私の看取り体験談 ~ 看取った家族の物語り ~ Last Shirahama Trip and Sushi
Stories of each family
家族が語る「それぞれの最期」
父に伝えたかった言葉

父に伝えたかった言葉

Last Shirahama Trip and Sushi
看取った方
看取り体験者 (女性)
となりのモッティ さん (女性)
46歳 大学職員 福岡県
看取られた方
father
享年 82歳
主な疾患 胆管がん
闘病期間 6年 0ヶ月
最期を迎えた場所 自宅

どんな看取りだったかお聞かせ頂けないでしょうか

「父さんがもう危ない、とにかく何か話しかけて!」空港から自宅へ向かう途中、兄からの電話に緊張が走りました。


「父さん、私もう帰ってきたのよ、もうすぐ家に着くのよ!」そう話すも、聞こえてくるのは兄と母と従姉妹たちの声でした。


「父さん、父さん、聞こえるか?今日子、帰ってきたんだよ!」「お父さん!お父さん!」「おじさん!頑張って!」私はスマホを握りしめ父に呼びかけながら車から降り、実家の玄関で派手に転倒するも、父の元へ。


対面した父は、息を引き取った直後のようでした。父の手はまだ温かく、うっすらと開いた目はまだ瞳が濡れていた様子もあり、母は、一定のリズムで稼働し続ける在宅人工呼吸器を見て「このランプが付いているなら大丈夫よ。」と言っていました。


しかし、多少なりとも医療知識があった私は、父が逝ってしまったことが理解できたので、父の横で、ケアマネージャーさんと主治医の到着を静かに待つしかありませんでした。


徐々に冷たく硬くなっていく父の手を握り、35年ぶりくらいでしょうか、父の胸に頭を載せて、ただただ涙だけが流れていく1時間でした。


その日は昼前に父の容体が急変し、母が福岡の私に連絡した時にはまだ意識があり、私が帰ってくることを聞くと頷いたそうです。


付きっきりで父を介護した母、毎日のように実家に通い母をサポートしてきた兄、離島から私より一足早く実家に着いた弟、知らせを受け駆けつけてくれた従姉妹たちに見守られながら、父は最期の時を迎えたようでした。父の望んだ「最期の時」であったと、そう思っています。


2015年、初めて父から癌かもしれないと、治療は望んでいないと、精密検査すら断るつもりだと電話で相談されてから6年近く、父は本当に元気に過ごしていたのです。


年に数回の定期検査、そして主治医との信頼関係もあり、父本人も私たち家族も、病気の存在を恐れるようなことはありませんでした。ライフワークのジョギング、テニス教室、地域のバドミントンと、元体育教師は生涯現役でスポーツを愛していました。


2021年、年明けに体調を崩し入院してからは、あれだけ沈黙していた病気が、あれよあれよという間に進行したのです。コロナ禍で面会規制が厳しい中での入院は、気丈だった父を気弱な人に変えてしまいました。


父が入院中のある夜、実家で母と兄弟3人で話し合いました。父本人の希望もあり延命治療は行わないこと、住み慣れた我が家で最期まで過ごすこと、母の負担を少しでも軽減すること…、不安に沈んでいる余裕なんてありませんでした。


在宅介護について調べる、主治医と病院に相談する、父に今後についてどう説明するかなど、課題が山積の中、兄弟の存在がとても頼もしく、とても有り難く感じました。父の想う最期を実現しようと、家族の気持ちを確かめ合った夜でした。


日に日に細く弱っていく父に、少しでも前を向いてもらいたいと、兄妹が一度に集うのではなく、あえてバラバラに、離島の弟、福岡の私が1ヶ月ごとに実家に行くようにしました。父は、電話越しの孫たちの声や、私の他愛のないメールをとても喜んでいたそうです。


父が亡くなる1ヶ月前、家族5人が揃った夜がありました。父と母と兄と私と弟。「もう何十年ぶりかね、家族5人の食卓なんて。」母の言葉に、父は小さくうんうんと頷いていました。めっきり食が細くなり、食べることもやっとになった父は、その夜、久しぶりに、出された料理を全部食べてくれたそうです。


あの日、親子水入らずの時を過ごせたことが、父から私たちへの最後のプレゼントだったように思います。葬儀が終わり、実家に父の位牌を持ち帰ったその夜、母は「よかったね、お父さん。」と父に語りかけていました。

ご本人はどんな方でしたか What kind of person was he

病気はどんな経過を辿りましたか How did the disease progress

やってよかったこと What are you glad you did?

もっとこうすればよかった Things I'm glad I did

もっとこうだったらいいのに I wish it was more like this

この先 家族を看取る方へ伝えたい事 What I would like to convey to those who will be caring for their families

旅立ったご本人へのメッセージ A message to the person who has departed