肺がんの検査とは
胸腔鏡検査
Thoracoscopy
自己負担費用の目安(3割負担の場合):約260,000~280,000円
※入院7~9日間程度で想定した場合、手術内容で変動
※高額療養費制度が適用される場合が多く実際には上記額よりは少ない自己負担で済む場合が多いです
胸腔鏡検査は、胸に小さな穴を開けて内視鏡を挿入し、肺や胸膜の表面を観察しながら組織を採取する検査です。意識下鎮静*2で行われることもありますが、十分な視野のもとに安全で確実な組織採取を考え全身麻酔で行われることが多いです。
この検査でがんの広がりや転移の有無をより正確に把握できます。
診断精度が非常に高く、特に胸膜の異常やリンパ節の状態を確認するのに有用です。
検査と同時に治療的処置が行われることもあります。
意識下鎮静*2
患者さんの意識を完全には失わせずに、不安や緊張、苦痛をやわらげるために薬を使って落ち着いた状態にする方法

大石先生のひとこと
高齢の方は検査後の経過観察のため数日~1週間の入院になることもあります。活動量低下が懸念されるため早期にリハビリテーションを行うこともあります。検査後の主症状としては息苦しさを訴える方が多いですが、呼吸法や軽い運動で軽減される方も多いです。
肺がんの広がり・転移を調べる検査
肺がんの確定診断後は、がんがどこまで広がっているか、他の臓器に転移していないかを調べる検査が必要です。
これにより、病期(ステージ)が決まり、治療方針が決定されます。主な検査には、全身を評価できるPET-CTや、脳転移を調べるMRI、骨転移の有無を調べる骨シンチグラフィーなどがあります。
PET-CT検査
PET-CT scan
自己負担費用の目安(3割負担の場合):約30,000~50,000円
※保険適用条件あり、施設によって差あり
PET-CT検査は、がん細胞が多くのブドウ糖を取り込む性質を利用して、全身のがんの活動を画像で可視化する検査です。PETによってがんの代謝活動を調べ、CTで正確な位置を把握できます。
原発巣*3だけでなく、リンパ節や他臓器への転移も一度に評価できるため、肺がんの進行度や治療効果の確認に非常に役立ちます。また、高い感度を示すことも特徴です。
ただし、脳・心臓・肝臓の病変は検出が困難な面もあります。
MRI検査
MRI scan
自己負担費用の目安(3割負担の場合):約6,000~10,000円
※検査部位や造影剤使用で変動
MRI(磁気共鳴画像)検査は、磁場と電波を使って体内の断層画像を撮影する方法です。
特に脳や脊椎などの軟部組織の描写に優れており、肺がんの脳転移や脊椎への広がりの有無を詳しく調べる際に用いられます。放射線を使用しないため被ばくの心配がなく、安全性が高いのも特徴です。
ただし、MRIに使われる強力な磁場と電波が金属に反応するため、体内留置金属(脳動脈クリップや心臓ペースメーカー等)があるときは禁忌となります。
動脈ステントや人工骨頭、インプラント等の留置金属も注意が必要です。

大石先生のひとこと
担当した60代男性の患者さんは、胸部CT検査で不明瞭なしこりが指摘され、転移を調べるためにMRI検査を実施しました。「痛いのはいやだ」「せまい所が苦手」とうつむき加減に話されていましたが、実際に終わると「思っていたより楽だった」と笑顔で話されていました。これらの検査は痛みを伴うこともありません。結果をもとに、治療の方向性が決まり、ご本人も「見通しがたてられて安心した」と肺がん治療に向き合うことができました。
骨シンチグラフィー
Bone scintigraphy
自己負担費用の目安(3割負担の場合):約7,000~10,000円
骨シンチグラフィーは、微量の放射性物質を注射して骨の状態を調べる検査です。
がんが骨に転移している場合、骨の代謝が活発になり、その部分が画像上で明るく映し出されます。特に骨の痛みがある場合や、ステージ判定の一環として実施されます。
検査時間はやや長めですが、全身の骨を広く評価できるメリットがあります。

大石先生のひとこと
実際に、70代男性の患者さんは腰の痛みを主症状として受診され、最初は高齢者によくある圧迫骨折と疑われました。その後の精査によりがんの骨転移による骨折と確定診断がされ、適切な治療を受けることができました。
骨転移の有無を知ることは、患者さんの生活を守る上で欠かせません。がんの骨転移により骨が脆弱になり、骨折のリスクが増加します。これは患者さんのQOL(生活の質)を低下させるため早期診断が重要になります。
【次ページ】
その他の検査

