大腸がん末期に必要な緩和ケアとご家族の支え
治療法の選択肢
「末期」の状態の治療法の選択肢は、「これからの時間をどう過ごしたいか」というご自身の価値観が、治療法を選択する上で最も重要となり、「ご自身の望む生き方」と照らし合わせることで、納得のいく自分の想いに沿った治療法を選択することができます。
この事前に自分の人生について家族や医療ケアチームと協議・共有し本人による意思決定を支援する考え方は、近年ACP(アドバンスド・ケア・プランニング)と言われ非常に注目されています。
治療の目的を明確にする:
症状緩和(QOL向上)・延命・根治
Clarify the purpose of treatment:
symptom relief (improvement of quality of life),
life prolongation, and cure.
治療の目的は一つだけを選ぶのではなく、「延命を目指しながら、症状緩和もしっかり行う」など、組み合わせて治療を行うのが一般的です。まずは主治医とよく話し合い、ご自身の希望を明確に伝えることが大切です。
症状緩和(QOL向上)
がんによる痛み、倦怠感、食欲不振といった辛い症状を和らげることを最優先します。今ある苦痛を取り除き、残された時間を自分らしく、穏やかに過ごすことに重点を置き、延命治療と並行して早期から行うことが推奨されています。延命
現在の末期がん治療ではこの「延命」が大きな目的となることが多く、がんを完全に消すことは難しくても、進行をできるだけ遅らせ、可能な限り長く生きることを目指します。新しい薬の登場により、がんと共存しながら年単位で生活を送ることも可能なケースもあります。根治
末期がんの状況では非常に困難な目標になりますが、がんを体から完全になくすことを目指します。体への負担が大きい治療になりますが、転移の数や場所によっては、薬物療法でがんを小さくした後に手術で取り切る「コンバージョン手術」などで根治を目指せる可能性もゼロではありません。
薬物療法は、末期の大腸がん治療の中心となり、点滴や内服によって薬を全身に行き渡らせ、目に見えない小さながん細胞にもアプローチしていきます。
主に「抗がん剤(化学療法)(※3)」「分子標的薬(※4)」「免疫チェックポイント阻害薬(※5)」の3つの種類があり、がんの性質や患者さんの状態に合わせて単独、または組み合わせて治療を行います。
※3:抗がん剤(化学療法)
細胞分裂が活発な細胞を攻撃する薬のことを言い、がんだけでなく正常な細胞にも影響がでやすい薬です。
※4:分子標的薬
がん細胞が持つ特定の「目印」だけを狙い撃ちする薬のことをいい、正常細胞への影響が少ないのが特徴です。
※5:免疫チェックポイント阻害薬
がん細胞にかかっている「免疫のブレーキ」を外し、自身の免疫力でがんを攻撃させる薬です。
放射線治療は、末期の大腸がんにおいて、がんを根治させる目的で使われることは少なく、骨転移による痛みの緩和、脳転移による頭痛や吐き気、手足の麻痺といった神経症状の緩和、がんが大きくなることで血管を傷つけて出血したり、神経を圧迫してしびれを引き起こしたりする症状など、がんによるつらい症状を和らげる「緩和的照射」として非常に重要な役割を果たします。
がんが全身に広がっている末期の段階では、手術ですべてのがんを取り除くことは難しいため、外科手術が第一の選択肢となることは少なくなりますが、
転移が肝臓や肺など限られた場所にしかない場合、またはがんによって腸閉塞(イレウス)や大出血が起きた際に、その症状を和らげるために外科手術が行われることがあります。
先進医療と治験
Advanced medical care and clinical trials
保険診療で認められている「標準治療」のほかに、「先進医療」と「治験」があります。
「先進医療」は、まだ保険適用にはなっていませんが、有効性や安全性が一定の基準を満たし、将来的に保険適用を目指している高度な医療技術で、技術料は全額自己負担となりますが、それ以外の診察や入院費などは保険が適用されます。
「治験」は、新しい薬や治療法を国が承認する前に、その効果と安全性を確認するために行われる臨床試験のことをいい、最先端の治療を無料で受けることができますが、効果が不確定であったり、比較のために既存の治療や偽薬(ブラセポ)(※6)が使用されたりすることがあります。
関心があれば主治医やがん相談支援センターに聞いてみましょう。
※6:偽薬(ブラセポ)
見た目や味は本物の薬と全く同じですが、薬としての有効成分が一切入っていない偽物の薬のことをいいます。
セカンドオピニオンの
重要性と活用方法
The Importance of Second Opinions and How to Use Them
セカンドオピニオンとは、現在の主治医とは別の医療機関の医師に、診断内容や治療方針について「第二の意見」を求めることで、主治医を変えること(転院)とは異なり、主治医の説明に疑問がある場合だけでなく「本当にこの治療法がベストなのか」「他に選択肢はないのか」といった確認をしたいときなどに活用をすることができます。
別の専門家の意見を聞くことで、治療への理解が深まり、新たな選択肢が見つかることもあります。
活用するには、まず主治医にセカンドオピニオンを受けたい旨を伝え、紹介状(診療情報提供書)や検査データを用意してもらう必要があります。これは患者の正当な権利であり、気兼ねする必要は全くありません。「がん診療連携拠点病院」などに設けられている相談窓口で、セカンドオピニオン外来の情報を得ることもできますので、後悔のない治療選択をするためにも、活用を検討してみてはいかがでしょうか。
※セカンドオピニオンを受ける際の費用目安はこちら
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