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06/30 (火) 09:57更新

大腸がんの進行速度について知っておきたいこと

Things you should know about the progression rate of colorectal cancer
医師 喜田凛
卒後20年目の医師、初期・後期臨床研修後、各地で研鑽を積んだ後、現在は某地方病院消化器内科部長を務めている。消化器疾患・消化管内視鏡分野の診断・治療を担当し、日々患者さんの病に一緒に立ち向かっています。
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ステージ別でみる大腸がんの進行速度と特徴・自覚症状 

大腸がんは、進行度合いによって「ステージ」が分類され、それぞれ特徴や現れやすい症状、そして治療法も異なります。ステージが進むにつれて体への影響も大きくなり、治療も身体にとって負担が大きいものを選ばざるを得なくなってくる傾向があります。進行の早さはがんの種類や、個別の例によって異なり、ここで示すのは典型的傾向です。

大腸がんは大腸腺腫から発生するものが多く、平均して5年~10年ほどがんの発生にかかると考えられますが、稀に急速に進行するタイプもあります。一度がんが出現すると、原則進行し腸管の深部へ広がっていきます。早期がんは粘膜内にとどまっている段階と、粘膜の下の筋板を破り粘膜下層へ浸潤する段階を指します。なお、粘膜下層までの早期がんでも深さが一定を超えた場合や、血管やリンパ管にがんが入り込んでしまった場合には、リンパ節転移が起こり得るため、外科手術を含めた治療方針の検討が必要となります。

一方、粘膜下層の奥の筋層へ浸潤すると進行癌と扱われ、その深さが増すほど局所進行や遠隔転移のリスクが高くなっていきます。この段階では手術や、化学療法が必要になることが多くなっていきます。

ここでは、大腸がんのステージ別に、進行イメージや、特徴、そして気づきやすい自覚症状について大腸の壁の図と共に詳しく解説します。
 

【☝喜田先生のワンポイントアドバイス】

補足ですが、がんの「発生」と「進行」は別のものです。がんが5~10年進行にかかる、ゆっくり進む、という訳ではなく、ポリープからがんが発生するのに5~10年かかることが多いとされます。

 

ステージ0

stage 0

ステージ0の大腸がんは、がん細胞が大腸の粘膜の最も表面(上皮内)にとどまっている状態を指します。「上皮内がん」「粘膜内がん」とも呼ばれます。

[ステージ0 大腸がん]

進行速度

・粘膜内にとどまっている限り、その成長や広がりはまだゆっくりです。

・がんの性質や体の状態によって進行速度に個人差があります。

特徴

・がんが浅い場所にとどまっている状態で、粘膜の表面に存在し、粘膜下層より深い部分に進んではいません。

・遠隔転移(他の臓器への転移)の可能性はまだ低いです。

ポリープの一部にがんが含まれる段階で見つかり、内視鏡(カメラ)で切除されることも多く、それで治療が完了することも少なくありません。

自覚症状

・大半が無症状で、検診で発見されることがほとんどです

※出血や腸の通過障害を引き起こすことはほとんどありません。

※健康診断や人間ドックの便潜血検査(便に血が混じっているか調べる検査)で陽性となり、精密検査(大腸内視鏡検査など)を受けた結果、偶然発見され、治療されるケースがほとんどです。

 

ステージⅠ

Stage I

ステージⅠの大腸がんは、がんは粘膜の奥の「粘膜下層」と「固有筋層」にとどまり、リンパ節や、他の臓器には転移していない状態を指します。

初期段階であり、5年生存率(がんと診断されてから5年後に生存している人の割合)は90%以上で治療成績が良好な段階です。

[ステージⅠ 大腸がん]

進行速度

粘膜下層にがんが浸潤すると、進行スピードは速くなります。

治療せずに放置すると、リンパ節や他の臓器へ転移していきます。

特徴

・がんの深さは粘膜下層から筋肉の層(筋層)に達した状態。

・リンパ節や、他の臓器への転移(遠隔転移)はなし。

自覚症状

自覚症状は軽微なことが多いです。

血便・下血
・便に血が混じる(鮮血、暗赤色など)
・便潜血検査で陽性となる(目に見えない微量の出血)

便通の変化

・便秘や下痢が続く、または繰り返す

・便が細くなる

・残便感がある(便が出きらない感じ)

腹部の不快感
・お腹の張り
・腹痛(鈍痛)

 

ステージⅡ

Stage II

ステージⅡの大腸がんは、がんが大腸の壁の筋肉の層(筋層)を越えて、さらに外側の漿膜(しょうまく)まで達しているか、隣接する臓器や組織に直接広がっている(浸潤している)状態を指し、リンパ節への転移や、肺や肝臓などの他の臓器への遠隔転移はまだ見られない段階です。

[ステージⅡ 大腸がん]

進行速度

・ステージと比較すると、がんがより深く広がって(浸潤して)います。
・ステージの段階で治療を行わなければ、やがてがんはリンパ節転移、遠隔転移を起こし進行していきます。

特徴

・がんの深さ

ステージⅡA
がんが漿膜下層(しょうまくかそう:大腸の壁の最も外側を覆う漿膜のすぐ下の層)にとどまっている、または外膜にとどまっており、周囲臓器には浸潤していない。

ステージⅡB
がんが漿膜を突き破り、かつお腹の中(腹腔)に露出している。周囲臓器には浸潤していない。

ステージⅡC
がんが漿膜を突き破り、かつ隣接する他の臓器や組織に直接浸潤している。

・いずれもリンパ節や、遠隔臓器(他の臓器)への転移はなし。

自覚症状

ステージよりも自覚症状が現れやすくなります。

血便・下血

・便に赤い血が混じる、暗赤色の便が出る。

・便潜血検査で陽性となる(目に見えない出血が続いている)

便通の変化

・便秘と下痢を繰り返す。

・便が細くなる、出にくくなる。

・残便感(便が出きらない感じ)が続く。

腹痛・腹部膨満感

・お腹の特定の場所がしくしく痛む、張る感じがする。

・進行すると、腸が狭くなり、食べ物や便が通りにくくなることによる強い腹痛や嘔吐(腸閉塞の症状)が現れることもあります。

貧血症状

・がんからの持続的な出血により、気づかないうちに貧血が進行していることがあります。

・めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、顔面蒼白などの症状が現れます。

原因不明の体重減少

・食欲不振や、がんが体の栄養を消費することで、特に理由がないのに体重が減ってくることがあります。

 

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ステージⅢ

医師 喜田凛=監修