胃がん手術後の食事ガイド
胃がん手術後の食事のポイント【手術後の経過時期別】
胃がんの手術後は、胃が小さくなったり、消化機能が変化したりするため、時期ごとに適切な食事を選び、無理なく栄養を摂る工夫が必要になります。
ここでは「手術直後~退院まで」「退院後~半年」「6か月以降」と3つの段階に分け、おすすめの食事についてご紹介していきます。
手術直後~退院までの食事(入院中)
Meals from Immediately After Surgery Until Discharge
(During Hospitalization)
手術直後から退院までは、消化の良い食材を選び、小分けにして食べることが大切です。食事開始からから約2〜3日間は流動食中心で、重湯やスープ、ゼリーなどが病院食として提供されることが多くなります。
その後、胃の負担にならないよう、柔らかく調理した煮物や3〜5分粥が提供され始めるため、少量ずつ食べるようにします。
入院中は主治医や看護師、管理栄養士が患者様の症状を見ながら食事調整を行いますので、さほど心配はいりません。退院の頃には全粥〜柔らかめのご飯へと移行されていくことが多いと思います。

管理栄養士 水澤のワンポイント情報
退院間際に病院で出ていた食事をよく覚えておくことが、退院後の食生活に大いに役立ちます。
近年はERASという、術後の回復をスムーズにするための、術前術後の様々な管理が推奨されています。その中で栄養管理については、「絶食期間を短く」「可能な限り早期に食事開始」が推奨されています。
ERASに則り、経過によりますが術後3〜5日で食事が始まり、経過が順調な方の場合、食事開始から1週間以内に全粥へと移行することも珍しくありません。
退院後~半年の食事(退院後〜6か月)
Diet for the first six months after discharge
(from discharge to 6 months)
退院後のポイントは、「消化の良い食材を選ぶ」「1回の食事量を減らし、回数を増やす」ことです。1日5~6回の小分け食を基本とし、胃に負担をかけないようにします。
お粥や豆腐、白身魚などは消化が良く、取り入れやすい食材です。また、よく噛んでゆっくり食べることも大切です。
無理にたくさん食べようとせず、体調を見ながら食事を進めていきましょう。
手術後3か月を過ぎると、少しずつ通常食に近づけることができます。ただし、急に普通の食事に戻すと消化不良や体調不良を引き起こす可能性があるため、慎重に進めましょう。
この時期は「食材のバリエーションを増やしながら、胃に負担をかけない工夫」が重要になります。
軟飯や柔らかいご飯から米飯に切り替え、食材の種類も増やしていきます。
鶏肉や豚肉の赤身など、少しずつタンパク質の選択肢を広げると良いでしょう。野菜も生野菜ではなく、よく茹でたり蒸したりして消化しやすい形に調理します。
海藻類やナッツ類、イカ、タコ等は消化負担がかかるため避けましょう。また、青魚・うなぎ・バラ肉等の脂質の多い食品も消化に時間がかかり負担が大きいため、控えましょう。
食事の回数は引き続き1日5回程度を目安にし、少量ずつ食べることを心がけます。栄養バランスを考えながら、体調を見つつ食事を調整することが大切です。

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米飯は、軟飯と比較すると水分量が少ないため、多く食べることが可能です。軟飯と同じ量を食べた際と比べると、摂取カロリーが上がるため、可能なら米飯へと切り替えていくことを目指しましょう。
6か月以降の食事~通常食への移行
Meals from 6 months onward—Transitioning to regular food
手術後6か月が経過すると、多くの人が通常の食事に近づけることができるようになります。しかし、完全に元の食事に戻るのではなく、消化の負担を考えた工夫が必要です。
食事の回数を1日3~4回に減らしながら、食材や調理法の選択肢を広げていきます。
揚げ物や脂っこいもの、刺激の強いものはまだ控えめにし、少しずつ試しながら自分の体に合った食べ方を見つけることが大切です。また、アルコールやカフェインも控えめにし、体調を見ながら取り入れましょう。
胃がん手術後でも食べやすい食材や調理法
胃がんの手術後は、適切な食材選びと調理法を工夫することで、無理なく栄養を摂取し、快適な食事の時間を過ごすことができます。ここでは、体に優しく消化しやすい食材やおすすめの調理法をご紹介していきます。
消化に良いおすすめの食材
Recommended foods that are easy to digest
胃がん手術後の食事では、消化器への負担を減らしつつ、必要な栄養を確保することが重要です。
特に、脂肪分の多い食事や刺激の強い食品は避け、柔らかく消化しやすい食材を選ぶことがポイントになります。
消化に良い食材の主なもの
主食類
おかゆ、軟飯、うどん、そうめん、食パン(耳を取り除いたもの)
タンパク質
豆腐、白身魚(タラ、カレイなど)、鶏ささみ、卵(茶碗蒸しや半熟卵)
野菜類

じゃがいも、にんじん、大根、かぼちゃ、青菜は葉の部分(すりつぶしたり、煮込んだもの)
果物類
バナナ、リンゴ(すりおろしやコンポートにすると食べやすい)
乳製品
ヨーグルト(無糖・低脂肪)、カッテージチーズ
飲み物
麦茶、薄めたほうじ茶、すりおろしリンゴジュース
食材を調理する際は、できるだけ柔らかく煮る・すりつぶす・細かく刻むといった工夫をし、胃への負担軽減を意識してみてください。
食欲不振のときの食べ方の工夫
Tips for Eating When You Have a Poor Appetite
胃がんの手術後、食欲がわかない日が増えることもあります。
無理に食べようとするとかえってストレスになり、食事が苦痛になってしまうこともあります。そんなときは、食事を楽しむ工夫を取り入れてみましょう。
まず、彩りを意識した盛り付けや、お気に入りの器を使うことで、視覚的に食欲を刺激できます。たとえば、鮮やかな野菜を添えたり、カラフルなスムージーを取り入れたりするのも効果的です。また、家族と一緒に食卓を囲むことで、リラックスした雰囲気になり、自然と食が進むこともあります。
次に、食べやすい調理法を取り入れましょう。
例えば、以下のような方法がおすすめです。
柔らかく調理
野菜や肉は煮込んで柔らかくし、消化しやすい状態にする。(野菜は一度冷凍すると繊維が崩れ、消化しやすくなります。)
温度に気をつける
冷たすぎるものや熱すぎるものは避け、適温で提供する。
香りを活かす
レモンや生姜、ハーブを使って風味を加えると、食欲がわきやすい。(反対に、スパイスなどは刺激が強いため、控えましょう。)
また、無理に3食しっかり食べる必要はありません。
食べたいときに、食べられるものを少しずつ摂ることで、負担なく栄養を補うことができます。
まとめ
胃がん手術後の食事は、体の回復と生活の質を維持するためにとても重要です。
無理をせず、自分の体調に合わせた食事を心がけることで、少しずつ食べられるものが増えていきます。食事は「義務」ではなく、「楽しむもの」と考えながら、無理のない範囲での工夫を心がけてみてはいかがでしょうか。
また、困ったときは医師や管理栄養士に相談してみることもおすすめです。
この記事が少しでもみなさんのお役にたてれば幸いです。

