家族で看取る「穏やかな最期」 Peaceful end-of-life care" with family members
家族で看取る「穏やかな最期」
Peaceful end-of-life care" with family members
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07/02 (木) 08:24更新

終末期に起こる「せん妄」とうまく向き合う方法[後編]

How to Cope with Delirium at the End of Life
医師  横田 小百合
医師。専門分野は緩和ケア。がん治療認定医、総合内科専門医、日本緩和医療学会専門医・指導医。現在は都内病院の院内緩和ケアチームの症状緩和担当として日々患者さんと接している。
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せん妄をできるだけ悪くさせないために

せん妄とは、本人にとっても、周りの家族やケアする人にとっても、戸惑いが大きい症状です。できるだけ起こさせない、起きても悪化させないためにできることをわかりやすくお伝えします。

 

できる準備とケア

Preparation and care you can provide

本人の情報を医療スタッフと共有しよう

本人の性格や、これまでの病気、好きなもの、趣味やよく見ていたTVなどをメモにまとめて伝えておくと、医師、看護師、ケアする人もサポートがしやすくなります

※「どんな人?人生共有レポート」のA4 pdf用紙の雛形は、記事最下部より無料ダウンロードが可能です。

 

慣れたものを持っていこう

家で使っていた枕や寝具、家族の写真、お気に入りの音楽が聞けるプレイヤーなどを持っていくことで、「ここは安心できる場所だ」と感じやすくできます。ご高齢の方の場合は眼鏡や愛用の補聴器、入れ歯なども忘れずに。

朝と夜のリズム・時間の感覚を大切に

朝はカーテンを開けて日を入れ、夜は部屋を暗くして静かに過ごすなど、昼と夜の違いをはっきりさせることで、睡眠リズムが乱れにくくなります。見える位置に見やすい文字盤の時計やカレンダーを置いておきましょう。

口の中をケアしよう

口がカラカラに乾いてしまう「口内乾燥」の不快感もせん妄の原因のひとつになることがあります。うがいや飲水を促し、難しい場合は専用のブラシなどでケアをしましょう。

  • 無理にたくさん飲ませようとしない
    ・少しずつ、無理のない量をあげましょう

  • 口の中をうるおすだけでも十分
    ・小さなスプーンでちょっとだけ口に含ませる
    ・濡らしたガーゼやスポンジブラシで口をぬぐう
    ・スプレータイプのケア用品や、水を入れたスプレーボトルも活用

  • ムセずに飲み込めるための工夫をする
    ・とろみをつけた水分(とろみ剤を使う)
    ・ゼリー飲料など飲み込みやすいものを選ぶ

  • 本人の希望を尊重する
    ・「いらない」と言ったら、無理にあげない

  • 医療チームと相談しながら
    ・必要に応じて、点滴や皮下点滴(皮ふの下に水分を入れる方法)も選ばれることがあります。医師や看護師に相談しながら決めましょう。

便秘や痛みも気にしてあげる

少しの症状でも長く続くときっかけでせん妄が起きてしまうことがあります。我慢をしていないか、たずねてください。

心の準備ができる「声かけ」をしよう

「今日の予定はこれだよ」「今いるのは〇〇病院だよ」「明日は検査だよ」など、くりかえしわかりやすく伝えることで、本人の不安を減らせます。

 

まとめ:家族がせん妄になったとき

あなたの存在が一番の支えです。せん妄のある終末期は、家族にとっても心がゆれる時間となるでしょう。しかし、難しいことをする必要はありません。

驚かず、落ち着いてそばにいる

・本人の「混乱の中の気持ち」に寄り添って目を向ける

このような「やさしい心構え」だけで、本人は「大丈夫」と感じることができます。ご家族とご本人が、残された時間を少しでも穏やかに過ごせることを願っています。

※「どんな人?人生共有レポート」のA4 pdf用紙の雛形は、記事最下部より無料ダウンロードが可能です。

 

*以下は執筆者(LifeStar編集部所属)の経験談です

編集を終えて

執筆者自身(LifeStar編集部所属)、義理の妹を白血病により34歳という若さで亡くすという経験をしています。本人は3人目の子供を出産した2か月後に白血病を発症し、子育てをすることもできず、本人も気持ちの整理もつかないまま即入院することとなり、その日から辛い治療が始まりました。周りの家族もあまりに突然の告知にショックと戸惑いばかりで、病気についての知識も無く、とにかく家族皆が混乱していました。

筆者自身は数回の面会ができましたが、最後に面会した時には「せん妄」の状態となっており、何度も繰り返し「今日は何日?」「今は何月?」と聞かれ、私自身ただ戸惑うばかりで、「今日は〇日だよ」「今は〇月だよ」と答えてあげることしかできませんでした。

面会を終え病院を出た瞬間、私自身義理の妹との沢山の思い出や思いでいっぱいになり、涙が止まらなく溢れ、その場で泣き崩れてしまったのを今でも昨日のことのように鮮明に覚えています。

せん妄について少しでも知識をもっていたら、限られた面会時間の中でも、もっと義理の妹と過ごす時間を変えられたのではないかと感じています。

いま、この文書を読まれているご自身が、大切な人との限られた時間を過ごす中で、「せん妄」という症状に直面し、戸惑いを隠せないでいるかもしれません。大切な人に寄り添うご家族、身近でケアする方が少しでも「せん妄」について知ることができたら、限られた時間をもっと穏やかなあたたかい、素敵な時間に変えることができるかもしれません。

この記事を通し、大切な人との限られた時間が、穏やかなあたたかい時間となるきっかけになれましたら幸いです。

 

【参考文献】

国立がん研究センター「せん妄アセスメントシート」

 

医師  横田 小百合=監修
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【参考資料】