私の看取り体験談 ~ 看取った家族の物語り ~ Last Shirahama Trip and Sushi
Stories of each family
家族が語る「それぞれの最期」
レビー小体型認知症というもの

レビー小体型認知症というもの

Last Shirahama Trip and Sushi
看取った方
看取り体験者 (女性)
ごんごん さん (女性)
34歳 介護福祉士 岡山県
看取られた方
認知症グループホーム入居者
Dementia group home resident
享年 87歳
主な疾患 肺気腫/レビー小体型認知症
闘病期間 0年 6ヶ月
最期を迎えた場所 施設

どんな看取りだったかお聞かせ頂けないでしょうか

江藤さん(仮名)は工場で45年間働き、若い頃はスポーツを趣味としていたそうです。60歳で車の運転免許を取り、スキーや書道を始めたりと、定年後もとても活動的でした。運転が好きで、全国を旅したとよく話してくださいました。


奥さんのことが大好きで家では奥さん、奥さんという感じだったそうです。しかし江藤さんが認知症になりその姿を見たり、看病しているうちに奥様が鬱病になってしまい、当グループホーム(GH)に入居することになりました。


江藤さんはとても几帳面で勉強熱心な方で、自身の病気について勉強したり、職員の名前を覚えようと常にノートを持って行動していました。神経質になりすぎてそのノートがパニックの原因になることがありました。パニックになるとあちこちに電話をかけたり、ご家族を呼んだりとバタバタすることもありました。基本的には穏やかで品のある方でしたが、レビー小体型認知症の進行が進むと症状は悪化し、幻視、幻覚、幻聴が現れました。


他の入居者が奥様に見えてしまい話しかけたり、スキンシップをして怖がられてしまったり、誰もいないところにも奥様が見えているようで笑顔で話をしていることもありました。そのことから他の入居者に不審がられることが増えてきてしまいました。誰かが見ている、物を盗まれたなど妄想が始まり、不眠で夜間も動き回ったり大声を出すことが増えました。不安から職員に対しても攻撃的になり、暴言や手が出ることもありました。


意識がハッキリしているときは笑顔で職員と会話をしたり、ご家族のことも認識して他の入居者とスポーツなどのレクリエーションを楽しむこともありましたが、それも少しずつ減り混乱する時間が増えていきました。


パーキンソン症状(身体の震え、筋肉のこわばり、動きがゆっくりになる、身体のバランスを保つのが難しくなる等の症状)も見られ歩行が困難になり、歩行器を使用するようになったのですが混乱することが多く歩行器が何か他のものに見えてしまいひっくり返してみたり、逆さまにして振り回したり、歩行器を居室や廊下に置き去りにしてすり足で出てきたり、むしろ歩行器がある方が危険な感じで常に見守りが必要になりました。


穏やかにリビングで過ごされていたかと思ったら突然立ち上がり、隣にセットしてあった歩行器をまたごうとしてつまづいて転倒、骨折してしまうこともありました。それでも痛みは感じないようで退院後はスタスタと歩いていました。


昼夜問わず興奮状態が続くようになり、安定剤と眠剤が処方されました。それでも動き回ってしまうので危険がたくさんでした。マンツーマンで話を聞くのですが全く話が噛み合いませんでした。それでも機嫌がいいときはいいのですがなんのきっかけもなく突然怒鳴り声をあげて激怒することもあり対応が難しかったです。


肺気腫(肺や気管支の炎症から気道が細くなる病気)を患っているためあまり行動的になると発作が出てしまうので休んで欲しいのですが、本人は動き回ってしまいます。意識がハッキリしているときは薬に依存することもあり、眠剤や安定剤を何度も要求して来られるため、偽薬を渡してその都度安心してもらっていました。


偽薬でも安心感に繋がるようで、眠れる日もありました。何日も寝ずに興奮状態が続いたあと、ようやく眠りにつくと今度は全く起きる気配がなく、起こしても反応がなかったため主治医に診てもらいました。しかし特に病気などではないとの診断でした。


オムツ交換はできますが食事が摂取できないので、病院へ入院することになりました。それからしばらくして、江藤さんが亡くなったということを聞きました。興奮状態が続いていたときはとても「人間らしい」とは言えない状態でしたが、あんなに元気に動き回っていたのに突然亡くなるなんてびっくりしました。

ご本人はどんな方でしたか What kind of person was he

江藤さんは工場で45年間働き、若い頃はスポーツを趣味としていたそうです。60歳で車の運転免許を取り、スキーや書道を始めたりと、定年後もとても活動的でした。運転が好きで、全国を旅したとよく話してくださいました。


奥さんのことが大好きで家では奥さん、奥さんという感じだったそうです。しかし江藤さんが認知症になりその姿を見たり、看病しているうちに奥様が鬱病になってしまい、当GHに入居することになりました。江藤さんはとても几帳面で勉強熱心な方で、自身の病気について勉強したり、職員の名前を覚えようと常にノートを持って行動していました。

病気はどんな経過を辿りましたか How did the disease progress

基本的には穏やかで品のある方でしたが、レビー小体型認知症の進行が進むと症状は悪化し、まず幻視、幻覚、幻聴が現れました。他の入居者が奥様に見えてしまい話しかけたりスキンシップをして怖がられてしまったり、誰もいないところにも奥様が見えているようで笑顔で話をしていることもありました。そのことから他の入居者に不審がられることが増えてきてしまいました。


誰かが見ている、物を盗まれたなど妄想が始まり、不眠で夜間も動き回ったり大声を出すことが増えました。不安から職員に対しても攻撃的になり、暴言や手が出ることもありました。意識がハッキリしているときは笑顔で職員と会話をしたり、ご家族のことも認識して他の入居者とスポーツなどのレクリエーションを楽しむこともありましたが、それも少しずつ減り混乱する時間が増えていきました。


パーキンソン症状も見られ歩行が困難になり、歩行器を使用するようになったのですが混乱することが多く歩行器が何か他のものに見えてしまいひっくり返してみたり、逆さまにして振り回したり歩行器を居室や廊下に置き去りにしてすり足で出てきたり、むしろ歩行器がある方が危険な感じで常に見守りが必要になりました。


穏やかにリビングで過ごされていたかと思ったら突然立ち上がり、隣にセットしてあった歩行器をまたごうとしてつまづいて転倒、骨折してしまうこともありました。昼夜問わず興奮状態が続くようになり、安定剤と眠剤が処方されました。それでも動き回ってしまうので危険がたくさんでした。


マンツーマンで話を聞くのですが全く話が噛み合いませんでした。それでも機嫌がいいときはいいのですがなんのきっかけもなく突然怒鳴り声をあげて激怒することもあり対応が難しかったです。何日も寝ずに興奮状態が続いたあと、ようやく眠りにつくと今度は全く起きる気配がなく起こしても反応がなかったため主治医に診てもらいました。しかし特に病気などではないとの診断でした。


オムツ交換はできますが食事が摂取できないので、病院へ入院することになりました。それからしばらくして、江藤さんが亡くなったということを聞きました。

やってよかったこと What are you glad you did?

入居したてのまだ認知症の症状が軽いときに、いろんな思い出話を聞けたりいろんな場所に出かけて思い出を作れたことがよかったです。とても知識豊富の方で、出かけ先でも豆知識を皆様に披露されていました。意欲のある方でなんでも勉強熱心で、病気を治そうと前向きな姿勢が印象的でした。


しかし病気は気持ちとは裏腹にどんどん進行していき、意思疎通が難しくなり、表情が険しい日々が続きました。何かのきっかけでその険しい表情が柔らかくなるとこちらも嬉しくなりました。安心できる声かけや対応は何かと考えさせられました。


幻聴や幻覚はどんなものなのか私たちには到底理解できないのでどうすればいいのか戸惑いましたが、寄り添う対応が大事だと感じました。「部屋に誰かがいる!」と居室を飛び出してきたときは男性職員が居室を見に行き「追い払ってきましたよ!」と息を切らして言うとホッとしたし表情を見せられました。


「そんなことない。」「大丈夫。」などと根拠のないその場しのぎの言葉を使うのではなく、寄り添って安心に繋げることができてよかったです。

もっとこうすればよかった Things I'm glad I did

入居してから病気の進行が早く、また、私もレビー小体型認知症の方の介護をするのは初めてだったため対応が戸惑いました。


昨日までできていたことが今日できない。会話ができなくなり、見えないものが見えて大声を出したり暴力的になり、まるで人が変わったかのようでした。足取りも悪くなり嚥下機能も低下して、とにかくその点が1番の驚きでした。


勉強はして頭ではわかっているつもりでしたが、江藤さんにしか見えない世界が広がっていました。江藤さんが世界の中に入っている時には納得させたり、安心させることが難しく、不安な思いをさせてしまったかなと反省しています。


大声を出したり幻覚があると、他の入居者からも浮いた存在になってしまい怖がられていたことがあったのでもっとフォローできることがあったかなと思います。また、最期なぜ寝たきりになってしまったのかがわからないので、何かできることがあったのか少し後悔です。

もっとこうだったらいいのに I wish it was more like this

レビー小体型認知症の症状の経過を、もっとみんなに知ってもらうべきだと思いました。レビー小体型認知症はアルツハイマー認知症や老人性認知症などとは違う症状がでてきます。身体にはパーキンソン症状が出て、物忘れだけではなく、幻覚、幻聴もあります。


そのため、症状の経過を知らないと、介護している周りの家族も戸惑ったり「怖い」という感情を抱いてしまうかもしれません。本人も困っているので、周りが理解して対応することが何よりの安心になり、その安心が病気の進行を遅らせたりすることに繋がると思います。「こういった病気がある」ということを当事者や家族などが話す会などがあるといいかなと感じました。

この先 家族を看取る方へ伝えたい事 What I would like to convey to those who will be caring for their families

レビー小体型認知症は、アルツハイマー認知症や老人性認知症などと違う症状が出て来るので戸惑う人も多いと思います。


江藤さんの場合、元の性格は几帳面で真面目で友好的で明るい性格で全ての生活が自立していましたが、病気の進行と共に幻覚、幻聴が現れ大声を出して暴れるようになり、妄想からパニックを起こし職員や他の入居者に対しても攻撃的になってしまいました。


パーキンソン症状も現れ、歩行困難、嚥下困難、排泄困難になり、生活全般に介助が必要となりました。息子様はわりと頻繁に面会に来られていたので、状態の波があるのも理解されていましたが久しぶりに会った奥様は江藤さんの変わり果てた姿に驚きを隠せずにいました。


「認知症」と一括りに言ってもいろんな症状の経過があります。物忘れはどの認知症にも見られます。それでも大好きなご家族にたくさん会ってたくさん思い出を作りましょう。自分のためでもご本人のためでもあります。そして、人によってペースは違いますが状態は確実に進行しますし、低下していきます。


できることをできるときにして、後悔のない日々を過ごしてください。食べ物も食べ方がわからなくなってしまったり、嚥下機能が低下して意欲があっても口から摂取できなくなることがあります。食べられるときに好きな物を食べてもらいましょう。


江藤さんは元気なときは、GHのイベントなどでビールを飲んだり、お寿司を食べたりとても楽しんでいました。「会社の宴会を思い出すようだ。」と喜ばれていました。楽しい毎日を過ごしてもらうことが1番だと思います。


そして江藤さんは突然、寝たきりになりました。息子様も様子を見にきて起こしてくれたのですが全く反応がなく、驚いていました。その時は突然来ます。会えるときにたくさん会っておいた方がいいと思います。

旅立ったご本人へのメッセージ A message to the person who has departed

とても几帳面で真面目で神経質な江藤さん。どこか私と波長が合いましたね(笑)なんでも調べてメモしたくなる気持ちわかります!逆にそれが不安に繋がってしまうこともわかるので、私も切ない気持ちでした。


江藤さんには大好きな奥様が見えていたのにその気持ちをうまく共感できず、不安な思いをさせていたらすみません。はたから見たら「病気故の幻覚」かもですが、実際に同じ立場で夜中に知らない人が立っていたら驚くのが普通ですよね。


もっとマンツーマンで話を聞いて安心できるような時間を増やすべきでした。

これからは江藤さんに出会ったことが無駄にならないように、同じ病気の方に対してもっと安心できる日常を送れるようなケアを勉強していきたいと思います。