中学生で父親を亡くす
どんな看取りだったかお聞かせ頂けないでしょうか
中学2年生の冬休みでした。当時、毎年恒例でお泊まりクリスマスパーティーを友達宅で行っていました。
その年ももちろん開催。私は荷物を準備し、自宅を出ようとしたときに、ふと、何かを感じました。クリスマスパーティーではなく、父の病院へ行こう。父の病院に行かなければいけない、と。
持っていた荷物を置き、そのままひとり、母が先に行っている病院へと向かいました。昼過ぎだったでしょうか。
病院について父の姿を見ると、なんとか私が来たことは認識しているようでしたが、酸素マスクでたいして会話もできず、そばにいることしかできませんでした。
夜になり、母は私に「先に帰って」と言いましたが、私は「このままいる」と言って、一緒に残りました。なんとなくざわついている病室内。
何度も看護師さんが来たり、最後に吊るされた点滴が小さくなったとき、ああ、もうすぐなのかなと感じました。
夜中近くになり、病室内はもっとドタバタし始め、母は泣いている。こういうの、ドラマで見たことあるなと冷静に思っていたことを思い出します。そして父は息を引きとりました。
人間が死ぬ瞬間を初めて見たときの感覚は今でも忘れられません。そして、外を見ると大きな満月が出ていたことが印象にのこっています。
ご本人はどんな方でしたか
What kind of person was he
父はホテルの支配人をしていました。根っからのサービス精神旺盛の人で、人から「ありがとう」と言われることが生きがいだったのだと思います。
仕事柄小さいときは土日に父と出かけた、という思い出は少ないのですが、入学式・卒業式には必ず来てくれた記憶があります。
また、少々厳格な人で、お正月はおせちを前にして、お説教から始まりました。
当時は子どもだったので、話長いなあ、おなかすいたなあとしか考えていませんでしたが、先祖がいるから今の自分がいる、目標を持って生きることなどを話してくれました。
今思えば、感謝の気持ちを持って生きることを小さいときから学ばせてくれたのだと思います。
病気はどんな経過を辿りましたか
How did the disease progress
吐き戻しが多く、父は友人に勧められて検査をしたことがきっかけで癌が見つかりました。
元々、酒飲みでご飯はあまり食べない、という食生活でしたが、父は「自分の体は自分が一番わかっている」というタイプで病気が発覚したときはたいへんショックを受けていた、と母から聞いています。
当時私は中学生だったので、母は詳しいことは話してくれませんでしたが、検査入院をしてそのまま入院になりました。
癌が見つかったときは既に末期。入院して一ヶ月後には手術を行いました。その後は入退院を繰り返し、最終的には体を動かすことができなくなり、寝たきりに。
病院が嫌いな父でしたが、最後は自ら病院に行きたいと言いました。最後に入院したときは大部屋ではなく個室になり、入院してから一週間後、亡くなりました。
やってよかったこと
What are you glad you did?
看取ることができたことは良かったと思います。たいしてお見舞いに行くことができなかったのですが、「父親の死」に直面することは、子どもながらに、この先どうやって生きていくのだろうと考えさせられました。
物理的な面では、長い入院生活、パジャマやカーディガンは必需品です。
おしゃれさんだった父は大量のおしゃれ着を好んでいました。病院内での唯一の楽しみだったかもしれません。
また、一時退院中には、大好きなゴルフや、好きなお店、好きなことをして過ごしてもらったことは良かったのではないかなと思います。
もっとこうすればよかった
Things I'm glad I did
入院していた病院が家から遠く、かつ、当時中学生の私は学校が楽しいあまりに、頻繁にお見舞いに行くことをしませんでした。
思春期ということもあり、お見舞いに行くことが恥ずかしかったのかもしれません。
そして父にあとどれくらいの時間が残されているか、そんなことは考えてもいなかったと思います。
後から聞いた話では、まだ中学生の私のことを一番心配していたそうです。もっとたくさん会いに行って、たくさん話せばよかったなと思っています。
もっとこうだったらいいのに
I wish it was more like this
当時は治療法として、手術一択だったので手術以外になす術がなかったと思います。
今は医療も進歩して、様々な治療法があるかと思いますが、手術以外に何か方法があったら、もっと良かったかなと思います。
この先 家族を看取る方へ伝えたい事
What I would like to convey to those who will be caring for their families
病状、年齢などによって考え方は様々だと思います。
父は55歳で病気が発覚して丸一年で亡くなりました。最後は好きなことをして旅立ちましたが、体を切り刻まれて、抗がん剤の副作用で苦しみ、果たして「手術」という判断が正しかったのかは分かりません。
手術しなかったらもっと早く亡くなっていたのか、手術をしてもっと長く生きられたのか、それは誰にもわかりません。
後悔しないように、家族の時間を大切にしていただけたらと思います。時間が許すのならば、好きな場所、好きなこと、本人が希望すること、叶えてあげてください。
また、死人に口無し。亡くなってからでは確認しようがないこともあります。金銭面の管理なども話し合っておいていただくことをお勧めいたします。
旅立ったご本人へのメッセージ
A message to the person who has departed
お父さんが亡くなって26年。あっという間でした。
天国ではどのように過ごしているでしょうか。私たち家族は仲良くやっていますよ。心配無用です!
大人になったとき、お父さんがいたらどうだったかな、大学進学のとき、就職が決まったとき、留学に行くときなどなど、ふと考えるときがあります。
きっとどこかで、今の生活ではなかったのかな、とも考えますが、今と違った生活だったとしても、私は幸せなんじゃないかなと思います。
どんな環境でもいつまでもお母さんを大事にしていきますので安心してください。




