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06/29 (月) 10:21更新

大腸がんの腹痛と腰痛

~家族が知っておきたい特徴と家庭での対処法~
Abdominal and Lower Back Pain Associated with Colon Cancer —Key Characteristics and Home Care Tips for Family Members—
医師 岡本彩那
大学3次救命センターや他大学消化器内科勤務を経て、現在は市中病院の消化器内科に所属。専門は胆膵。医療記事の執筆経験もあり、患者さんに寄り添った診療を大切にしている。
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大腸がんの腹痛とは?
特徴的な痛み方とその対処法

大腸がんの早期がんの場合は症状が出ることはほぼありません。

大腸がんが大きくなるにつれ、様々な症状が出てきますが、それでも初期の段階では自覚症状が少ないことが多い病気です。大腸がんが進行するにともなって、様々な症状が出てきますが、その症状の一つとして「腹痛」という形で身体にサインを送るようになります。

その痛みには特徴があり、見逃さずに気づくことが、心と体の準備を整える第一歩になります。特にご家族が介護を担っている場合、日々の様子からわかる変化はとても重要です。

ここでは、大腸がんにともなう腹痛の特徴や進行に応じた変化についてわかりやすく解説します。

初期:腹痛はある? *

Early stages: Do you have abdominal pain? 

大腸がんの初期段階では、実は「明らかな腹痛」が現れることは少ないとされています。

腫瘍がまだ小さいため、腸管内を塞いだりせず、腫瘍がある分狭いと言っても腸管内には十分な空間がるため、食べ物や便の移動に大きな影響を与えていないためです。

*当タイトルの「初期」とは「進行のうちでも5年生存率が良く、転移がない、大腸内にとどまっているStageⅠ」を想定しております。なお、早期癌となるStage0については基本的に症状が出ることはほとんどなく、健診やたまたま検査を行ったら見つかった、などが多いでしょう。

 

 

 

 医師 岡本先生からのひとこと

大腸がんの初期や、早期癌では無症状のことも多いため、健診等で定期的に診ていくことが最も重要です。

がん検診では便潜血(便の中に血液が混じっているかどうかの検査)もしくは人間ドックであれば大腸カメラなどを行うことが多いでしょう。便潜血の場合でも陽性であればがんの卵ともいえるポリープがある、もしくはがんがある可能性があります。これらの可能性が0でない場合は下部消化管内視鏡検査を受けて良性のポリープのうちにとってしまう、もしくは早期癌であっても内視鏡で取り切れるうちに取ってしまうことが重要です。
一方で早期癌ではなく、大腸がんがある程度進行した状態であっても、そこまで進行していなければ手術によって根治を目指せる場合があります。

その場合は「症状がない場合が多い」とはいえ、症状が絶対に出ないというわけではありません。

肛門の近くであれば少量の血便が出たり、お腹にガスが溜まったような違和感や痛み等も出てくる可能性があります。

このような症状は、加齢や生活習慣による変化と似ているため、見過ごされやすいのが現状です。「なんとなくお腹が張る」、「以前よりも排便後のスッキリ感が減った」……こういった症状は、体が発しているサインかもしれません。

[普段との違いを感じたら一度病院で相談を]

少し難しい話にはなりますが、「初期の症状」と「初発症状」は異なります。大腸がんが進行したことで現れる症状は様々なものがありますが、かなり進行しないと大腸がんに気づかない人もおり、お腹が張ったり、お腹が痛むからとの理由で外来を受診した時には、すでに末期であったというケースもあります。

例えば普段から下痢が続いていたとしても実はそれが大腸がんの症状であったということもあるので、お腹の症状に異常がある、普段とは違う違和感が続いているということがあれば一度病院で相談しましょう。

 

進行期:どんな腹痛が起こる?

Progressive Stage: What Kind of Abdominal Pain Occurs?

大腸がんが進行すると、様々な症状が現れ、徐々に目立つようになります。その中でも大腸がんが進行することによって腹痛が出てくることがあります。

この痛みにはいくつかの特徴があり、特に「周期的な痛み」と「時間帯による痛みの変化」が挙げられます。

  周期的な痛み 

進行したがんによって腸管内が狭くなり、食べ物や便、腸液やガスの通過が妨げられると、狭いところに対して何とか食べ物や便などを通過させようと腸が収縮する動きが強くなるため、痛みが周期的に現れます。腸は食べ物などを流すときにずっと収縮しているわけではなく、収縮して弛緩して、という動きを繰り返します(蠕動運動:ぜんどううんどう)

痛みが出るのは腸が収縮して腸の圧が高まる時に起こるため、「波のように強まったり弱まったりする痛み」が繰り返されるのです。また、食事後に痛みが強まることもよくあります。

これは食べ物が腸に流れ込み、動きが活発になるためです。

  時間帯による痛みの変化 

理由は様々ですが、夜間など、特定の時間帯に痛みを強く感じることもあります。痛み止めの種類や内服した時間によっては痛み止めの効果が薄れてきたタイミングで、痛みが強くなることもあるでしょう(この場合は痛み止めを飲むタイミングを調整したり、痛み止めの種類を変更したり、頓服などで対処していきます)。

また、日中活動している時間帯と異なり、夜間に痛みを強く感じることが多い場合には、活動的な日中とは異なり、夜間は周囲からの刺激が少なくなることが影響している可能性もあります。気がまぎれることも少なくなりがちなため、痛みを強く感じてしまう場合もあるでしょう。

腫瘍自体には軽い炎症を伴うものもあり、腸の動きによって痛みが強くなるケース、眠る時の体勢によって痛い場所が圧迫されて痛みが強くなるということも痛みを強く感じる原因としての可能性としては上げられます。

こうした痛みは、進行度合いや体調によっても変わりますが、日常生活に影響を与えるほどになることもあります。

 その他 

大腸がんが大きくなり、周囲の臓器や神経に及ぶことによって腹痛を引き起こすこともあります。その場合は言いようのない重苦しい痛み、鈍痛を感じることが多く、この場合は何をやっていても、どんな体制をとっても同じような痛みが続くことが多いでしょう。

また、がんの進行により腹水が出てきたとき、大腸がんが進行し、腸管内を塞いでしまう、もしくは腸管内が狭くなって便が通らなくなった場合などは、お腹が張ってしまい、それに伴った痛みが出ることがあります。この場合はお腹全体が突っ張ったような痛みが出ることがあります。

 

 

 医師 岡本先生からのひとこと

腸が狭くなっている場合は、下剤で便を柔らかくして狭くなった腸を通りやすくして詰まらないようにしたり、腹水がある場合は利尿薬で腹水を含め身体に溜まった水を外に出すことで症状を少しでもよくするなどの対応をすることがあります。

一度主治医に相談しましょう。

 

家庭でできるおすすめの対処法
~腹痛編~

Recommended Home Remedies: Stomachache Edition

前述したような腹痛が続いたとき、家庭でもできる腹痛を和らげるおすすめの対処法を解説していきます。

 1.腹部をホットパックや湯たんぽで温める 

血行が良くなり、お腹の筋肉がほぐれて痛みが和らぎやすくなります。リラックス効果も期待できます。

特に腹水などでお腹が張っていたい場合等に少し和らぐこともあります。ただし腸が狭くなり、そこに便を通すため、腸が動きすぎていたい場合は効果がない、あるいは悪くなる場合も0ではありません。

もし試す場合には、事前に主治医に相談の上、ご本人の状況や表情などをよく観察し、声がけをしながら少しずつ慎重に試されると良いと思います。

 2.消化に良い食事を心がける 

腸への負担を減らすことで痛みの悪化を防ぎます。

繊維質の多いものは腸まで残ってしまい、腸に負担をかけてしまったり、大腸がんで狭くなった腸を通過しにくくなってしまったりするため、繊維質の少ないものが理想的です。

【繊維質が少ない食べ物の代表例】

  • おかゆ

  • うどん

  • 絹ごし豆腐

  • 白身魚(タラ、カレイなど)

  • 鶏ささみ

 

 3.軽いストレッチや体位の工夫(横向き・膝を抱える姿勢など) 

ガスの滞留による膨満感がある場合、体勢を工夫するだけでも痛みが軽くなることがあります。

体の向きを変えるときには、やさしく声をかけながら行い、本人が楽だと感じる姿勢を一緒に探していくことも、大切なケアのひとつです。

 4.痛みの記録をつける 

痛みの時間・場所・強さ、どんな痛みかなど、病院での診察時に医師への情報提供として役立ち、適切な対処につながります。

 

 

 医師 岡本先生からのひとこと

大腸がんの痛みには様々な原因があります。しかしながら大腸がん自体の痛み、大腸がんが神経等を圧迫して起こる痛みもあります。これらの痛みについては我慢する必要がない痛みですので、痛み止めなどの薬に頼ることも重要です。

大切なのは「痛みがない状態で楽に過ごすことができる」という暮らしです。

痛み止めにはかなり強いもの(オピオイド:医療用麻薬)もあり、薬に対する抵抗感がある方もおられます。しかしながら痛み止めを使う時は弱いもの、量も少ない状態から使っていき、痛みの強さなどに合わせて量や種類を調整していきます。強い痛み止めを処方されたり、痛み止めの量が多いということもありますが、その時処方された薬の種類や量は、医師が現在の痛みにあったものとして判断したものになります。

薬に頼りすぎないという意識も大切ですが、痛みを我慢してまで頼らないという必要はありません。痛みが出てくればその都度痛みの程度や痛み方などを主治医に伝え相談の上で必要な痛み止めを処方してもらい効果的に活用しましょう。

 

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大腸がんの腰痛とは?特徴的な痛み方とその対処法

医師 岡本彩那=監修
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