私の看取り体験談 ~ 看取った家族の物語り ~ Last Shirahama Trip and Sushi
Stories of each family
家族が語る「それぞれの最期」
看取りから学んだこと

看取りから学んだこと

Last Shirahama Trip and Sushi
看取った方
看取り体験者 (女性)
はな さん (女性)
50歳 介護士 佐賀県
看取られた方
母
mother
享年 78歳
主な疾患 糖尿病/高血 圧/認知症
闘病期間 45年 0ヶ月
最期を迎えた場所 搬送中の救急車内

どんな看取りだったかお聞かせ頂けないでしょうか

母はこの数年は認知症の症状もあり、心配ではあった。しかしコロナ禍の中では気軽に会いにも行けず、時々電話を掛け安否の確認をしていた。母と同居している妹も、認知症の進む母を心配していた。


 

そんな矢先に、妹からの電話。妹が帰宅したら、母が意識の無い状態で倒れていた、掛かり付けの病院では受け入れが出来ない為、他の病院に搬送中とのこと。すぐに家を出られるように準備していると、再度妹からの電話。搬送中に心肺停止になり、とりあえず病院に搬送するとの事だった。


 

数日前から、食欲が落ち、受診を勧めるも、「行きたくない」と頑なに拒否していた、とポツリポツリ妹から聞いた。


 

病理解剖の結果、血糖値が1000/㎎を越えており、それが心不全を誘発したのだろうとの説明があった。搬送中での死去は事故扱いになるとのことで、妹は自宅で現場検証の立ち会い、私はそのまま病院に待機。やっと会えた母は、苦しんだ様子もなく、微笑んでいるようにも見えた。


 

葬儀は母の希望どおり、家族葬にて執り行う。生前、「葬儀にお金はかけなくていい。あんたたち子供で見送ってくれたらいいから」何度となくそう言っていたからだ。

ご本人はどんな方でしたか What kind of person was he

私の母は、とにかく「我慢の人」だった。酒癖の悪い父に泣かされ、離婚するも結局父を看取ったのは母だった。糖尿病を煩い、苦労して私達4人の姉弟を育てた母。長女の私が一番のお母さんっ子だった。働き者で、勤め先での信頼も厚かったようだ。まだ幼かった私に「親より先に死ぬのが一番の親不孝!」真剣な顔で言われた一言は今でも私の心に残っている。

病気はどんな経過を辿りましたか How did the disease progress

妹を妊娠中に糖尿病を発症し、以後40年以上インスリン注射と付き合っていた母。2003年に脳梗塞、2010年には急性心不全。ここ数年は高血糖、高血圧の状態が続きまた認知症も進み、施設への入居を勧められていた。

やってよかったこと What are you glad you did?

気の進まない母を説得し、検査入院や認知症検査を通して母の病状を把握できた事はよかった。医療機関受診の際には、母に同行し、一緒に医師の説明を聞くようにした。

もっとこうすればよかった Things I'm glad I did

母が元気なうちにもっと会いに行けばよかった。
 

遺品整理をしていた時に、私達が考えていたよりもっと以前から認知症の症状が出ていた事が判明し愕然とした。疑わしいと思った時点で何らかの手を打つべきだった。

もっとこうだったらいいのに I wish it was more like this

亡くなる数日前より、食欲がなかった母。妹が受診を勧めるも頑なに拒否していたという。母がもっと自分の生に貪欲であってくれたなら、と残念に思う。「もう何時死んでもよか。病院に入院したくない。」検査の度にそう言っては「冗談よ」と。けれど、それが本心だったのだろう。母の気持ちは痛いほどわかる。それでも、もっと一緒に過ごしたかったと思う。

この先 家族を看取る方へ伝えたい事 What I would like to convey to those who will be caring for their families

看取り」の時間は、じわじわと身近に迫る場合と、突然やってくる場合があるだろう。どちらの場合でも、後悔しないようにというのは難しい。母は闘病生活が長く、何時別れの時が来てもおかしくなかった。それでも、母の死に目に会えなかった事が寂しい。


 

看取りに限らず

1.  ご家族の既往症、内服している薬、かかりつけ医は把握しておく。
2.  少しでも認知症が疑われる場合は、早め早めに医療機関の受診、公的機関への相談をする。


 

最低限この2つを頭に入れておいて欲しいと思います。特に離れて暮らしていると、普段の生活の様子もわからない。どんな病気にかかり、主治医は誰なのか?信頼出来る医師なのか?健康な方でも、近くに病院はあるのか、何かあった場合、どこを受診したらいいか?それらの情報をご家族で共有出来れば、少なくとも、看取りまでの限られた時間に各々が出来る事、出来ない事を共有し、協力体制を整える事ができます。また認知症は、本人も周囲も気づかないまま進行している可能性があります。


 

私の母も死後、ベッドの下から大量の小銭、いくつもの財布、内服薬の期限を見ると、私達が考えていたよりもっと早くから認知症が発症していたとしか思えず、高血糖も認知症からインスリンの打ち忘れ、内服薬の飲み忘れが原因ではないか、としか考えられない状況でした。あれっ?と気づいた時点でもっと早く受診していれば、結果は変わったのかも?と本当に後悔しています。


 

可能ならば看取られる立場の方とご家族、医療機関等との間で共有出来る情報をたくさん持って下さい。看取って終わり、ではなく、看取りから始まる葬儀、相続etc.悲しむ余裕もない日々が続きます。後悔のない看取りはないのかもしれません。あの時こうしていれば…今でもフッと心に過ります。よい看取りとは、どう看取るかより、看取りに至る前から、どう寄り添い、関わって行けるのかの方が、大事な事なのかもしれません。

旅立ったご本人へのメッセージ A message to the person who has departed

お母さん、お母さんの子供に生まれてよかった。ありがとう。