けられる環境が整っています。

【田中先生からのアドバイス】
化学療法直後に倦怠感など強い場合は、外来では次の日に予定を少なくする、仕事や学校などの関係から週末の直前(金曜日の午後など)に化学療法を行うなど工夫されている方もおられます。
代表的な治療法(レジメン)
大腸がんの化学療法は、治療の目的、患者さんの体力、がんの性質などを考慮し、複数の薬剤を効果的に組み合わせた治療法(レジメン)に沿って行われます。
ここでは、大腸がん治療でFOLFOX、XELOX、FOLFIRI以外にも、UFT+LV(点滴療法)やS-1内服(経口内服療法)など、いくつか選択肢がある中で中心的に使われる3つのレジメンについて、その特徴や副作用について詳しくお伝えしていきます。
FOLFOX療法
FOLFOX regimen
大腸がん化学療法の世界的な標準治療として、最も広く使われている治療(レジメン)の一つで、術後補助化学療法で中心的な治療法として使われています。
※進行・再発がんの一次治療は「FOLFOX+ベバシズマブ」の組み合わせで治療が行われます。
【使用される薬剤】
・フルオロウラシル(5-FU):基本となる細胞障害性抗がん剤
・フォリン酸(レポホリナート):5-FU(※1)の効果を高める補助的な薬剤
・オキサリプラチン:強力な細胞障害性抗がん剤
【治療法】
治療は2週間を1サイクルとし、1日目に3種類の薬剤をすべて点滴し、その後46時間かけて5-FUを持続的に点滴し、この流れを2週間ごとに繰り返します。
【副作用】

主な副作用として、手足の指先のしびれ、感覚が鈍くなる末梢神経障害の症状が出ます。特に冷たいものに触れると電気が走るような強い痛みが出ることが特徴で、治療回数を重ねるごとに強くなる傾向があり、手袋をしたり、治療中は冷たい飲み物を避ける、ひどい場合には内服薬(リリカ、タリージェなどの薬剤)を使用する、などの工夫が必要になります。
※1:5-FU
がん細胞の増殖を止める、大腸がん治療で最も基本となる抗がん剤のことを言います。
FOLFIRI療法
FOLFIRI regimen
進行・再発大腸がんの一次治療、あるいはFOLFOX療法が効かなくなった後の二次治療として選択されることが多い治療法です。
※進行・再発がんの一次治療は「FOLFOXもしくはFOLFIRI+ベバシズマブ」の組み合わせで治療が行われます。年齢や体力、過去の副作用の経験に応じて、治療薬の組み合わせ(FOLFOXかFOLFIRIか)を選ぶことが多いです。
【使用される薬剤】
・フォリン酸(レポホリナート)
・フルオロウラシル(5-FU)
・イリノテカン
【治療法】
FOLFOX療法と同様の治療法を行います。
【副作用】

主な副作用として「下痢」の症状があり、点滴中や直後に起こる下痢と、数日経ってから起こる下痢があり、時に重症化することもあるため早めの対処が重要となります。

【田中先生からのアドバイス】
FOLFOXやFOLFIRIで行う化学療法で5-FUがあり、前述の通り46時間(約2日)点滴が必要となり、中心静脈のポート(埋め込み型の点滴)増設の手術が必要になることが多いです。また病院だけでは点滴が終わらないため、自宅に持って帰って点滴を行う必要があり、そのための手技取得(技術を身につけること)や近くでの病院の連携(点滴の抜針など)も必要となります。
また、一番副作用で気をつけるのは治療後7~10日で起こる骨髄抑制(骨髄がダメージを受けることにより、赤血球や白血球や血小板が減少する)に伴う好中球減少性発熱(FN)(※2)です。化学療法により免疫力が低下している際に感染症を起こすと重篤化しやすく、致命的になるため迅速な医療機関の受診と治療が必要になります。
※2:好中球減少性発熱
抗がん剤の治療により白血球の一種である好中球が著しく減少した状態で発熱を伴い、感染症による発熱であることが多いです。
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XELOX(ゼロックス)療法

