家族で看取る「穏やかな最期」 Peaceful end-of-life care" with family members
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06/30 (火) 09:57更新

大腸がんの進行速度について知っておきたいこと

Things you should know about the progression rate of colorectal cancer
医師 喜田凛
卒後20年目の医師、初期・後期臨床研修後、各地で研鑽を積んだ後、現在は某地方病院消化器内科部長を務めている。消化器疾患・消化管内視鏡分野の診断・治療を担当し、日々患者さんの病に一緒に立ち向かっています。
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「自分や家族が大腸がんと診断された」「今のうちにどんな対策を取ればいいのか」「早期発見できれば治る可能性はあるのか」こうした悩みは、多くの方が直面するものです。

大腸がんは、比較的ゆっくり進行することが多いがんのひとつですが、年齢やがんの種類、ステージによって進行の速さはさまざまです。若い世代で見つかる大腸がんは、診断時に進行していることが比較的多いとされますが、これは症状が出ても受診が遅れやすいことや、進行しやすい性質の腫瘍が含まれることなどが影響しています。

ステージが進むほど、がんの広がりや転移のリスクは高まるため、早期発見と早期治療は非常に重要です。しかし、早期の大腸がんは症状がほとんど出ないことが多く、定期的ながん検診で偶然発見されるケースが少なくありません。40代から検診を受け、大腸内視鏡で早期発見し、内視鏡治療で完治に至った例は多数あります。便潜血検査や大腸内視鏡検査は、大腸がんやその前段階であるポリープを見つける有効な方法です。内視鏡で切除できる段階で見つかれば、高い確率で治癒が期待できます。一方で、がんが筋層まで及ぶような進行がんになると、比較的短期間で病状が変化することがあるため、速やかな対応が必要になります。

この記事では、大腸がんの進行速度の特徴や、年齢・ステージごとの違い、早期発見の重要性、最新のデータや専門家である医師の見解をもとに詳しく解説致します。本記事を通し、大腸がんと診断された時に抱く、悩みや不安が少しでも解消され、前向きな気持ちで大腸がんと向き合い、納得のいく治療方針などの選択をしていくことに繋がることができましたら幸いです。

 

 

進行の速さには個人差がある? 

大腸がんの進行速度には個人差があり、様々な要因が影響していると言われています。

大腸がんの進行速度が一人ひとり異なるのは

「がん自体の性質の違い」

「発見されるタイミングの違い」

「体の状態の違い」

が主な理由と考えられています。

ここでは、「体の状態の違い」具体的には「年齢」「体質」「生活習慣」が、それぞれ大腸がんの進行にどのように関わってくるのかを一つずつ解説します。

年齢

age

一般的に、高齢の方のがんは若い人のがんに比べて、ゆっくり進行すると言われますが、それは本当でしょうか?以下順に見ていきましょう。

 

若年者

比較的若い年齢(例:40代以下)で発症する大腸がんは、進行した状態や、悪性度が高いタイプであることが多いと指摘されています。

これは、若年者はがん検診の対象外であることが多く、症状が出てもがんを疑いにくいために発見が遅れることや、遺伝的背景を持つ悪性度の高いがんが比較的多いことが一因とされます。
 

【☝喜田先生のワンポイントアドバイス】

一般的によく耳にする「若い世代はがんの進行が速い」は「誤り」です。前述の説明文にもある通り、進行して見つかるケースが多いのは確かですが、それは大腸がん検診の対象から外れている年代なので症状がない内にがんの発生に気づきにくい、もしくは遺伝性疾患が背景にあるケースがある、という意味合いが強いためです。

 

高齢者

ゆっくり進行が進む傾向があるとしばしば言われますが、がん細胞が持つ生物学的な特性(組織型、分化度、遺伝子変異など)により進行スピードは左右されます。

従って、高齢だからゆっくり、という訳ではありません。また、身体に他の持病を抱えている場合も多く、手術や化学療法に対する体の負担を考えると治療の選択肢が限られてしまうことがあります。

がんの進行度を見て、適切な治療方針を決めるための重要なポイントは、そのがんの性質や全身の状態を総合的に評価すること、といわれています。

※詳細については「年代別でみる大腸がんの進行傾向」の項でご紹介しています。

体質

constitution

「体質」という言葉は広い意味を持ちますが、ここでは主に「遺伝的な要因」と「免疫力」が大腸がんの進行速度にどのような関係があるのかご説明します。

遺伝的要因

特定の遺伝性疾患を持つ人は、若年から大腸がんを発症しやすく、多発したり、進行が速いタイプのがんが発生したりするリスクが高いことが知られています。

その他、がんの発生や進行に関わる遺伝子の個人差(遺伝子多型)が進行速度に影響を与える可能性があると、現在研究されています。

 

免疫力

私たちの体には、異常な細胞を見張って排除しようとする「免疫監視」という仕組みがあります。

大腸がんでも、がんの中に入り込むリンパ球が多いほど経過が良いことが報告されています。

ただし免疫の働きは非常に複雑で、「免疫力」という一言で測れるものではありません。加齢や重い病気、長期の免疫抑制薬などは一部の免疫細胞の機能を弱めることがありますが、ストレスや食事が直接がんの進行速度を左右するかどうかは明確ではありません。がんの勢いには腫瘍の遺伝的特徴や病期など他の要因も関係するため、免疫だけで説明することは難しいと考えられます。

 

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医師 喜田凛=監修